士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

税理士試験合格のための勉強時間ってどれくらい?科目別の目安や勉強方法もご紹介!

HUPRO 編集部
税理士試験合格のための勉強時間ってどれくらい?科目別の目安や勉強方法もご紹介!

税理士試験に合格すれば、税理士として生涯活躍することができます。自分で独立して会計事務所を開設したり、大手税理士法人に入所してスキルを活かしたり、あるいは一般企業に入所して当該企業のために尽力したり等、幅広い活躍を約束されるものです。

税理士資格はこのように実務上のニーズも強く、高度な専門性が要求される仕事であることから、多くの受験生が挑戦を続けるものです。難しい知識を習得しながら、簿記の実務素養を備えるには、かなりの努力が必要でしょう。

そこで、これから税理士を目指す方のために、税理士試験合格に向けた試験勉強にはどれだけの勉強時間が必要とされるのかを解説します。さらに、実際に税理士試験の勉強を進めるにあたっての大事なポイントや、どのようにして勉強をすればよいのか、あるいは、独学で税理士試験に挑戦するメリット・デメリットにも言及します。

今から税理士試験に挑戦して、将来的な税理士としての活躍を目指す方は、ぜひご参考ください!

◇ 求人取扱数3,000以上!業界最大級の転職サイト
士業・管理部門特化の『最速転職HUPRO』 たった5分で自分にぴったりの転職先が見つかる!業界特化の専門エージェントによる無料転職診断はこちら:最速転職HUPRO無料転職診断

税理士試験合格に必要な勉強時間の目安

税理士は、士業の中でも高収入が約束されることもあって、人気職業の上位にランクインする国家資格です。資格を取得するためには何度の高い国家試験に合格しなければならず、必然的に勉強時間も求められることになります。したがって、税理士試験は、国家試験の中でも最難関資格の一つと言えるでしょう。

総勉強時間は3,000時間

税理士試験合格に必要な総勉強時間は3,000時間です。働きながら勉強した場合で4~5年、税理士試験の勉強だけに専念した場合で2~3年かかると言われています。

税理士試験の勉強時間は、受験生の状況(大学生なのか社会人なのか等)、独学で合格を目指すのか資格スクールを活用するのかなどの状況によって大きく変動します。ただ、資格スクールを利用する形で合格を目指す場合には、標準的には約2年程度のカリキュラムが組まれるのが一般的です。

税理士試験合格に必要な勉強時間に対して大きく影響を及ぼすのは、以下の2点です。

・独学で勉強するのか資格スクールを利用するのか
・どの試験科目を選択するのか

どの科目を選択するかで勉強時間は大きく変わる

税理士試験に合格して税理士資格を取得するには、全11科目の試験科目のうち、5科目について合格基準点を突破しなければいけません。全11科目は、以下のものです。

【会計学科目】
簿記論・財務諸表論

【税法科目】
所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税

ただし、好きなように受験科目を選択できるわけではなく、以下のような条件を充たす形で、受験科目を選ぶ必要があります。

・必須科目として「簿記論」「財務諸表論」の2科目
・選択必須科目として「所得税法、法人税法」のいずれか1科目
・選択科目として「相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税」から残りの科目数

以上のような条件を充たす形で科目を選択し、合計5科目(会計2科目、税法3科目)について合格基準点をクリアした場合に、税理士試験に最終合格したとみなされます。

税理士試験の各科目は、難易度や必要な勉強時間が異なります。どの科目を選択するかで合格するまでの時間は大きな差が生まれるということです。

科目合格制度だから計画的に勉強することが重要

税理士試験を受験するにあっておさえておくべきポイントは、科目合格制度が採用されているという点です。科目合格制度とは、1つの受験科目について合格基準点をクリアできた場合、当該科目に関する受験は翌年度以降免除されるというルールです。

科目合格制度が採用されていることによって、税理士試験の受験生の資格勉強の負担が大幅に減るというメリットがもたらされます。

というのも、司法試験や司法書士試験などの難関国家試験では、同一年度において出題される合格水準をすべて満たしたときにのみ最終合格として取り扱われます。この場合、1つの条件でも充たすことができなければ、翌年度にすべてやり直しです。どれだけ高評価を得られる科目があったとしても、翌年度以降に免除されることはありません

