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行政×ITソリューションで、もっと便利な世の中を!

HUPRO 編集部
行政×ITソリューションで、もっと便利な世の中を!

現在、行政領域におけるITソリューションを軸とした株式会社ジーテックも設立し、ドローンや民泊のサービスを展開されている黒沢レオさん。資格をきっかけに新たな事業を展開する面白さをHUPRO編集部が聞いてきました。


黒沢レオ
2008年、行政書士事務所を開業して以来、多数の許認可業務、企業法務を担当しながら、大学や大手資格予備校で5000人以上に教鞭をとり、2014年に「行政書士ネットワーク」の開設。シェアリングエコノミーに対する行政規制、空間領域の法規制等、電子政府と地方分権等を専門としている。JUIDA参与、東京都行政書士会特定行政書士特別委員会副委員長。


「行政書士」の領域が魅力的なワケ

どの段階で起業しようって考えていましたか?

大学生の時はいくつもアルバイトを掛け持ちしていて、それこそ、海外からパワーストーンをコンテナ輸送して、それを自分で露店に出して売ったりもしていましたよ(笑)
あとはたまたま経営者の方たちに飲みに連れて行ってもらうことが多くて、将来は絶対自分で経営するって思っていました。
ですから経営者になりたいというのが先なので、正直資格は何でもよかったのだと思います。本当にたまたま行った資格予備校の説明会が行政書士だったというだけです。
でも、結果論ですが、今は、行政書士という資格をあの時選んでよかった!と思いますね。

なぜ「行政書士でよかった!」と思ったのでしょう?

行政書士の仕事は、建設業の許可や、車の登録業務、外国人のビザ取得など本当に様々な分野を扱うのです。開業したての頃は気付いてなかったのですが、行政領域の広さは、宇宙ですよ。
現在の日本において、法律の数は約2000程度ですが、そのうちのおよそ1900程度が行政領域の法律です。でも、おそらくほとんどの法学部の学生の勉強の中心って、民法や憲法、刑法という科目なのですよね。
憲法って確かに大事ですけど、ビジネスで使うことまずありませんから(笑)
実社会で一番役に立つのは行政法だと思いますよね。
それこそ、国会で毎年成立する法律が100本近くありますけど、そのほとんどが行政法規で、新しい許可や新しい届出などの制度が次々に出てきます。そして、それらのほとんどが行政書士の業務範囲なのですよ。
僕は性格が飽きっぽいので、毎年新しいことにチャレンジできるって最高です!
最近の例だと、ドローンの飛行申請や民泊の事業者届出は、新規分野として弊社でも注力してきました。
行政書士は、とにかく射程範囲が広いので、興味のある分野をフックに事業を開拓することが可能です。あ、とはいえ行政書士にこだわらないことが大事ですね。

「行政書士にこだわらない」というのはどういうことでしょう?

たとえば、この仕事をするにあたって、建設業の事業者のサポートがしたい!って思いで始めたとしますよね。そうであれば、行政書士登録して業務をするのは、手段であって目的ではありません。
建設業の事業者のサポートができるのであれば、行政書士の職務範囲以外にも役に立てることはたくさんあるはずです。
僕は、自分で事業を起こして、何かしら社会が豊かになる、楽しくなる仕掛けをつくりたいという思いで始めましたから、行政書士はきっかけにすぎません。
そういうことです。

行政×テクノロジー「GovTech」で国内の行政手続きはどう変わる!?

GovTech(ガブテック)とはどのような分野なのでしょうか?

日本だとリーガルテックや電子政府の方がまだ馴染みがあるでしょうか。リーガルテックは、広く法律の領域に対してテクノロジーを使ってアップデートをすることを指します。AIを使った契約書作成などありますよね。
GovTech(ガブテック)もそれに近いところがありますが、GovernmentをTechnologyで変革する、要するに、行政手続きをテクノロジーでアップデートして、より市民が生活しやすいような環境を構築するサービスのことです。
リーガルテックとの違いは、行政領域に特化しているところですね。
海外では、GovTechのファンドも存在したり、各国の政府や自治体がデジタル化に向けた投資を年々増加させている背景があります。

デジタル化が進んだら、行政書士の仕事は無くなるのでは?

