税理士試験受験生には受験専念の方もいれば社会人受験生もいます。受験専念の方は朝から晩まで専門学校の自主室を使えばいいですが、社会人受験生は勉強スペースの確保に苦労している方も多いと思います。今回は、社会人受験生にとって重要な勉強スペースの確保について、税理士の井上幹康先生が自身の実体験も踏まえて紹介していきます。
突然ですが、税理士試験の社会人受験生の皆さんは平日、土日どのような場所で勉強されているでしょうか?
私は社会人受験生としてこれまで税理士試験や不動産鑑定士試験の勉強をするにあたり、以下のような場所を勉強スペースとして活用していました。
1 | 専門学校の自習室 |
2 | 有料自習室、コワーキングスペース |
3 | 本屋併設の有料ブックカフェ |
4 | 図書館 |
5 | 自宅の自分の部屋 |
6 | 会社の自分のデスク |
7 | 普通のカフェ、レストラン、フードコート |
8 | 通勤電車 |
他にも思い出せないだけでいくつか勉強スペースは確保していました。ここで重要なのは、勉強スペースはできるだけ複数の候補を確保しておくということです。
勉強スペースの所在場所としては、できるだけ自分の行動範囲内で見つけられればベストです。社会人の方であれば平日は自宅の最寄駅から会社の最寄駅の通勤区間内で見つけられれば勉強スペースへの移動時間ロスが少なくなります。
なお、勉強スペースは有料か無料かでも分類できますが、有料のメリットは「それだけコストをかけている以上、しっかり勉強しようというマインドになること」が挙げられます。無料の勉強スペースだけに限ると複数の勉強スペースを確保しにくいので、いくつか有料の勉強スペースも入れておくとよいと思います。受験専念の方に比べ社会人受験生の方が多少金銭的には有利でしょうからぜひ有料の勉強スペースも検索してみましょう。
##複数の勉強スペースを確保したほうがいい理由
では、なぜ複数の勉強スペースを確保しておいた方がいいのかというと、私は以下のような理由が挙げられると思います。
税理士試験は1年1科目ストレートで合格しても5年もかかる長期戦です。そんな長期戦の勉強をする過程ではどうしても勉強がマンネリ化するリスクがあります。マンネリ化する原因にもいくつかあると思いますが、その1つに勉強する場所がいつも同じというのがあると思いますし、現に私はそうでした。
ということで、勉強のマンネリ化を防ぎ、日々の勉強にメリハリをつけるためにも勉強する場所を変えるというのは非常に効果があると思います。
例えば、社会人受験生が平日夜に仕事を終えて専門学校の自主室へ行ってみると満員で使えないとか、土日少し寝坊して専門学校の自主室へ行ったら満員で使えないなんてことはよくあることだと思います。
こんな時、皆さんはどうしているでしょうか?「今日は自習室満員だから勉強はできないや」とあきらめてしまう方もいれば、別の勉強スペースを探す人もいるでしょう。ここで、別の勉強スペースを探して勉強しようとすることは非常にいいことなのですが、あらかじめ勉強スペースの候補を複数確保しておかないとどこで勉強しようかとあれこれ考えている時間が勉強時間のロスにつながります。いろいろと場当たり的に探してみたけどいい勉強スペースが見つからず、探し疲れたから今日は勉強しないでいいやということになってしまうこともあるでしょう。
ということで、こうした勉強時間ロスを防ぐためにもあらかじめ勉強スペースの候補を複数確保しておいた方がいいと思います。
以上、勉強スペースはできるだけ複数確保しておく方が望ましいという点を解説してきましたが、それぞれの勉強スペースごとにどんな勉強をするかもあらかじめ決めておくことでさらに勉強時間のロスを防ぐことができます。
ここでは、私がそれぞれの勉強スペースごとにどんな勉強をすると決めていたのかをご参考までにご紹介します。
2時間程度勉強時間が確保でき、かつ、机に座って勉強できる➀専門学校の自習室のような勉強スペースでは、答練や過去問を時間を計って解いたり、電卓を使用する計算問題を解いたりするようにしていました。
2時間程度勉強時間は確保できるものの、音を出せない④図書館のような勉強スペースでは、理論問題を解いたり、理論暗記をしたりするようにしていました。
勉強時間があまり取れない隙間時間で利用するような⑦普通のカフェ、レストラン、フードコート、⑧通勤電車などの勉強スペースでは、ひたすら理論暗記をするようにしていました。こうした雑音の多い環境下の方が集中して勉強しやすいとかよく言われますが、これも人それぞれかと思います。カフェやレストランで周りの話し声等が気になる方は、耳栓をして集中するのも全然アリだと思います。ちなみに、私自身はその日の体調などにとって耳栓なしで集中できる日もあれば、耳栓しないと集中できない日もありましたので、常に耳栓は持ち歩いていました。
私が税理士試験の消費税法の受験生だったころの話ですが、当時私は自宅近くのTAC新宿校で消費税の講義を土曜日に通学で受講していました。
その時に同じクラスだった社会人受験生の1人に私よりも一回り年上で、毎週仙台から新宿まで新幹線を使って講義を受けに来ている方がいらっしゃいました。私も消費税の答練の成績は常に上位数%に入っていましたが、その方もそうでした。
その方になぜ毎週仙台から新幹線を使ってまでして新宿に通っているのかを一度聞いてみたことがありますが、「自宅だと家族もいてなかなか集中できないし、どうしても新宿でその講師の授業を受けたいのもある。あとは、TAC新宿校で周りに多くの受験生に囲まれて勉強するのがとてもいい刺激になる。」とおっしゃっていました。新幹線移動中も勉強できるので移動距離はあっても勉強時間のロスはあまりないのだろうけれども相当のコストがかかっているのは容易に想像できますよね。それでもその方自身の判断では、新幹線コスト以上に勉強場所(勉強スペース)にこだわる理由があったのでしょう。
税理士試験は人生をかけ、常人離れした行動を積み重ねていかないと受かりません。勉強スペース1つにしても妥協しないでこだわってみてはいかがでしょうか。
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