これに対して、税理士試験では、科目合格制度が採用されています。例えば、ある年に受験する科目は簿記論だけと決めて、これに集中して勉強し合格することができれば、合格の事実は翌年度以降も持ち越されます。翌年度以降に残りの4科目に合格すれば良いという状況を作ることができるのです。つまり、同一年度で5科目すべての学習水準を合格レベルにもっていく必要はなく、数年間じっくり時間をかけて、1つずつ合格水準に到達することによって、税理士資格の取得が実現するのです。

大学生等のように、資格試験に充分な時間を割くことができる場合には、税理士試験の科目合格制度は大きな意味はもたないかもしれません。しかし、社会人の方等が働きながらキャリアアップを目指す場合には、限られた勉強時間を計画的にこなすことによって、着実に税理士試験の最終合格にたどりつけるというメリットが生まれるのです。

税理士試験の合格率

税理士試験には、科目合格制度が採用されています。その結果、どの科目を選択して試験に挑むのか、税理士試験の受験戦略が非常に重要となってきます。

科目ごとに出題内容や難易度が毎年変動し、その結果合格率の予測を立てることができない以上、どの科目を勉強するにあたっても、基本的な内容からしっかりとおさえつつ、試験対策を練らなければいけません。

ただ、合格率の推移から、おおよその合格ラインを想定することは可能です。基本的に各科目とも難易度は非常に高く、合格率は10%〜20%程度が目安です。以下の数値は、2020年度における税理士試験の科目ごとの合格率を示したものです。科目選択の際の一つの指針としてお役立てください。

簿記論 22.6%
財務諸表論 19.0%
所得税法 12.0%
法人税法 16.1%
相続税法 10.6%
消費税法 12.5%
酒税法 13.9%
国税徴収法 12.2%
住民税 18.1%
事業税 13.1%
固定資産税 13.5%

税理士試験の科目別勉強時間の目安と勉強方法

税理士試験の各科目の勉強時間の目安は以下の通りです。
<table class=”“side_title_table””>

簿記論 450時間 財務諸表論 450時間 所得税法 600時間 法人税法 600時間 相続税法 450時間 消費税法 300時間 酒税法 150時間 国税徴収法 150時間 住民税 200時間 事業税 200時間 固定資産税 250時間

</table>

この表をご覧頂ければ明らかなように、試験科目によって必要な勉強時間が大きく変わることが見てとれます。科目ごとに重要度や試験範囲の量が異なることから、短期間で試験合格を目指す場合には、限られた時間をいかに効率よく使うかがポイントとなるでしょう。

また、一から税務の勉強を始める人と、すでにある程度の税務知識がある人との間にも、試験合格に必要な勉強時間は異なります。例えば、はじめて簿記を勉強するような大学生と、仕事で経理関係の業務を担当しているような社会人を比べたとき、税理士試験の簿記論に必要な勉強時間が大きく異なるのは想像に難くないはずです。

つまり、「必要とされる勉強時間をクリアしたからOK」ということではなく、「それぞれの人の状況に応じた勉強時間をこなすのが重要」なのです。勉強時間の平均値・標準値に縛られ過ぎないように注意してください。

簿記論

簿記論は、文章で論ずる問題は出題されず、計算のみ科目です。
簿記論の出題範囲は「複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算を除く。」となっています。

《関連記事》

財務諸表論

財務諸表論の出題範囲は、一言でいうと『財務諸表や連結財務諸表を適法に作成することができるか、また、その根本となる考え方やルールを理解しているか』
というものです。
そのため、理論問題では考え方とルールを問われ、計算問題では財務諸表や連結財務諸表の作成を問われます。配点は例年、理論問題である第一問と第二問で合計50点、計算問題である第三問が50点ですが、第三問の中に理論問題のような解答要求をされることがあります。