これもよく聞きますよね、AIで士業の仕事が無くなる的な話。
書類作成していても、何回も同じ住所入力させたり、役員の氏名を記入させたり、登記情報データになっているのであればそれをそのまま使えば、入力する必要すら無いのに!って以前から思っていました。
行政手続きは、そんな余計な書類作成よりももっと考えなければならないポイントがたくさんあります。無駄を省いて、本来の頭を使った仕事をするということですから、仕事は無くなりませんよね。
また、電子申請が普及した際に、それを企業担当者が使いこなすのも大変ですから、結局のところ行政書士の仕事は増える一方だと思います。

ジーテックではどのようなことに取り組んでいるのでしょう?

ドローンの飛行申請サービスの「DIPSコネクト」の開発や、民泊申請サービスの「MIRANOVA」の展開をしています。

DIPSコネクト
https://www.sorapass.com/dipsconnect
MIRANOVA
https://www.miranova.jp

最終的にはシステムで完結するサービスも増やしたいと思っていますが、ローカルルールも多かったり、役所窓口に人が行かないと申請が出来ないものも多くありますので、行政書士のネットワークを活かしながら、対応しています。

「GovTech」で国内の行政手続きはどう変わるのでしょう!?

許認可の添付資料の収集に時間をかけるのは本当に勿体ないですよね。ですから、GovTechがもっと定着すれば、行政側が持っている必要な情報は、行政の方で取得するようになるでしょうし、例えばこの企業がもらえる補助金などを行政の方から提案してくれるようになれば、取りこぼしも少なくなります。
行政の持っている情報を必要に応じて結びつけることでユーザーの利便性が向上し、行政サイドの手間も省けるというイメージです。
そして行政のシステムと民間のシステムが連携することで、よりユーザーにとって利用しやすいサービスが展開できると思います。
行政手続きはあくまで手段ですから、本来事業者の方が時間や労力をかけるべきところに、注力しやすい環境がつくられるのではないでしょうか。

国内の新たな行政規制やグローバルスタンダード構築に関われる!?

今の仕事のやりがいを教えてください。

「行政法」という分野は本当に面白いです。
例えば、ドローンについて考えてみますと、2015年当時、首相官邸にドローンが落ちて大問題になったことがきっかけで法整備の検討がされ、同年の12月に航空法に関する法改正が施行されました。このように、行政法は次々と法改正が行われ、常に勉強が必要です。

ちなみに、建物の所有者はその建物の上空何メートルまで所有権を持っているかわかりますか?ドローンが仮に他人の建造物の上空を飛んでいた場合、それは権利侵害になると思いますか?改めて考えるとわからないことって多いと思います。
このように、今あるルールに則ってただ手続きをするだけでなくて、法律を学問的に考えることも非常に楽しいです。

なるほど。普段気づかないことでも、改めて考えると答えられないことは多いですね。

また、政府主導で未来投資会議が行われ、2022年までにドローンを物流で飛行させることを実現させるというロードマップを出しました。そうすると、そのための制度設計が必要になり、今現在、有識者の検討チーム内で、今後どうしていくかというのが話し合われています。
今後の空間領域の利活用に関して明確な規制や制度設計は、まだどこの国にもはっきりしたものがない状態なので、日本で決まったものがグローバルスタンダードになるかもしれないと考えると、それは非常にワクワクします。

グローバルスタンダードを作れるかもしれないと思うと確かにワクワクしますね。

他には企業の新しいサービスで新たな法整備がされたものだと、Airbnb等の仲介サイトによって注目を浴びている民泊が挙げられます。
これらのプラットフォーム企業は、諸外国で展開する際、それぞれの国の法規制に合わせて展開をする必要がありますので、国内の行政規制の専門家の知識が必要ですし、行政との交渉力も要求されます。特に日本は国外に比べて規制が厳しいという側面があるので、海外の企業が日本でビジネスを展開しようとするときに、行政との交渉は重要になってきます。
このような事業展開のブレーンとなる能力を「戦略的行政法務」と位置付けて、担当できる行政書士が増えるように研修も行っています。

会社メンバーとのオフィスでの様子

興味が尽きない行政領域、その先に。

今後どのようなことに着目していますか!?

やはり、一つは行政手続きのデジタル化です。
エストニアのe-Residency(電子居住権)を弊社のスタッフが取得して、一緒に勉強したりしています。
「空飛ぶ車」も興味がありますし、電子処方箋やオンライン診療といった医療の分野についても関わりたいと思っています。医療の分野は特に、高齢化が進む日本では今後デジタル化が必要不可欠になると考えています。そこでどのような法律を作るのか、というところに関わっていきたいですね。
他にも・・・・キリが無いのですが、行政領域は幅広いので、チャンスのある限り、ワクワクする分野に関わっていたいですね!

本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。


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この記事を書いたライター

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