会計の資格の中でも、簿記検定は1番人気の資格であり、会計の仕事をする上で必須の資格といわれています。簿記1級はそんな簿記検定の中でも最難関の資格として位置付けられ、合格率も低くなっています。
今回はそのような簿記1級の資格取得者の年収と転職先について詳しく解説していきます。
まず初めに簿記1級という資格について解説します。
日商簿記検定は、メインの会計資格として認知されており、会計事務所などに就職する際において必要な資格の一つとされています。簿記1級はその簿記検定の中でも最難関の資格です。
しかし、簿記検定の中でも一番人気なのは2級であり、一般企業の経理や中小規模の会計事務所においては簿記検定2級を取得していれば、働いていく上で必要なスキルは十分足りているといわれます。
1級を取得することで他の会計人との差別化を図ることができ、就職や転職の際に有利となり、より良い転職先を見つけることができます。さらに転職先での業務レベルも変わってきますので、1級を取得することで年収UPにつながる他、税理士の資格取得にも繋がるので、様々な恩恵を受けることは間違いないのです。1級を取得することで得られる会計スキル以上に、取得することで希少価値の高い資格を保有している証明となり、優秀な人材として認められる可能性が高いと考えられます。
日商簿記検定は年に二回あり、2024年の試験日は以下となっています。
簿記一級試験日程
第167回 | 2024年6月9日 |
第168回 | 2024年11月17日 |
試験科目は、『商業簿記』『会計学』で90分、『工業簿記』『原価計算』で90分となっています。
合格基準は1科目配点が25点で、合計で70%以上あれば無事合格となります。しかし、1科目でも10点未満があると不合格となります。
1級については、2級や3級と比較して、合格率が極めて低いといわれています。2級や3級の合格率については、30~50%あることが多いですが、1級は合格率が10%に満たないことが多く、全体的に難易度が高くなっています。
学習時間としては、一般的に日商簿記検定2級合格レベルに達している人で、500~1000時間と言われています。
平日に1時間勉強し、土日の休日に10時間勉強すると月に100時間は勉強できます。
6ヶ月で600時間、1年~1年半程勉強する必要があります。
学習方法としては、「テキスト」「問題集」「過去問」を使用しますが、最終的に過去問が9割はとれるようになるまで繰り返し説くことが大切です。
では、簿記1級を取得したら実際にどのような会社に転職できるのでしょうか?
まずは、上場企業の経理職です。日商簿記1級では連結決算などの大企業の経理に役立つ知識を学ぶことができるので、それらの知識を生かして仕事をすることができます。上場企業だと、未経験からの転職の場合でもきちんとした教育体制のもとで働くことができるため、おすすめです。
経理部とは別に財務部がある事業会社があります。
財務部の仕事内容は経理とは全く異なり、「これから使う資金」の運用方針の立案や管理をしています。
自社の財務状況を把握し、未来の運用方針を決めていくという仕事は簿記1級で培った知識を十分に活かすことができるでしょう。
内部監査部では、会社内で監査を行う部署です。日本では上場企業は内部監査をしなくてはならないという法律があるため、どの上場会社にも必ず存在しているポジションです。
監査には大きく分けて会計監査と業務監査がありますが、会計監査は自社の財務諸表をチェックしたり、数字に誤りがないか確認する仕事ですので、簿記1級での学習内容を活かすことができます。
経営企画部は、自社の財務諸表をもとに今後の会社の経営戦略を立てる仕事です。経営企画においても、会計の知識は必須となります。
特にIRの仕事は自社の財務状況を、各ステークホルダーへ説明することが求められますので、簿記1級レベルの知識が必要とされます。
会計事務所は、「財務」ではなく「税務」をメインとした仕事内容になるため、経理の仕事とは少し異なっています。
会計事務所では、税理士が行っているクライアントの税務業務を補佐する「税理士補助」というポジションで就職ができるでしょう。
簿記1級で得た知識を活かし、税理士試験に挑戦をし、税理士資格取得を目指すこともおすすめします。
コンサルティングファームでは、クライアント企業のM&AやIPOのアドバイザリーをすることがあります。
M&A前のデューデリジェンス業務や上場支援を行うIPOコンサルでは、会計の知識や企業価値の評価をできる力が必要になります。
公認会計士がこのような仕事を担うことが多いですが、簿記1級を取得していることで、コンサルティングファームへの転職が有利になる可能性もあります。
ご紹介したように日商簿記1級は様々な職場で活かせる資格といえます。ここでは、その中からオススメの職場として、税理士法人Blue Works Taxをご紹介します!