財務諸表論は同じく会計科目の簿記論と学習論点が重なっています。このため、2科目同時受験をするならば簿記論&財務諸表論(簿財)の組み合わせが効率的かつ効果的です。

《関連記事》

所得税法

所得税法の難しさは、所得税法だけで200を超える条文を覚える必要がある点です。また、所得税法施工令や所属税法規則など細かなものも覚える必要があります。改正も多いために、それにも注意しておく必要があるでしょう。

そして、暗記していればいいというわけでもなく、それらの多くの条文の体系的な理解ができることが大切です。

条文を書いて覚えたり、ブツブツ言いながら覚えたりするなど、それぞれの覚え方を工夫しながら、理解を深める時間を作ることも大事なことになります。

《関連記事》

法人税法

法人税法の試験は、受験者数が多い分競争率も高いので、その分精度の高い回答が求められます。概要を理解したうえで演習問題や過去問などの実践的な問題演習を繰り返し、知識の定着をはかることが必要です。理論は100題ありますが、A・Bランクだけでも70~75題ほどあります。暗記のボリュームが多いので、暗記が苦手な方は不向きです。

個別問題では基本に忠実な計算と集計のスピードも求められますので、苦手な計算項目は、ケアレスミスに気を付けつつ、何度も繰り替えすといった地道な勉強が求められます。計算問題は個々に見ると難易度はそこまで高くはありません。しかし、計算パターンの量が多いので、記憶の定着を図るために何度も繰り返す必要があります。

《関連記事》

相続税法

相続税法は、理論と計算問題が半々です。計算問題は理論がわかっていないと解けない問題が多いため、まずは理論をどれだけ回せるかが大事となります。

理論をある程度回せたら計算問題も1日1回は入れるようにして、自身の弱点の論点をつぶしていくようにすると良いでしょう。相続税の計算問題は総合問題でなし崩し的に間違うことが怖いので、総合問題も勉強の中に必ず組み込む必要があります。

《関連記事》

国税徴収法

国税徴収法は暗記することが必要な科目であるため、どのように記憶を定着させるかがポイントです。記憶の定着は、一つの単元をじっくりとすることよりも毎日のように反復して複数の単元をした方が良いと一般的に言われています。

しかし全く理解してもいないのに最初から反復しても意味がなく、1回転目は図などを自分なりに使って理解することを重視し、2回転目以降は理解不足のところはじっくりと、理解している部分については反復するというやり方で暗記していくことが重要であると考えられます。

《関連記事》

住民税

住民税の勉強については、所得税法と試験範囲が共通するような部分もあり、法人税法や所得税法などの勉強を、実務をしながら行っている人がよくいます。所得税の知識があると勉強しやすいため、所得税法と一緒に選択するのが一番おすすめです。

住民税の税理士試験の内容的には、理論と計算に分かれています。理論は、個人または法人から2問出されます。計算は、総合問題で、所得税の知識を活用すると解きやすい問題となっています。

《関連記事》

固定資産税

固定資産税は、理論と計算問題とが半々です。計算問題は満点近くを狙う必要があることから、計算問題になれることは必須となります。しかし、基本的に計算の基礎となる事項については問題文に与えられていることから、与えられた内容をどう計算するかが重要となってきます。

理論は暗記するというよりも、固定資産税が賦課されるまでの流れを理解することが必要となります。アウトプットをしながら苦手分野について何度も理解を深めておきましょう。

《関連記事》

独学で勉強するか資格スクールで勉強するか

まず決めなければいけないのは、税理士試験を独学で勉強するのか、あるいは資格スクールで勉強するのかという点です。可能な限り、勉強をはじめる最初の段階でどちらかの道を決めてしまいましょう

後述するように、税理士試験の勉強をするには、綿密なカリキュラムを決めて、それにしたがって勉強を進める必要があります。つまり、どちらの道を選択するとしても、勉強をはじめる段階で大きな流れに乗ることになるのです。例えば、最初は独学で勉強していたけれど途中から資格スクールに通ってみたくなったとしても、資格スクールのカリキュラムに乗るために一時的に過剰な負担が生じるリスクがあります。これは、税理士試験を目指すにあたって不要なコストと言えるでしょう。

