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法定休日出勤の割増の計算は?どのくらい割増しされる?

HUPRO 編集部
法定休日出勤の割増はどう計算される?

休日出勤について、割増しの賃金がどの位支払われるのかが気になるでしょう。給与計算する場合にも、どう計算するのかを知っておく必要があります。法定休日の割増賃金は、どの位なのか、また、法定外休日だといくらなのかを見ていきます。今回は、法定休日の休日出勤の割増しについて、詳しく解説していきます。

「法定休日」とはそもそも何か?

休日出勤について考える場合ですが、休日の種類には2種類があります。「法定休日」と「法定外休日」です。

「法定休日」は、名前の通り、労働基準法によって定められている、労働者が休まなければいけない休日のことです。労働基準法によって、原則週1日もしくは4週4日以上の休日が法定休日と定められています。
「法定外休日」は、それを上回っている休日のことを指します。

最近では、週休二日制を取っている企業や4週8休、4週6休などを取っている企業がありますが、その場合には「法定休日」と「法定外休日」が存在することになります。法定休日がいつなのかを定めている会社では、就業規則でそれを確認できます。

「法定休日」の定め方について~土曜日か日曜日かを確認

例えば、週休二日制の会社で、日曜日を「法定休日」、もう一日を「法定外休日」としている所などがあります。また、「法定休日」「法定外休日」を決めてない場合もあります。「法定休日」が決められていない場合は、暦週の後ろに来る休日が「法定休日」です。

暦週とは、通常日曜~土曜までを1週間として捉え、最後の方に来る休日を「法定休日」に考えます。

「法定休日」の明記が大切!週休二日制で明記なしは土曜日が法定休日

日曜日を「法定休日」に定めていない場合は、土日の週休二日制であれば、土曜日が「法定休日」になりますので気を付けましょう。土曜日に出勤した場合は、法定休日の割増し賃金が必要となります。もし土曜日の出勤が多いようであれば、日曜日を法定休日としてしっかり明記しておくことが大切です。

また、職種によって土日以外の休日となっている場合は、しっかり法定休日を明記しましょう。何曜日が休ませやすいという日を法定休日に指定しておくといいでしょう。

祝日は「法定外休日」

祝日についても「法定休日」なのか、「法定外休日」なのかが気になるでしょう。祝日や企業で設けられている休日などは、通常「法定外休日」となります。祝日に出勤した場合は、特に就業規則で「法定休日」に休日が定められている以外は「法定外休日」です。
祝日に出勤したからと割増しをもらえそうですが、通常の25%割増しの残業料金と同じ計算です。「法定休日」に出勤した場合とは異なった扱いになりますので気を付けましょう。

シフト制の場合の「法定休日」の決め方は?

シフト制の場合には法定休日がどうなるのかが難しくなります。1週間に1日は法定休日を取るのが原則ですが、4週間で4日以上の休日を与える「4週4休」も労働基準法では認められていて、その定められた日が「法定休日」となります。
必ずしも1週間に1日休みはないけれども、4週間の中で4日をシフト制で休みを取るケースがあるでしょう。そして、例えば火曜日と木曜日が休日だった場合は、日曜~土曜の暦週の後ろに当たる木曜日が法定休日として扱われます。

法定休日出勤をすると割増賃金に!

法定休日をこのようにきちんと決めているのは、法定休日出勤をすると、本来休まなければいけない日に出勤をするということで割増しの賃金にしなければならないからです。

法定休日出勤の割増率は法定外休日出勤より大きい!

法定休日に休日出勤すると賃金が割増しとなり、その計算方法については次のようになります。

法律で休むべき、法定休日の割増率は35%以上

割増率の計算については、法定休日の場合は割増料金が35%以上となり、とても高くなります。労働基準法で定める休日に働いたということで、割増率も高く計算されます。

一方、法定外休日出勤の場合の割増率は25%以上で、通常の時間外労働時間の割増率と同じ25%が基本となります。

法定外休日の割増率は25%以上

どうせ休日出勤するならば、法定休日となっている休日に出勤する方が、割増率が高くなる計算です。賃金計算をする場合も、異なることを理解する必要があります。

法定休日出勤の割増率は法定外休日出勤より大きい!

法定休日出勤の場合の賃金計算例

土日の週休二日制の勤務体系で、日曜日が法定休日として、
日曜の法定休日に出勤した場合は、1日1万円の基本給として、割増率35%で、13,500円の休日出勤賃金になります。

10,000円+10,000円×0.35=13,500円

法定外休日出勤の場合の賃金計算例

土曜日が法定外休日として、土曜日に出勤した場合は、1日1万円の基本給として割増率25%で、12,500円の計算となります。

10,000円+10,000×0.25=12,500円

割増率が10%異なりますので、賃金が10%変わってくることになります。
同じ休日出勤でも、法定休日と法定外休日で異なる計算になることを知っておきましょう。

法定休日で残業をした場合の計算方法

また、法定休日に、残業をしたらどうなるでしょうか。法定休日の残業は、とても高い割増率になると思いがちですが、残業については割増は35%増しのままです。
つまり、8時間労働で1日10,000円の基本給の場合、1時間1,250円ですので、1時間残業すると、

