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連結決算では出資比率によって会計処理が変わる!

公認会計士 大国光大
連結決算では出資比率によって会計処理が変わる!

連結決算では、まずどの範囲を連結するかによって連結財務諸表が大きく変わります。この連結の範囲は出資比率(議決権比率)によって変わるため、どのような出資比率にすればよいかはその会社を連結したいかどうかによっても変わります。
今回は、連結決算での出資比率とそれに応じた会計処理を現役公認会計士が解説します。

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連結決算での連結の範囲

連結決算では、投資先が子会社か関連会社かそれ以外かによって財務諸表の取り込み方が大きく変わります。

まず、投資先が子会社の場合はそのままその財務諸表を親会社と合算して、グループ間での取引を消去して連結決算を組むこととなります。この場合は、子会社の決算をフルで組むこととなり、注記事項も全て把握しなければならないため、労力がいります。

一方で、投資先が関連会社と判定された場合は財務諸表を取り込むのではなく、その期の利益や純資産の一部を持分法で取り込むこととなります。持分法は基本的に1つの仕訳で完結するため、別名一行連結とも言います。その為、子会社と関連会社とでは会計処理の労力が全く違います。

ちなみに、子会社とも関連会社ともされない会社の場合は連結されません。その代わり、毎期財務諸表を取り寄せて価値が目減りしていないかどうかだけは検証する必要があります。

このように、子会社となるか関連会社となるかで全く処理方法が異なるため、ここからはどんな会社が子会社や関連会社となるか出資比率を交えて解説します。

出資比率(議決権比率)50%超~100%の場合

出資比率が50%超である場合は基本的に子会社となります。よって、財務諸表を親会社なみに作成し、注記情報も完全に把握する必要があります。

なお、出資比率が100%でない場合は、100%から引いた分だけ損益を非支配株主持分に振り替える処理が必要となります。例えば、70%出資比率であった場合は当期純利益の30%を非支配株主持分に振り替える会計処理をします。

出資比率(議決権比率)40%~50%の場合

出資比率が40%~50%である場合は、特に何もなければ関連会社と判定され、持分法適用会社となります。しかし、次のようなケースでは子会社として連結の範囲に含めます。

・緊密者(出資先等、自分と同じように議決権を行使することがほぼ確実な者)がいる場合で、併せて議決権が50%超となる場合
・役員や使用人を派遣しており、例えば取締役会の過半数を占めている場合
・契約により重要な意思決定ができる場合
・重要な貸し付けを行っていたり、保証を行ったりしている場合(負債の過半数を貸し付けている等)
・その他その会社の意思決定機関を支配していると推測される場合

ちなみに、子会社であるかどうか判定が微妙な場合は子会社とされることが多くなります。これは、この基準が連結外しを回避するためのものですので、連結した方が投資家にもわかりやすい為です。

出資比率(議決権比率)0%~40%未満

20%以上であれば関連会社として持分法適用会社となりますが、以下の要件に全て該当する場合は子会社となります。

①企業の株式の40%未満を所有している
②緊密者と合わせると議決権比率が過半数となる。
③取締役会の過半数を占めている、契約により重要な意思決定ができる又は重要な資金援助をしている。

関連会社となる場合

今までは子会社であるかどうかに議論をフォーカスしましたが、関連会社であるかどうかについても様々な基準があります。
まず、原則として議決権の20%を所有している場合は原則関連会社として持分法適用となります

また、議決権の15%以上を所有している場合で、自社から該当会社に代表取締役の派遣を行っていたり、重要な資金や技術の提供、営業上の取引が存在したりする場合に関連会社となります。

この他、15%未満の保有であっても実質20%以上の議決権を持っていて先ほどのような重要な事象があった場合も関連会社となります。

関連会社と関係会社の違い

ここで、関連会社と関係会社という用語はよく似ているので混同されがちですので整理します。関連会社は今までお話しているように原則として議決権比率20%以上50%以下の会社を言います。

一方で、関係会社というのは子会社も含みますが、自社の親会社、関連会社、その他の関連会社をまとめて言います。つまり、関係会社の方が広い概念となります。

計算書類を作成する際に、「関係会社注記」というものがありますが、関連会社との取引ではなく、いわゆるグループ全体の取引の注記となります。
このように似た用語ですが中身は全く違うものですので注記などの広範囲の情報を収集する際は漏れないようにしましょう。

まとめ

連結の範囲というのは昔から典型的な重要な論点で、連結外しによる粉飾決算は何度も出てきてしまっているのが事実です。ですので、50%を切っているから子会社ではないと簡単に考えず、議決権比率以外の要素についても出資の都度判断することが必要です。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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