したがって、以下のような独学及び資格スクールのメリット・デメリットを比較したうえで、いずれの方法が自分には合っているのかを熟慮してください。

資格スクールのメリット・デメリット

資格スクールのメリット①~カリキュラムが決まっている~

資格スクールに通えば、資格スクールが提供するいろいろなコースにしたがって勉強を進められます。

税理士試験に関してまったくの初心者であるならば、約2年程度のスパンでカリキュラムが組まれたものを利用すれば良いですし、科目合格を狙うために、すでに知識がある科目を短期間で合格水準まで高めたい場合には、試験に特化した専用対策カリキュラムを受講すれば良いでしょう。

このように、受験生のニーズに合わせた試験対策サービスを選択すれば良いだけなので、大局的なカリキュラムを自身で設定しなくても良いというメリットが生まれます。

資格スクールのメリット②~サービスが豊富~

資格スクールを活用すれば、スクールが提供する手厚いサービスを受けることができます

例えば、税理士試験合格に向けたノウハウのこめられた専用テキストを活用しながら、それに沿った体系化された講義を受けることができます。メリハリのある形で勉強を進めることができるので、試験内容を効率的に理解できるでしょう。

また、わからない箇所が生じた場合でも、適宜質疑応答によって疑問点を解決することができます。疑問点を後に残さないのは、特に高度な内容を理解しなければいけない税理士試験にとっては重要なことです。

さらに、資格スクールの自習室を利用できるというメリットも挙げられます。自宅や喫茶店などでは集中できないという人にはおすすめです。

資格スクールのメリット③~ライバルの存在~

資格スクールを活用すれば、同じく税理士試験を目指すライバルたちから刺激を受けることが出来ます

資格試験は個人の力が問われるものですが、仲間やライバルから刺激を受けた方が実力の育成に繋がるという人は少なくないはずです。切磋琢磨しながら実力をつけることができるので、モチベーション維持にもつながるでしょう。

資格スクールのデメリット

手取り足取りカリキュラムを組んでくれる資格スクールですが、当然利用するためには費用がかかります。特に、税理士試験のような難易度の高い資格試験合格のために中長期的に資格スクールを利用する場合には、一般的に数十万円の費用がかかるのは当たり前です。

また、特に初心者にとってカリキュラムが組まれているのはありがたいことですが、逆に自分のペースで勉強を進めることができないというデメリットが生じます。自習が間に合わないために資格スクールの進度について行けない場合、社会人のために仕事との両立ができないという場合、急な用事のために資格スクールの授業を聞けないことが続く場合など、ちょっとしたことでペースが崩されてしまいます。そして、崩れたペースを元に戻すにも、資格スクールはカリキュラムを変更してくれることはありません。自分自身でスクールのペースに追いつかなければいけないので、負担が大きくなるでしょう。

独学のメリット・デメリット

独学のメリット①~自分のペースで柔軟に~

独学で税理士試験合格を目指す最大のメリットは、自分でカスタマイズした計画で勉強を進められることです。

必要知識量が膨大な税理士試験攻略のためには、不要なことを極力排除し、必要なこと、特に自分の弱点を克服することのために必要な時間をきちんとかけることが重要です。分野に応じて苦手箇所に比重を置いた勉強カリキュラムを組むのは、税理士などをはじめとする高難易度国家資格では欠かすことができません。

特に、税理士試験では科目ごとによって特徴がはっきりしています。その結果、受験生ごとに得手不得手が大きく変わります。計算問題が苦手な受験生、暗記に充分な時間を割けない受験生、論理問題が得意な受験生というように、人それぞれ時間を割くべきポイントが違うのです。

税理士試験に合格するには、かなりの勉強時間が必要です。短期的な勉強で良い簿記3級のようなものとはまったく違います。勉強時間が長くなればなるほど、自分に合った勉強をできているかどうかによって生まれる差の意味も大きくなるでしょう。したがって、柔軟なカリキュラムを臨機応変に組むことができる独学は、高難度税理士試験にとっては魅力的な手段の一つと言えます。

独学のメリット②~費用面~

独学で税理士試験合格を目指す場合、必要なコストは参考書などのテキスト代だけです。これらに絞った場合、数万円程度の費用で税理士試験の最終合格に到達できる可能性があります。