1,250円+1,250円×0.35=1,687.5円

となります。

法定外休日の場合の残業は、1時間1,250円の場合には通常の残業計算と同じで25%増しで、

1,250円+1,250円×0.25=1,562.5円

となります。
残業代の違いは、法定休日と法定外休日ではやはり同じように10%程度異なります。

法定休日に深夜残業をした場合の計算方法

法定休日に、深夜残業したらどうでしょう。法定休日に深夜残業した場合は、深夜残業の25%の割増率があり、それが適用されます。

深夜残業は午後10時から翌5時までの時間ですので、その時間帯に残業した場合は、

法定休日の深夜残業の割増率は35%+25%の60%割増

休日出勤で深夜残業まですると、とても高額になります。
ただし、法定外休日の深夜残業の割増率はそれより低く、通常の日の深夜残業と同じように計算されます。

法定外休日の深夜残業の割増率は25%+25%で50%割増

法定休日には休ませるのが会社としては得!

会社側の立場からすると、法定休日には休ませるのが得です。割増率が高い法定休日に休ませるようにし、どうしてもという場合には、法定外休日に出勤してもらうのがいい方法でしょう。

法定休日出勤の場合よりも1割、賃金を節約できます。そしてまた、法定休日には特に残業や深夜残業をさせないようにしないと通常よりも高い残業代を払うことになります。

法定休日に出勤した場合には出勤回数に注意!

また、法定休日に出勤した場合は、会社側としては出勤回数が多すぎないように充分に注意をしなければなりません。週1日の法定休日やシフト制の場合の4週4休の法定休日を守っていくことが大切です。
法定休日に出勤した場合は、振替休日を作ることが必要でしょう。

法定休日に出勤して振替で休んだ場合の賃金計算は?振替と代休の違い

法定休日の日曜日などに出勤して振替で休んだ場合の賃金は、どうなるのかも気になります。その場合には、最初から振替になるということがわかっていれば、法定休日出勤の割増率35%を会社は支払わなくて済みます。振替で休んだ日が法定休日となり、休みを交換したと考えられておすすめです。

それに対して法定休日に出勤して「休みがいつになるかわからない」場合で、結果的に代休を取れた場合には法定休日出勤の割増率が適用されます。
振替がある場合と代休がわからない場合では、割増率の計算が異なってきますので注意する必要があります。

法定休日の半日出勤はどうなる?

法定休日に、半日出勤という場合もありますよね。その場合も、35%の割増賃金に変わりはないことも知っておきましょう。法定休日としては、1日(午前0時~24時まで)を休日にするようになっていますので、例え半日でも出勤となり、割増賃金が支払われることになります。35%増しで時給計算や日給を半分にして計算するようにします。

パートやアルバイトにも同じ計算方法を適用

パートやアルバイトについても、労働基準法によるこの法定休日の考え方は同じですので、しっかり計算しましょう。パートやアルバイトだから休日に出勤してもらおうと気軽に思っても、休日出勤や残業の割増率は同じように適用されます。

また、パートやアルバイトにも振替休日がきちんと取れるような配慮が必要となってきますので、注意しましょう。

割増賃金の未払いがトラブルの原因にも

割増賃金は正当な金額をきちんと支払わないと、労使でトラブルにもなって重要です。会社が未払い請求を受ける可能性もありますので気を付けましょう。
具体的にどんなトラブルがあるのかも参考にしてみるといいでしょう。

法定休日を特定していないことでのトラブル例

例えば、週休二日制で土・日の両日休日出勤した場合に、法定休日を特定していないと、法定休日の割増率をどう計算したらいいのかが不明でトラブルになりかねません。

従業員との認識の違いで訴えられることがあります。

法定休日を特定する見本例

法定休日を特定して就業規則に書く場合の例も、参考にしておくといいでしょう。

【法定休日を特定する場合の例】 就業規則 第〇条  1. 休日は下記のとおりとする。 (1)土曜日、(2)日曜日、(3)国民の祝日、(4)その他会社が指定する日 2 法定休日は毎週日曜日とする(1週間は月曜日から日曜日までとする

休日だけでなく、法定休日も特定して事前に記載しておきます。

また、会社の休日は無く年中無休で営業していてシフト勤務の場合にも、法定休日については、明記する必要があります。

【シフト制の法定休日を特定する場合の例】 法定休日はシフト表における各週の最後の休日とする または、法定休日はシフト表において指定する

などと明記します。

そして、この休日についての就業規則は従業員にもきちんと知らせるようにしましょう。法定休日を変更したりする場合には、就業規則をきちんと改正することで割増額もお互いに納得できるようになります。

まとめ

法定休日がいつなのかを知った上で、休日出勤の割増率も計算できるようにしておくことが大切です。休日出勤したら、いくらになるのか、労使ともに知っておくことが必要です。法定休日に出勤すると35%も賃金が割増しで、例えば3日法定休日に出勤すると、4日分ほどの賃金がもらえるようになります。1日分多めに賃金がもらえる計算です。

休日出勤することで、賃金が高くなり稼ぎたいという人もいますが、法定休日は休むために定められた休日ですので、できれば休めるようにするのがおすすめです。割増賃金の理解も深めて、いい労働環境も守っていけるようになるといいでしょう。

法定労働時間外や法定休日の労働には、「36(サブロク)協定」があり、詳しくは下記のコラムでも紹介していますので、ご覧ください。

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この記事を書いたライター

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