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青色申告ってなに?どんなメリットがあるの?

HUPRO 編集部
青色申告ってなに?どんなメリットがあるの?

確定申告の申告方法には、青色申告と白色申告があります。この2つの申告方法は内容が異なるだけではなく、納める税金額も違うので、どちらを選ぶのかはとても重要です。そこで、青色申告と白色申告は何が違うのか、そして青色申告のメリットについての知識を深めましょう。今回は、青色申告について解説していきます。

青色申告と白色申告の違いは?

白色申告は、簡単な帳簿による提出で確定申告を済ませることができます。ただし、青色申告のような節税効果を得るといったようなメリットはありません。また、青色申告と白色申告の大きな違いといえば、帳簿書類です。青色申告では複式簿記による記録、そして賃借対照表、損益計算表の添付が求められます。また、これらの帳簿は7年間保管しなければならないとされています。
青色申告と白色申告のそれぞれの違いについて、詳しくはこちらのコラムでも紹介しています。

関連記事:専従者控除とは?白色申告と青色申告で何が違う?

複式簿記と簡易簿記との違いは?

先ほど「複式簿記」という言葉を使いましたが、この青色申告に必要とされる複式簿記とはどういったものなのか、少し解説しましょう。複式簿記とは、取引のすべてを「借方」と「貸方」に仕訳をして記帳する簿記のことをいいます。例えば、現金によって1本のペンを買った場合であれば「消耗品費」という項目と「現金」という項目の2つについて記帳するのです。ちなみに複式簿記は「発生主義」といい、このような取引が起こった時点での記入が必要だとされています。

一方、複式簿記よりも簡単に記帳をする方法である簡易簿記というものも存在します。簡易簿記では、複式簿記のように取引を細かく記帳する必要がありません。先ほどの例で言えば、現金でペンを購入しても、内訳と金額を記入しておけば、それだけで問題はありません。なお、簡易簿記では現金に動きがあった時点での記入で構わないとされています。つまり、商品の納品日と入金日に何日か間が開くような場合、入金日を基準にして帳簿をつけることができるのです。

関連記事:単式簿記と複式簿記の違いとは?青色申告をするには?

青色申告を利用できる人とは?

記帳が複雑なのは分かるけれど、節税効果があるのであれば青色申告を利用したほうが良いのではないかと考える人も少なくないでしょう。けれど、国民みなすべてが青色申告を利用できるわけではありません。青色申告を利用することができるとされているのは、次の条件に該当する人だと限られています。

事業所得のある人

事業所得とは、農業、漁業、サービス業、小売業といった事業により所得を得ている人のことです。このような人は、青色申告の対象とみなされます。

山林所得のある人

山林所得とは、山林を伐採したり、または立木のままで譲渡したりすることで生じる所得のことをいいます。ただ、山林を取得し、その後5年以内に伐採または譲渡をして所得を得た場合は、山林所得ではなく事業所得または雑所得とされます。また、山林所得がある事業とあわせて不動産所得や事業所得に該当するような事業を行っていない場合は、青色申告のメリットとされる65万円の特別控除は受けられませんので、注意してください。ただ、山林所得のみの場合でも、10万円の特別控除は受けることが可能です。

不動産所得のある人

不動産所得とは、不動産賃貸のなかでも事業規模のものをいいます。事業規模とは、例えば、独立家屋の場合であれば5棟以上、アパートであれば独立している部屋が10室以上の規模です。また、年や建物のような不動産の賃貸のほかにも、不動産にかんする地上権の設定や貸し付け、航空機や船舶の貸し付けで得た所得も不動産所得に含まれます。ただし、不動産売買による所得は譲渡所得とみなされ、青色申告の対象ではありません。

青色申告で確定申告をするメリットは?

では、青色申告で得られるメリットを具体的にご紹介しましょう。こちらをご覧いただければ、どうして白色申告ではなく青色申告をする人がいるのかが理解していただけるはずです。

利益より65万円を差し引くことが可能

事業取引によって得た利益から65万円または10万円を控除してもらえます。このメリットが青色申告で確定申告をする最も大きなメリットといえるでしょう。複式簿記による記帳をし、賃貸貸借表と損益計算書を添付して、定められた期限内に申告をすれば、65万円の特別控除を受けることができます。たとえ簡易な帳簿作成であったとしても、10万円の特別控除を受けることが可能です。

事業の赤字を3年間繰り越すことができる

青色申告では、事業の赤字を3年間繰り越すということが可能です。つまり、翌年以降に黒字が発生したとしても、その利益より赤字の損失分を差し引いて申告することができるというものです。ただし、これは不動産所得、譲渡所得、山林所得、事業所得のみに限定されます。

家族への給与を必要経費として扱うことができる

事前に届け出が必要にはなりますが、配偶者などの家族である従業員に対する給料は、必要経費として計上することが可能です。白色申告の場合は、配偶者は89万円まで、その他の親族は50万円までと上限がありますが、青色申告にはそのような上限は設けられていません。

家賃、水道光熱費なども必要経費として計上が可能

自宅と事務所が同じである場合、家賃や水道光熱費、通信費といたようなものの一部を必要経費として計上することが可能です。なお、賃貸マンションやアパートの家賃の一部は必要経費としてみなされますが、住宅ローンはそのようなことができないので、気をつけてください。

少額減価償却資産の特例を受けることができる

自動車やパソコンなどの原価償却資産を手に入れた場合、一般的には耐用年数に応じて数年間をかけて経費化されます。ただ、青色申告であれば、30万円未満までのものであれば、一括での減価償却もできます。経営の状況に応じ、経営が順調であれば一括で計上をしても構いません。ただし、耐用年数で申告をしたものを翌年以降に一括計上することはできませんので、注意してください。

まとめ

青色申告は複式簿記での帳簿の作成が求められるため、ある程度の知識が必要になります。けれど、それに対する大きなメリットを得ることができるので、青色申告の対象者の方は、よく検討して決めましょう。

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