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監査トレーニー制度とは?メリット・デメリット、その後のキャリアも紹介!!

HUPRO 編集部
監査トレーニー制度とは?メリット・デメリット、その後のキャリアも紹介!!

監査トレーニー制度というのはここ10年近くで大手監査法人を中心として導入されている制度ですが、まだまだ認知度も低く、聞きなじみのない方も多いかもしれません。そこで今回は、監査トレーニー制度とはなんなのか、そして制度を利用するメリット・デメリットについて、詳しく解説します!

監査トレーニー制度とは

監査トレーニー制度とは、公認会計士や米国公認会計士の試験合格を目指す監査トレーニーを対象として、監査法人が雇用して試験合格に向けてサポートする制度を指します。

監査トレーニー制度は、最近の働き方改革や人手不足が関係し、試験合格前から人手を確保しておき、合格後はそのまま監査法人で働いてほしいという需要から発生した制度です。
受験者側からしても、無職で公認会計士試験を受けるよりは、給与ももらえてその上監査法人の仕事ができる仕組みですので、お互いに理にかなった制度であると言えます。

監査トレーニー制度での仕事内容は?

監査トレーニーの立場では、一般的に監査法人に入社したての会計士と同じような仕事をします。勘定科目の監査をするにしても、現金預金や借入金、経費項目など、判断が迷わない項目となります。

例えば、現金を実際に数えて帳簿と会っているかどうかを見たり、預金や借入金が帳簿残高と銀行から発行される残高確認書と一致しているかどうかを見たりします。経費項目については、実際に計上されている内容と、領収書等の書類が一致しているかどうかを見ます。

また、エクセルを使って試算表を加工したり、監査上必要な資料が揃っているかどうかの回収管理を行ったりします。よって、監査の基礎中の基礎を学べますし、エクセルの技術もある程度向上します。ただし、全くエクセルが触れない状況では採用の時点で危うい為、大学生が利用できる内容くらいはあらかじめ把握しておく必要があります。

どの監査法人が監査トレーニーを募集している?

監査トレーニーは全ての監査法人で募集しているというわけではなく、むしろ少数派といえます。ではどのような法人が募集しているのでしょうか?
ここでは、大手監査法人として知られるBIG4の四法人と中小監査法人について募集状況を見ていきましょう。

BIG4①:EY新日本有限責任監査法人

EY新日本有限責任監査法人は2025年現在、BIG4で唯一、監査トレーニーの定期採用をしている法人であり、募集用項は以下の通りです。

<必須>
・四年制大学卒業以上(第二新卒可)
・日商簿記2級程度の会計知識

<生かせる経験・知識>
・事業会社等での実務経験
・経理実務経験
・エクセルスキル

<求める人物像>
・会計士資格取得(日本・USCPA)に対し真摯に取り組んでいる方
・粘り強く目標に向かって取り組める方
・コミュニケーション能力が高い方
・チームワークを大切にできる方

必須要件の中に短答式の合格が入っていないのは、EYならではの特徴といえます。そのため応募者が多く、大手の中でもさらに倍率が高くなっています短答式を合格していない方にはオススメな一方で、合格している場合は他の法人の方が倍率が低く内定を獲得しやすいでしょう。

BIG4②:有限責任監査法人トーマツ

有限責任監査法人トーマツは、「監査トレーニー」という職種の募集は基本的にしていません。ただし、「ジュニアスタッフ」という似たようなポジションの募集が存在し、その募集要項は以下の通りです。

<必須>
翌年の短答式試験の免除資格のある方

<雇用形態>
有期契約職員(フルタイム)

<雇用期間>
翌々年の第II回短答式試験合格発表月末まで

免除期限の切れていない短答式試験の合格歴がある方は応募可能です。特徴的なのは、論文式試験終了日までの約3ヶ月が有給休暇扱いとなることです。収入を保ちつつ勉強に専念できるので、短答式試験合格者の人気の就職先となっています。また、新卒の応募も可能となっています。

ただし、「有期契約職員」の言葉通り、継続的な雇用が保証されているわけではない点には注意が必要です。雇用期間中に論文式試験に合格すると無期雇用契約を締結できますので、継続して働きたい場合は期間内に合格できるように努めましょう。

BIG4③:有限責任あずさ監査法人

有限責任あずさ監査法人では、現在監査トレーニーの募集はしていません。似たような制度も現時点(2025年時点)では無いようです。

BIG4④:PwC有限責任監査法人

PwC有限責任監査法人でも、「監査トレーニー」という職種の募集は基本的にしていません。ただし、グローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)」という試験合格支援のプログラムが存在します。

このプログラムと監査トレーニーとの違いとして、2025年現在では2027年3月までに大学または大学院を卒業予定の方のみが対象であること、また短答式試験合格者は対象外であることが挙げられます。
そして、原則試験勉強に専念し業務を行うことが無い中で一定の収入を得られるのが魅力です。

BIG4の一つであることもあり、こちらも人気の高いポジションとなっています。

中小監査法人

中小監査法人で監査トレーニー制度を導入している法人は少ないです。導入している法人の中でも制度や募集要項はまちまちであることに加え、そこまで教育に割けるリソースが無いことから、導入していても一般公開求人には明記しないケースもあります。
そのため、士業特化の転職エージェントである当社ヒュープロにご相談いただき、非公開求人をご紹介できればと存じます。具体的な条件や働き方などもお伝えできますので、ぜひご相談からお待ちしております。

