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【用語】会計帳簿とは?帳簿のつけ方などわかりやすく解説

公認会計士 大国光大
【用語】会計帳簿とは?帳簿のつけ方などわかりやすく解説

経理担当者にとって最も目にするものが会計帳簿です。でも会計帳簿と言ってもどこまでが会計帳簿で何を保管しておいたら良いかは迷うところでしょう。
そこで今回は会計帳簿とは?またその保管の際の注意事項なども解説します。

会計帳簿とは?

会計帳簿とは、特段明確な定めはありませんが、財務諸表を作成する上で必要な帳簿となります。具体的には試算表、総勘定元帳、仕訳日記帳、得意先元帳、仕入先元帳、経費帳、現金出納帳などが該当します。この他に固定資産台帳等も含まれ、仕訳を記帳したりする前提のものを総称して会計帳簿と言います。

会計帳簿については、会社法上作成が義務付けられているだけではなく、税務調査の際にも閲覧を要求されます。また、財務諸表を作成する基礎となるものなので、担当者だけがわかっていれば良いものではなく、一定のルールに基づいて作成、保存をする必要があります。

会計帳簿はどのようにつける?

会計帳簿には、基本的につける順番があります。これは、後でお話しますが重複を避けたり記載のしやすさを考えたりしてのことです。そこで、今回は記帳する順番に説明します。

預金出納帳

最初につける帳簿は預金出納帳です。後でお話する現金出納帳よりも先につける必要があります。預金出納帳は、通帳を手元に置いて、毎日の預金の出入りを帳簿に記載します。その際に、日付、入出金金額、振込や入金の相手、入出金の内容を記載することとなります。

預金を引き出して現金とした場合は同時に現金出納帳をつけることになりますし、売掛金の入金があれば得意先元帳に、買掛金の支払があった場合は仕入先元帳にそれぞれ転記することとなります。

しかし、現在手書きでこれらの帳簿をつける企業はほとんどなくなっている為、預金出納帳の相手先を間違えていなければ自動的に現金出納帳、得意先元帳、仕入先元帳に転記される仕組みとなっています。

預金出納帳をつけているとよく桁の間違いや貸借の記入間違いを起こします。後でまとめて間違いを見つけるのは非常に手間なので、できれば1行ずつ、少なくとも10行おきには銀行残高と預金出納帳残高が一致していることを確かめる癖をつけましょう。

現金出納帳

預金出納帳の次につけるのが、現金出納帳です。なぜ預金出納帳の後につけるかというと、預金を下ろしたときにソフトでは自動的に現金出納帳に反映されるからです。逆に原因出納帳で預金に入金した処理をしてしまうと預金出納帳にも反映されてしまい、二重で記帳される可能性があります。

この点、預金出納帳は預金残高との突合せによって間違いが見つかりやすいですが、現金出納帳は手許現金を実際に数えないと間違いが見つからないため逆につけるのは非効率です。

現金出納帳は基本的に毎日つけて、よく資金が移動する会社であれば毎日担当者が実際の現金と照合をして、少なくとも1か月に一度は上司にも現物確認をしてもらい、承認印を貰うようにしましょう。

現金出納帳

得意先元帳、仕入先元帳

先ほどお話した通り、得意先元帳(売掛帳)や仕入先元帳(買掛帳)の入出金は預金出納帳から自動的に転記されます。よって、どちらも売掛金や買掛金の発生については自ら記帳する必要があります。

売上の計上、つまり請求書の発行と同時に得意先元帳にその旨記載する必要があります。また、仕入先から請求書を受け取ったのと同時に仕入先元帳に記載する必要があります。

ただし、実際には入金があったのに間違った相手先で記帳してしまうと、得意先元帳に長く売掛金が残ってしまいます。そんな時、別の会社で同額だけマイナスの売掛金が発生しているはずですので、定期的に得意先元帳の残高に異常がないかを確かめることが必要です。

仕訳日記帳と総勘定元帳

とはいえ、最終的な主要簿というと、仕訳日記帳と総勘定元帳となります。
基本的に先ほどお話したような帳簿を作成していれば仕訳日記帳と総勘定元帳は自動で転記されます。ただし、法人税の処理や引当金の計上など他の補助簿では賄いきれない処理については、振替伝票を作成することで仕訳日記帳と総勘定元帳に転記されることとなります。

よって、全ての取引は仕訳日記帳と総勘定元帳に集約されることとなるので、この二つの帳簿を見れば網羅されます。しかし、一つずつの仕訳を見るのは労力がいるので、気になる仕訳があれば補助簿を見て正しいかどうかを判断する、という流れになります。

会計帳簿の保管期間は?

会計帳簿の保管期間は、原則7年間とされています。会計帳簿だけではなく、注文書や契約書、領収書等の書類も併せて7年間保管しなければなりません。
しかし、現在は欠損金の利用期間も考慮し、赤字が出ている場合は10年間保存しなければならないこともあり、基本的には10年間保存して廃棄する、というサイクルを取る企業がほとんどとなっています。

原則は紙媒体で保管しておかなければなりませんが、一定の要件のもと電子データやスキャンデータでも認められるようになっています。
実際、税務調査でもせっかく紙媒体の資料を用意しても見るのは電子データの方が多いので、実務をしている上では若干違和感があるでしょう。

まとめ

会計帳簿には色々な種類があり、それぞれ付け方が存在します。本人さえわかれば良いというものではなく、誰が見てもわかるような丁寧な帳簿づけを心がけましょう。また、原則は紙媒体で10年間保存するようにして、逆に期限が切れているものについては適時破棄できるようにいつの帳簿かわかるような保管方法が必要です。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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