公認会計士の採用において、4大監査法人は就職に際して協定を結んでいます。これを聞いて「どんな協定?」と思われる人も多いと思います。そこで今回は4大監査法人の就職に関する協定の紹介と、就職までの過程を解説します。
就職の協定の話の前に以前の超売り手市場であった時代の監査法人の内定の出し方をご紹介します。
超売り手市場であった時代では、公認会計士を一人でも多く採用しようと大手監査法人は受験生に対して積極的にアプローチをかけていました。具体的には、全国模試上位者に対して事前に声掛けをしたり、合格発表前に高級な店で接待をしたり、20年近く前は支度金として高額なご祝儀を渡すなど、本当にあの手この手で受験生を囲っていたとも言われています。
しかし各法人が過熱しすぎて不当に受験生を囲っているのではないか、過度な接待は社会通念上良くないのではないかという疑念も起きてきたことと、人手不足もひと段落することが見えたこともあり自主的に規制することとなってきました。
しかし、それでも受験生へのアプローチが無くなったわけではなく、論文試験から合格発表までの間に各法人工夫を凝らして積極的な採用活動をしていました。逆に受験生側も数社内定をもらっておいて最終的に本命以外は辞退をすることもあり、監査法人側も入社人数が最後の最後まで確定できない事態が起きました。
そこで、4大監査法人は就職に関する協定を結ぶこととなります。おおよその内容は次の通りです。
・東京事務所管轄に限った話でその他の地方はそれぞれ取り扱いが異なる
・就活生と会うのは午前9時から午後9時までの間に限る
・就活生と監査法人職員は共にアルコールを飲まずに会う
・日曜日に就活生と会うことは禁止する
2019年のスケジュールで言うと、8月26日の論文式試験が終わってから8月31日までは監査法人による採用イベントは開催されません。これは受験生も長い受験生活を終えてすぐに採用に走り回らないといけないとつかの間の休息も取れないからです。私が就職活動したころはすぐに採用活動が始まっていたため試験後はとてもあわただしかったことを覚えています。
2019年9月2日から9月30日まで各種法人の採用イベントがスタートしています。あくまでもイベントであって面接を行うことや内定を出してはいけない期間とされています。これにより、イベントに行かなかったから不採用、となるような事態が避けられます。
ただ、イベントではリクルーターと受験生がざっくばらんに話せる機会ですので、監査法人の内情を教えてもらえる機会ですし、実際のところイベントで一度お話するとリクルーターも受験生の顔や内面を見ることができるため、採用時に考慮することは当然でしょう。
2019年は10月1日から11月14日まで個別相談会というものが催されます。これは採用イベントに行けなかった人や、より具体的に法人のことを知りたいといった人のために設けられているものです。
ここでもまだ採用活動ではないとされていますが、気になる法人がある場合は積極的に参加すると両者にとって良い機会でしょう。
いよいよ論文試験の合格発表となり、採用活動が始まりますが2019年では11月15日の発表後、17日までは採用イベントは開催しないこととなっています。合格すると色々と身支度もありますし、今のうちにやりたいことはやっておきましょう。ただ、説明会の申し込みが開始されますのでそれだけはやっておきたいところです。
この後11月18日から22日までは説明会期間とされ、面接や内定は一切出さないこととなっています。
この後少しの期間を置いて面接期間を11月25日から30日まで設けています。1人にかける面接時間は最長2時間までとし、他の法人に行かせないような過度な引き留めを行えないようにしています。
ちなみに面接の内容ですが各法人特色がありますが、会計士になった理由や当法人を志望する理由、やりたいことの3つはほぼ間違いなく聞かれる内容ですので特に他の法人との違いはなんとなくでも言えるようにリクルーターの人から事前に情報は収集しておくことが大事です。
監査法人によっては外国人との面接で英語で行われることもありますが、わからないことはちゃんと聞きなおす等粘り強さも必要でしょう。
内定が出ると、後はどの法人に入社をするかを受験生の方から確約する必要があります。先にお話しましたが、何社も内定をもらってギリギリまで入社するかどうかわからなかった過去の経験を踏まえて1社にのみ入社承諾書が出せるようになっています。
複数法人に承諾書を送ってしまうと最悪全ての法人の内定が取り消される可能性があるので十分注意しましょう。
4大監査法人による協定に沿った就職までのスケジュールを解説しました。以前と比べて受験生視点に立った良い協定だと思っています。個人的にはどの監査法人も良いところがあると思いますが、社風も法人によって異なるので自分に合う監査法人を十分考えましょう。
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