数十万円、あるいは100万円以上のコストが当然にかかる資格スクールと比較すると、経済状況に不安のある受験生にとっては、独学は魅力的です。

独学のメリット③~社会人にぴったり~

キャリアアップを目指す社会人にとって、税理士を独学で目指すのはメリットが大きい、むしろ、独学しか選択肢がないと言っても過言ではありません

というのも、現時点で仕事をしながら資格取得を目指す場合も勉強時間を自在にコントロールできるからです。現在の仕事に対して、大きな負担になりにくいでしょう。

また、社会人の方が税理士試験合格を目指す場合、多くの方が、資格取得に数年単位の時間をかけることを前提としているはずです。そして、このような長期間、資格スクールに通い続けることはもはや現実的ではありませんよね。

独学のデメリット①~最新情報に対応しにくい~

税理士試験では、税制改正に対応しなければいけません。資格スクールを活用している場合には、使用テキストが常に最新の情報に対応しているので、自分で改正情報に対してアクセスする必要はありません。

しかし、市販のテキストを数年間にわたって使用して独学しているような場合には、リアルタイムの税制改正情報を知り得ないことも少なくありません。とくに、税法の分野では改正が頻繁に行われるという特殊性が顕著になるため、自分で税制改正も視野に入れて計画を立てることが必要となってきます。情報の鮮度を保つための手間がかかる点がデメリットと言えるでしょう。

また、資格スクールを活用すれば、講師や授業から最新情報が仕入れられるだけではなく、受講生同士もこまめに情報交換をすることができます。独学で試験に向かう以上、資格スクールの不利な情報や、他の資格スクールの情報など、受験戦略に役立つある程度の情報がシャットアウトされるデメリットを避けることはできません。

独学のデメリット②~モチベーションの維持~

ひとりで税理士試験に挑むとなると、どうしてもモチベーション維持が難しくなります。難しい知識を仕入れながら、他方で最新情報にもアクセスを続けなければいけないために、ひとりで背負わなければいけない負担は大きくなります。勉強のみに集中できるわけではない以上、バランスを取りモチベーションを維持するのは強い精神力が必要です。

そもそも、ひとりで数年単位にも及ぶ勉強を続けることは並み大抵の努力ではできません。共に切磋琢磨できる仲間がいない中でも、しっかりとモチベーションを維持することができるのであれば、独学のメリットを享受しながら勉強に励むことができます。しかし、それができない場合は、勉強がまったく進まないというデメリットしか残りません

自分に適する勉強スタイルをよく理解した上で、モチベーションをいかに継続できるかが鍵となります。

参考として、独学で税理士試験に合格された方の勉強法がこちらで紹介されています。独学での税理士試験合格を目指す方は、ぜひお役立てください。

《参考記事》

 独学のメリット

税理士の勉強時間は計画で決まる!

税理士になるためには、長期の勉強を続けていく必要があります。ただ、闇雲に勉強時間を重ねればよいというものではありません。資格スクールを活用する場合でも独学の場合でも、正しい学習計画を立てた上で、時に柔軟に修正対応をしながら勉強を進めていかなければいけません。

受験までの年単位の計画設定と柔軟な修正

税理士試験のカリキュラムを組む際には、下記の要素をおさえる必要があります。

・自分は何が得意で何が不得意かを理解する
・選択科目の組み合わせを熟慮する
・税制改革などの最新情報へのアクセス
・毎日どれぐらいの時間を勉強に充てられるのかを把握

これらの点を考慮して、毎月の目標、進度、進捗状況を客観的に設定します。そして、そのカリキュラム通りに学習を進める中で、都度必要な修正を加えることによって、効果的な学習を進めるようにしましょう。

カリキュラムに修正を加えるときのコツ

特に、長期間にわたり勉強を進めていくと、どうしても苦手な部分や進みが遅い部分が出てきてしまいます。それを短期長期の視点で修正していくことが重要です。

適切な修正をするためには、毎日の進捗状況をノートにメモするなど、視覚的に分かり易い形で自分の歩んできた道を記録することも重要です。定期的な復習の機会を設けつつ、合格まで進んでいってくださいね。

税理士試験の科目の選び方

科目選択は、税理士試験受験における大きな選択です。ここからは、何を基準にどのように科目を選べば良いのかを解説していきます。

合格に必要な勉強時間で決める?

