公認会計士試験に合格した多くの方が4大監査法人への就職を検討しますが、「自分の学歴で本当に大手監査法人に採用されるのか?」という不安を抱く方は少なくありません。結論から申し上げると、4大監査法人の採用において学歴はほぼ関係ありません。この記事ではその理由を徹底解説いたします。
結論から言うと、4大監査法人では学歴フィルターは存在しません。
4大監査法人が学歴を重視しない最大の理由は、慢性的な人材不足にあります。4大監査法人に就職・転職するにあたり、最も重視されるのは「公認会計士試験に合格しているかどうか」です。また、監査業務ではコミュニケーション能力、チームワーク、論理的思考力、継続学習能力などがより重要視されます。実際の4大監査法人には、高等学校卒業後に社会人経験を経て公認会計士試験に合格した方や、専門学校卒業者、海外大学出身者など、多様な学歴背景を持つ職員が在籍しています。パートナーレベルまで昇進している方々の出身大学を見ても、必ずしも有名大学出身者ばかりではないことがわかります。
さらに、4大監査法人では多様性(ダイバーシティ)を重視する経営方針を掲げており、性別、年齢、国籍、学歴などの属性に関係なく、能力のある人材を採用することを明確に打ち出しています。これは単なる建前ではなく、実際の採用活動にも反映されています。
区分 | 出 願 者 | 合 格 者 | 合 格 率 | 受 験 者 構 成 比 |
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大 学 院 修 了 | 1,071 人 | 60人 | 5.6% | 3.7% |
会 計 専 門 職 大 学 院 修 了 | 745人 | 28人 | 3.8% | 1.7% |
大 学 院 在 学 | 176人 | 14人 | 8.0% | 0.9% |
会 計 専 門 職 大 学 院 在 学 | 207人 | 21人 | 10.1% | 1.3% |
大 学 卒 業( 短 大 含 む ) | 9,657人 | 747人 | 7.7 % | 46.6% |
大 学 在 学( 短 大 含 む ) | 6,901人 | 605人 | 8.8% | 37.7% |
高 校 卒 業 | 2,255 人 | 102人 | 4.5% | 6.4% |
そ の 他 | 561人 | 26人 | 4.6 % | 1.6% |
公認会計士の学歴別合格率を見ると、短大を含む大学卒業生、もしくは大学在学中の学生が大きな割合を占めています。これは、試験対策に十分な時間と環境を確保しやすいことが一因と考えられます。一方で、高校卒業など学歴に関係なく合格している人もいるのも事実です。近年では専門学校や通信講座の充実により、独学や社会人合格者も増加傾向にあり、努力次第で十分に合格可能な試験といえます。
出典:令和6年公認会計士試験
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | |
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令和4年度(2022) | 慶應義塾(187人) | 早稲田(109人) | 明治(86人) | 東京(57人) | 中央(54人) | 立命館(54人) | 神戸(50人) | 京都(47人) | 同志社(44人) | 一橋(38人) |
令和5年度(2023) | 慶應義塾(165人) | 早稲田(128人) | 明治(101人) | 東京(56人) | 同志社(56人) | 中央(55人) | 京都(50人) | 京都(43人) | 神戸(44人) | 一橋 ⁄ 法政 ⁄ 立命館(38人) |
公認会計士試験合格者の出身大学について、上記の通り慶應義塾大学、中央大学、東京大学、早稲田大学、明治大学などの有名大学の合格者が多く見られます。しかし、これらの大学からの合格者が多い理由は、受験者数が圧倒的に多いこと、会計士講座の充実度、受験環境が整っていることなどが挙げられます。つまり、合格者数の多さは必ずしも学歴の優位性を示すものではありません。実際に地方国立大学や中堅私立大学出身の合格者も相当数存在します。
出典:公認会計士第2次試験及び公認会計士試験 大学・年度別合格者数一覧表/公認会計士三田会調べ
最も重要なのは公認会計士の資格です。4大監査法人では、公認会計士資格を持つ人材を中心に採用を行っており、この資格の有無が採用の可否に大きく影響します。
公認会計士試験は日本で最も難関な資格試験の一つとされており、合格率は約10%程度と非常に低い水準です。この試験に合格すること自体が、高い学習能力、継続力、専門知識の証明となります。
また、公認会計士試験に合格していない場合でも、試験勉強中であることや短答式試験に合格していることを評価する法人もあります。特に、短答式試験に合格している場合は、一定の会計知識を持っていることが証明されるため、採用において有利に働きます。学歴に自信がない方は、まず公認会計士試験の勉強に集中することをお勧めします。この資格を取得することで、学歴のハンディキャップを完全に克服することができます。
グローバル化が進む現代において、英語力は4大監査法人で非常に重要視されるスキルです。特に外資系企業の監査や国際業務に携わる機会が多いため、英語でのコミュニケーション能力は必須となっています。最近では内部でパートナーに昇格するためにTOEIC一定点数以上の英語能力が必須となっている監査法人がほとんどです。就職時にTOEICスコアや英語力の証明があると大きなアドバンテージになります。
監査業務では、クライアント企業の様々な部署の方々と連携する必要があります。そのため、円滑なコミュニケーション能力は学歴以上に重要視されます。複雑な会計処理について説得力を持って説明したり、チームメンバーと効率的に業務を進めたりする能力は、学歴では測れない実務能力といえます。
4大監査法人への就職を成功させるためには、学歴に頼らず、実践的なスキルと戦略的な準備が必要です。
上記でも述べた通り、公認会計士試験の合格は、4大監査法人への最も確実な道です。この試験に合格すれば、学歴に関係なく採用の可能性が大幅に高まります。
4大監査法人への就職を成功させるためには、面接対策が重要です。自分の強みや志望動機を明確に伝える能力、チームワークを重視する姿勢、継続的な学習意欲をアピールすることが求められます。また、英語学習など、学歴以外の差別化要素を準備することも効果的です。面接対策に自信がない方は業界に精通したアドバイザーが、志望動機や自己PRの添削から模擬面接まで丁寧にサポートするヒュープロがおすすめです。
監査法人での業務に必要なスキルを事前に身につけることで、学歴のハンディキャップを補うことができます。これらのスキルは実務で直接活用できるため、採用担当者に即戦力としての価値をアピールできます。具体的には以下の通りです。
4大監査法人への就職において学歴は関係ありません。コミュニケーション能力、英語スキルなどの実務に直結する能力を身につけることで、学歴に関係なく採用のチャンスは十分にあります。公認会計士試験の合格を目指し、必要なスキルを着実に身につけていけば、4大監査法人への道は必ず開けます。学歴ではなく、実力で勝負する意識を持って、戦略的な就職活動を行いましょう。