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期末決算の業務ってどんなことをやるの?

公認会計士 大国光大
期末決算の業務ってどんなことをやるの?

決算の種類には、期末決算、四半期決算、月次決算があります。その中でも一番大事な決算と言えばやはり期末決算です。
では期末決算の業務とはどのようなことをするのか、わかっているようでわからないことが多いと思います。今回は期末決算の業務について代表的なものを解説します。

期末決算とは

期末決算とは、会社の期末、つまり1年の終わりに会社の財産の状況や経営成績を把握するために貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成することを言います。
期末決算の主な目的は、株主に見せることや、税金の計算、銀行への提出等外部の第三者の為に作成することにあります。よって、月次決算や四半期決算と違って一定のルールに従って作成しなければなりません。

期末決算の業務

期末決算の業務のうち、主要なものは次の通りです。

①各種勘定科目の確定

この点は月次決算と似ていますが、期末決算では基本的に全ての勘定科目を実際の金額で確定させなければなりません。
売掛金や買掛金は自社や他社の請求書を見れば最終金額と一致していることがわかると思います。現金預金は手元にあるものや銀行残高と一致させなければならないので、実際に現金を数えたり、残高証明を取り寄せたりして勘定科目と実際の金額を一致させます。

②前払費用、未払費用の確定

例えば家賃などは翌月分を当月に支払うことが多いです。厳密にいえばそのような費用については前払費用に振り替えなければならなくなります。逆に、決算日ではまだ支払っていなくとも、既に物品が到着しているようなものについては未払費用計上をします。
このように、実際の資金の流れと発生した月が違うものについては前払費用や未払費用勘定で適切な金額に引き直します。

③実地棚卸

製造業や小売業等では在庫の金額も多くなります。そこで、帳簿残高と実際の在庫の残高が一致しているかどうか、実際に数を数えます。これを、実地棚卸と言います。
実地棚卸の結果、帳簿と数量が違う場合はどちらがあっているかを追求して、実際の残高に合わせることをします。

④引当金の計上

期末決算では、様々な引当金を計上します。
代表的なものは貸倒引当金です。貸倒引当金は基本的に税法に従って計上をして、前期に計上していたものを取り崩します。
また、会社が賞与を支払っている場合は賞与引当金、退職金制度がある場合は退職給付引当金を計上することもあります。ただし、賞与引当金や退職給付引当金に代表される引当金は税法上損金に算入できない場合がほとんどですので計上した場合は申告書で後に手当が必要となります。

⑤科目明細の作成

いよいよ財務諸表が固まったら、並行して勘定科目明細を作成します。勘定科目明細は法人税の添付資料として必要となります。
この勘定科目明細は、例えば売掛金が100万円計上されている場合は70万円がA社、20万円がB社、10万円がC社、というように内訳を表すものです。
期末になってから慌てて作っていると意外と時間がかかりますので、主要な勘定にはあらかじめ会計ソフト上で補助科目を作っておいて集計を簡単にしておくと良いでしょう。

⑥税金計算

いよいよ仕上げは税金計算となります。税金の申告書は専門的な知識が必要ですので、全て税理士に丸投げしている会社もありますし、社内にある程度税金の知識がある人材がいればドラフトを会社で作って税理士にレビューしてもらうこともあります。
税金計算は知識が全くないと難しく感じて敬遠してしまいますが、前期の申告書と申告ソフトがあればあまり知識が無くてもある程度のものは作れてしまいます。
ですので、今まで税理士に丸投げしていた場合は一度自分で作ってみるというのも良いかもしれません。特に、税金計算ができる経理担当者というのは転職の際にも重宝されるので、積極的にチャレンジしてみることをお勧めします。

⑦決算書の作成

税金計算が終わると、いよいよ決算書の作成です。
決算書は提出目的によって様々な形式で作成されます。例えば株主、税務署、銀行向けのものであれば計算書類、上場会社であれば有価証券報告書や決算短信等、用途によって形式が異なります。
ですので、試算表レベルでは同じものを使って、用途に合わせてエクセル等で組替表を作成するか、計算書類だけで良い会社であれば会計ソフトから出てくる決算書をそのまま使うことができるでしょう。
ここで、前期の決算書と見比べるという作業を入れると良いです。前期はあった項目が当期にはなかったり、当期急に変な科目が出ていたりしていたら、間違っている可能性があるのでもう一度その科目を詳しくて見ましょう。また、マイナスの科目が無いかも一度確認してみましょう。

まとめ

期末決算では色々な業務が必要となります。期末決算は月次決算のように早さを重視するのではなく正確さが求められます。焦らずに、一つ一つの科目を固めていって、何度もやり直しとならないように注意して業務を進めていきましょう。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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