税理士試験の合格ラインは満点の60%と言われているものの、実質的には相対評価制が用いられているため、その点に注意する必要があります。

「勉強時間=知識量」という点だけに注目して勉強時間の節約になる科目を選ぶ場合には、国税徴収法、酒税法などは時間がかかりにくい科目に分類されます。短期的な合格を目指すには、効果的な選択方法と言えるでしょう。

ただし、その分他の受験生も同様に対策を強化してくる分野となるため、科目合格水準に到達するには、高得点を取る必要が生じます。結果的に、年度の状況次第では不利働くケースもあるので、知識量や総勉強時間だけにこだわるべきではありません。

受験者層を意識して決める?

勉強時間や知識量だけにこだわらずに試験科目を選択する場合、それぞれの科目にどのような受験者層が集まるのかを意識するのも一つの方法です。

例えば、法人税法、消費税法、所得税法などは、インプットしなければいけない知識量は他科目より多い傾向にあります。ただ、比較的初心者の受験生が志願しやすい科目でもあるため、相対的に高い合格率となる傾向があります。

出題範囲を意識して決める?

出題範囲の重なりに注目して試験科目を選択するのも一つの方法です。

例えば、所得税法と法人税法は似たような問題が出題される傾向があります。すると、この両者を選択して勉強を進めれば、他の科目を選択するよりも実質的な勉強時間を減らすことができる可能性があります。

このように、税理士試験への合格を目指す場合には、他受験生との相対評価であることも考慮しつつ、自分の得意不得意をよく検討し、科目選択を設計すべきでしょう。

得意分野で決める?

税理士試験は科目合格制度

上記の表の右端の欄には、「計算問題」と「理論を暗記して臨む問題」の比重が記されています。例えば、簿記論は計算問題が100%となりますが、同じく必須科目である財務諸表論は計算問題が50%、理論を頭に入れて解く問題が50%となります。そのため、計算が得意ならば簿記論、暗記が得意ならば財務諸表論の合格を目指すという方法が考えられます。

税理士試験は数年にもわたる長期間の受験です。スムーズにクリアするには、自分の能力との相性も重要です。すべての一般論化して判断するのは簡単ではありませんが自分の得意分野で決めるのも一つの方法です。

合格後のキャリアで選ぶ?

「税理士試験に合格したあとに、どのようなキャリアを歩みたいのか」という観点から受験科目を選ぶのも一つの方法です。実際、この観点で試験科目を選択する人が多いという実情があります。

税理士試験に合格した後は、実務経験を経て「税理士」として活躍する人がほとんどではないでしょうか。その際に、どの科目の知識を習得しているかによって担当する業務内容も大きく変わってきます。

例えば、将来税理士として自ら独立開業するというキャリアを描くのであれば、個人が年間で得た利益を申告するために必要な「所得税法」が有効だと言えます。また、一般企業の中で企業内税理士として経理部門で活躍するのなら、「法人税法」などを積極的に志望するのもありでしょう。

このように、自身が試験に合格した後のキャリアを起点に科目を選ぶのもおすすめです。

税理士の勉強時間についてのまとめ

税理士試験合格のために必要な勉強時間については以上です。

税理士になるためには、長く険しい勉強を継続し、どのような計画で勉強を進めるのかが重要です。平均的な受験生についていうと、概ね2年〜3年、あるいは5年近くを税理士試験合格までに費やすことになります。

ただ、選択科目や個人の得意不得意により勉強時間は大きく変わってきます。そして、より短期間で税理士試験に合格することも夢ではありません

そのためには、税理士試験の勉強に着手する前に、適切な形で勉強計画や戦術を練ることからはじめましょう。仮に勉強を始めてしまっている場合でも、一度冷静に現状を客観視したうえで、適切な路線を組み直せば問題ありません。ぜひ税理士試験に合格し、キャリアアップを目指してください!

《関連記事》

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:資格試験
    タグ:

おすすめの記事