
育児休業は原則子どもが1歳になるまでですが、保育所に入れない場合は最長2歳まで延長可能です。近年は延長ケースも増えていますが、育休中や復職直後に次のお子さんを妊娠した場合、育児休業はどうなるのでしょうか?制度上の取り扱いや給付金について解説します。
2人目の妊娠であっても、育児休暇を取得し、育児休業給付金を申請することが可能です。
(※雇用保険に加入しており、有期労働契約者のような契約が更新できないケースなどを除きます)
しかし、この時に気を付けたいのがタイミング。
どの時期に2人目の子どもの育休を取るかによって、育児休業給付金の金額が大きく変わってきます。
以下、3つのケース別に見てみましょう。
育児休業開始前に産前・産後休業を取得した場合は、原則として「産前・産後休業開始前の6ヶ月の賃金を180で割った額」が、育休手当の支給計算のベースになります。
しかし、育休明けには勤務時間を短くする「時短勤務」をされたり、残業を控えたりする方も少なくありません。
たとえば9:00~17:00までが定時だった勤務を、10:00~16:00とするとマイナス2時間になるので、基本給が25%カットになります。
その下がった賃金が2人目の育休手当のベースとなるため、1人目の時と比べて育児休業給付金がかなり目減りしてしまう点には注意が必要です。
しかし、こうした時短勤務による収入減をサポートするため、2025年4月1日より「育児時短就業給付金」が新設されました。
これは、2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をする人を対象に、時短勤務中の賃金の10%が支給される新しい制度です。
目減り分を全額カバーできるわけではありませんが、この制度を活用することで経済的な負担を少しでも軽減することができます。
1人目の育児休暇明けすぐに2人目を出産(例えば復帰後3ヶ月で産休など)するような場合は、復帰してからの勤務実績がありません。
このため、育休手当については「1人目の育児休暇に入る前の休業開始時の賃金月額証明書」にて計算することになります。
1人目の休業開始時の賃金月額証明書をベースに再計算されますが、産前産後休業開始月の扱いにおいて、2人目の場合は出勤日数が11日以上あっても計算から省くことができない仕組みになっています。
そのため、1人目と全く同額になるわけではなく、1人目よりも若干給付額が下がるケースが多い点に注意が必要です
1人目の育児休暇中に妊娠し、復帰せずに育児休暇に入る場合は、1人目の育休手当については「産前休業開始日の前日(産前休業を取得しない場合は出産日)」までの支給となります。
つまり、産前休業は取得するかどうかを選ぶことができるのです。産前日数分の「出産手当金」と「育休手当」を比較して、よりお得な方を選択することができます。
(※産後休暇の56日は法的に強制されていますので選ぶことができません)
2人目の育休手当については、育児休業給付金を受給するには、原則として「休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上あること」が条件となります。
しかし、直近2年間は働いておらず賃金を受け取っていないため、この要件を満たせなくなる可能性があります。
このようなケースで救済措置となるのが「4年遡りルール」です。病気や出産だけでなく、「1人目の育児休業」などで働けなかった期間もやむを得ない理由として計算から除外し、最大で過去4年間まで遡って受給要件を満たすか計算できる仕組みです。
このルールを適用すれば、復職せずに連続で育休を取る場合でも、2人目の育児休業給付金を受け取れるケースがほとんどです。
ただし、1人目の育休を2年以上取得するなど長期にわたる場合、4年遡っても出勤日数が足りず、給付金がもらえないケースがある点には注意が必要です。
出産に際し、安心して育てるために育児休暇を取ることができる環境にある人は、ぜひ申請をすべきです。
自営業やフリーランス、条件を満たさない有期労働契約者など、出産手当金や育児休業のない職種もある中、法的に認められた制度があることは非常に恵まれた環境にあるといえます。
そもそも育児休暇は「職場復帰して仕事をするため」の制度であり、社会保険料の負担免除や期間延長など、育休が手厚くなったことは喜ばしいことです。
しかし逆に「復帰して働くよりも手当を受給した方が得」と制度を悪用して延長するケースも一定存在し、落選狙いで保育園を申し込むといったことも起こっています。
本当に働きたい人の保活もあいまって社会問題にもなっているのも、また事実です。
こうした背景から、2025年4月より育児休業給付金の受給期間延長手続きが厳格化されました。
従来は市区町村が発行する「入所保留通知書」などの提出で要件を確認していましたが、現在ではこれに加えて「保育所等の利用申込の写し」の提出も必須となっています。
わざと入園できそうにない保育園ばかりを選んだり、申込数を少なくしたりするような、制度の趣旨に沿わない行為を防止するための措置です。
やむを得ず延長を視野に入れている場合は、ご自身の手続きに不備が出ないよう、事前に最新の要件をしっかり確認しておきましょう。
出典: 厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」
育休中の人がいたとしても、円滑に業務が回るような職場はまれで、実際は抜けた人の穴埋めにメンバーは苦心しています。
子どもは授かりものですし、育休は権利なので、必要以上に遠慮したり委縮したりする必要はありません。
育児休業は本来、「職場に復帰して働き続けるため」のサポート制度です。
手当の受給を目的とするのではなく、将来のキャリアや復職への前向きな意思を持ったうえで、ご自身のキャリアと子育ての両立のために、この制度を有意義に活用していくことが大切です。
【ライフスタイルとキャリアを考える/現場インタビュー】