税理士法人Blue Works Taxは東京都新宿区に本社を置き、大阪や名古屋にも支店を展開している税理士法人です。「専門家のあり方を変える」というミッションを掲げており、「専門家をもっと身近に。手軽に。」するため、フリーランス顧問税理士サービス、1人会社専用顧問税理士サービス、適格SO・非適格SO申告サービス、IPO支援などを展開しています。
いずれも簿記の知識を活かした税務業務が中心となるため、資格取得のために勉強した知識がそのまま活かせるのはもちろん、裁量を持って働くことができる点も魅力です。
フレックス勤務が可能であるほか、みなし残業がなく繁忙期も残業時間が少ないため、ワークライフバランスを重視したい方や、簿記1級の知識を活かして税理士試験の受験を目指したいという方にもオススメの職場といえます。
また、スーツ着用のメンバーがいないカジュアルな雰囲気であるのも、働きやすいと感じる方が多い理由の一つでしょう。
税理士法人BlueWorksTaxについて、詳しい情報を確認されたい方は、以下より事務所様のサイトをご覧ください。
税理士法人BlueWorksTax│HP
簿記1級取得者の年収については、おおよそ500万円~(※当社調べ)といわれています。
求人サイトなどで「簿記1級資格保有者」の条件ありとして、調べてみても高収入の求人がヒットします。これは、大企業やコンサルティングファームからの求人が多くなっていることが関係しています。
ただし、これは都心部での平均年収であり、地方などはもう少し年収が下がると考えてください。
地方では大手の求人が少なく、中小の会計事務所や中小企業の経理などの求人が多くなるため、簿記1級の資格を生かすことができる転職先が少ないため、1級を取得したことでの年収UPはあまり期待できません。
地方での年収アップをお考えの方は、簿記検定1級のさらに上位資格である税理士や公認会計士といった資格取得をすることで、高収入の転職先を見つけることができるようになります。
未経験者が簿記1級を活かせるオススメの転職先
①上場企業のような大手の企業は、業務の専門性が高く、海外支店会計や連結会計などの高度な経理業務を行っているので、日商簿記1級の知識を身につけていることや、難関資格に合格した能力の高さや向上心などが高く評価されます。
②ベンチャー企業は、基本的に人手が足りないので経理部員1人に与えられる業務の幅が広く、採用される確率も高くなり、IPOを見据えたベンチャー企業の場合、M&A関連の会計処理・税務処理を行うことによってスキルが身に付けることができます。
③会計事務所の中には経理経験や税務業務経験を重視しているという場合もありますが、若くして日商簿記1級を取得している場合には、面接の際に高く評価されるというメリットがあります。
実務経験があることで、中小企業の転職だけでなく、大企業の第二新卒も狙えます。中小企業では日商簿記2級でも採用される場合が多いので、1級を取得しており、実務経験をアピールすることでかなり面接に有利であると思われます。
簿記1級の合格にあたって、財務諸表の分析や、原価計算などの分野も幅広く学ぶため、大手企業の財務分析や原価計算などの部門で仕事をすることが可能となります。
そのため、難易度の高く、やりがいの高い仕事を任されるようになります。2級や3級取得者のレベルでは行うことができない仕事もすることができ、会計業界でのスキルアップにもつながります。
日商簿記1級の紹介をしてきましたが、もちろん転職で活かせる資格は簿記1級だけではありません。今回は簿記1級と同じく、会計業界などで活かせる資格についてご紹介します。
税理士は言わずと知れた国家資格であり、簿記1級よりも難易度は高い分、取得することで転職における市場価値は遥かに高くなります。税理士試験を5科目合格もしくは一部科目合格後に大学院免除を受けて合格するだけでなく、実務経験などの条件もクリアしないと、税理士にはなれません。晴れて税理士になったら、幅広い職場からのニーズがある一方で、自身で独立開業することもできます。
会計監査の専門家である公認会計士も知名度の高い難関国家資格と言えるでしょう。公認会計士は多くが監査法人に就職しますが、M&A領域や一般企業からもニーズの高い有資格者です。
ここまで紹介した資格は合格率が低く、特に税理士や公認会計士は難関国家資格と呼ばれているため、取得するハードルは高いです。しかし、簿記2級に関しては商業高校生や大学生も多くが取得している資格であり、比較的合格しやすいといえます。それでいて転職活動では有利に働く場面が多く、特に会計事務所などの士業では簿記2級以上が必須の求人が大多数です。
最低限簿記2級を持っておくと、かなり転職先の選択肢が広がるのがリアルです。
簿記1級は確かに一つのアピールポイントにはなりますが、それを活かせる職場であればあるほど、同じ武器やそれ以上の税理士や公認会計士を持った人と同じ採用枠を争うことになります。
そうなると、簿記1級だけのアピールでは内定を勝ち取ることはできません。
前職の経験があればそこから習得したスキルや能力を洗い出した上で、それを応募先にどう活かせるのかというところまで伝えられるようにしましょう。
簿記1級を活かせる職場が数多くあることは先述させて頂きましたが、その中でどの業界に興味があるか、幅広く検討してみることをオススメします。
一つの業界や職場に絞って転職活動を進めてしまうと、中々希望条件とマッチする企業から内定をもらえなかったり、業界のいいところばかりを見てしまった結果、入社後にギャップを抱えてしまうケースがあるからです。業界研究や企業研究とともに自己分析をした上で、最適な職場を見つけられるようにしましょう。
日商簿記1級が活かせる会計業界などは売り手市場であるため、転職成功率は高いでしょう。
また、未経験でも会計事務所や大企業の経理部に転職できる場合があるのでキャリアプランも広まるといえます。
ヒュープロでは士業・管理部門でのご転職をお考えの皆さまのサポートをさせていただいております。
簿記資格を活かせる最新求人のご提案や、キャリア相談も承っております。
気になる方はぜひ、ヒュープロにご登録ください。
今回は簿記1級を取得することで関係する年収と転職先について解説しました。1級の資格については合格者が少なく、希少価値の高いためよりよく、幅広い転職先が見つけられると考えられています。1級を勉強することで会計のスキルも身に付けられますし、優秀な人材として評価される可能性が高まります。これを機会に、簿記検定1級の合格を目指して勉強を始めてみてはいかがでしょうか?
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