育児休業は原則として子どもが1歳に達するまでです。しかし保育所は年度の途中での受け入れが難しい場合が多く、2017年10月以後、改正により最長2歳まで育児休業が延長できるようになると 、1歳半から2歳まで延長するケースも増えてきました。育児休業の長期化によって、育休明けすぐ、あるいは育休中に次のお子さんを妊娠されるような場合、育児休暇はどうなるのでしょうか?
2人目であっても、雇用保険に加入しており、有期労働契約者のような、契約が更新できないケースなどを除いて、育児休暇を取得し、育児休業給付金を申請することが可能です。
しかし、この時に気を付けたいのがタイミング。子どもは授かりものとは言いますが、どの時期に2人目の子供の育休を取るかによって、育児休業給付金の金額が大きく変わってきます。
以下、3つのケース別に見てみましょう。
育児休業開始前に産前・産後休業を取得した場合は、原則として産前・産後休業開始前の6ヶ月の賃金を180で割った額が、育休手当の支給の計算の基本になります。
しかし、育休明けには、産休・育休に入る前より勤務時間を短くする「時短勤務」をされたり、残業を控えたりする方も少なくありません。
たとえば9:00~17:00までが定時だった勤務を、10:00~16:00とすると、マイナス2時間になるので、基本給が25%カットになります。
その賃金が育休手当のベースとなりますので、育児休業給付金がかなり目減りしてしまうため注意が必要です。
1人目の育児休暇明けすぐに2人目を出産するような場合は、復帰してからの勤務実績がありません。このため、育休手当については、1人目の育児休暇に入る前の休業開始時の賃金月額証明書にて計算することになります。
そうなると、2人目の育児休業給付金も、1人目の育児休業給付金と同額になる可能性が高いです。
この場合は、1人目の育休中に2人目出産があるため、1人目の育休手当については、産前休業開始日の前日(産前休業を取得しない場合は、出産日)までの支給となります。
つまり、産前休業は取得するかどうかを選ぶことができるのです。産前日数分の出産手当金(産後休暇の56日は法的に強制されていますので選ぶことができません)と育休手当を比較して、よりお得な方を選択することができます。
2人目の育休手当については、育児休業開始時点において、受給資格を満たせば受給することが可能です。
育児休暇を受給するには、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12カ月以上あることが条件となります。
しかし、育休中に再び妊娠となると、場合によっては2年間の間にこの要件を満たさないことになってしまいます。この場合は、本人の疾病や妊娠・出産等の理由によるものであれば、延長することが認められているのです。
出産に際し、安心して育てるために育児休暇を取ることができる環境にある人は、ぜひ申請をすべきです。
自営業やフリーランス、有期労働契約者で条件を満たさない人など、出産手当金や育児休業のない職種もある中、法的に認められた制度があることは非常に恵まれた環境にあるといえます。
そもそもなぜ育児休暇を取ることができるかというと「職場復帰して仕事をするため」ですよね。
以前はあった社会保険料の負担もなくなり、期間が延び、対象が広がるなど、育休が手厚くなったことは喜ばしいことです。しかし逆に「復帰して働くよりも手当を受給した方が得」と、制度を悪用して延長する人も増え、落選狙いで保育園を申し込むといったことも起こっており、本当に働きたい人の保活もあいまって社会問題にもなっています。
育休中の人がいたとしても、円滑に業務が回るような職場はまれで、実際は抜けた人の穴埋めにメンバーは苦心しています。
子どもは授かりものですし、育休は権利なので、必要以上に遠慮したり委縮したりする必要はありません。しかし、手当がもらえるからと最初から復帰する意思が全くないにもかかわらず、育児休業を申し出るようなことはやめておきましょう。
当コラム内では、産休・育休についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
・知っておきたい!産前産後休暇について
・育児休暇はいつまで取得可能?
・育児休暇中のお金はどこから出るの?
・育休手当の計算の仕方について