監査トレーニーのメリット・デメリット

ここまで監査トレーニーの概要についてご説明していきましたが、この制度を使って働くにあたっては、メリットとデメリットの両面があります。それぞれ見ていきましょう。

メリット

①:収入を得ながら試験勉強が進められる

監査トレーニーの年収は300万円程度です。社会人として決して多いとはいえない額ではあるものの、アルバイトと比べたら圧倒的に良いでしょう。それに加えて、予備校の学費を補助してくれる場合が多く、賞与や合格祝いの制度があることもあります。

②:通常よりも早く公認会計士に登録できる

公認会計士試験に合格後、通常だと公認会計士登録するのに3年の実務業務が求められますが監査トレーニーでの業務はそれにカウントされるので早くステップアップできます。また、監査法人で実際に業務に触れつつ勉強を進めることができるため、勉強の効率も上がりやすくなります。

③:合格後そのまま働くことができる

合格後そのまま監査法人で働くことができるので、受からなかった時の不安や合格後の求職活動のことを考えなくて済みます。そのため、受験勉強に集中することができます。

デメリット

①:仕事との両立が難しい

無職や大学生で公認会計士を目指している者とは違い、夕方からの勉強だけでは他の受験生よりも勉強時間が少ない為、出社前の勉強など自身で時間を確保することが必要となります。この点、自身を律することができて密度の濃い勉強時間とすることができれば十分に合格は可能と言えるでしょう。

②:残業がある可能性がある

基本的に、監査法人側は試験に合格して欲しいので残業や出張はありませんが、まれにあるところがあります。応募前にしっかりと確認することをおすすめします。

③:合格後もその監査法人で働かなければならない

基本的に、試験合格後はその監査法人で1~2年は働かなければなりません。しかし、これも各監査法人によって異なるので、応募前にしっかりと確認しましょう。

監査トレーニーの採用基準

①:資格

基本的には、公認会計士試験の短答式の合格者であることが求められます。受かっていなくても監査トレーニーになることは可能ですが、求人の50%以上が短答式合格を必要条件としています。

②:年齢

原則、求人票や募集要項で年齢制限を設けることは禁止されていますが、監査法人での就業経験が無い場合、30代後半以降だと採用されづらい傾向にあります。

③:学歴

BIG4監査法人に学歴フィルターが全くないかといえば、そうではありません。ただ学歴に関係なく、資格や経験、アピール次第で内定を勝ち取ることは十分に可能です。ちなみに、大手の採用倍率は中小監査法人の1~3倍に対して、10倍程度と非常に高いです。

監査トレーニーへの就職・転職に成功するポイント

監査トレーニーを目指すにあたり、意識しておくべき点は以下の4点です。

「公認会計士になりたい」という意志の強さをアピールする
短答式試験合格へのプロセスをアピールする
応募する監査法人への志望動機を明確にする
転職エージェントを活用する

それぞれ解説していきます。

「公認会計士になりたい」という意志の強さをアピールする

監査トレーニーを採用する法人は、採用した人には公認会計士になって活躍してほしいと考えているはずです。そのため、論文式試験の勉強を諦めることなく続けられる、集中力の強さや目標達成意欲の高さをアピールしましょう。
また、「公認会計士になりたい」と考えるようになったきっかけ将来のキャリアプランなどを伝えることで公認会計士取得に対する「本気度」をアピールするのも効果的です。

短答式試験合格へのプロセスをアピールする

公認会計士の短答式試験は、決して簡単に合格できるわけではありません。そのため、その合格した経験をうまく活用することで、ポジティブなアピールをすることができます。
勉強スケジュールの立て方やなかなか習得できなかった分野をどうできるようにしたのかなど、合格に向けたプロセスをしっかりと歩んできたことを伝えることで、転職成功の確度を高めることができるでしょう。

応募する監査法人への志望動機を明確にする

志望動機は応募書類に必ず記載すべき事項ですが、一つの志望動機を複数の法人への応募で使ってしまうと、選考通過がしづらくなってしまいます。その法人の採用側に立ってみて、どんな志望動機が書いてあったら「一緒に働いてみたい」と思うのかを考えながら作るとよいでしょう。

転職エージェントを活用する

監査トレーニーの求人は求人一覧ページから探すことが可能ではあるものの、先述したように多くの場合は非公開で募集しています。それに加えて、監査トレーニーは非常に人気な制度ですので探している間に募集を締め切ってしまう可能性もあります。

そこで現実的で効率がよいのは、転職エージェントを使った方法です。自分にピッタリな監査法人を探してくれる他、非公開の求人情報も持っています。

そこでおすすめしたいのが、監査トレーニーの求人数が最大級である、当社ヒュープロです。監査トレーニーとして内定を勝ち取るために重要な面接対策や書類添削を、無料で行っています。

監査トレーニーに受からなかった場合の選択肢

監査トレーニーは魅力的な制度ですが、その分応募者が多く、またBIG4等の一部の監査法人でしか導入されておらず求人数が少ないため、監査トレーニーに受からないというケースも珍しくありません。
もしそうなった場合はどうすればいいのか、リスクヘッジとして知っておきましょう。

中小監査法人に応募する

選択肢の一つとして挙げられるのが、中小監査法人への応募です。中小監査法人はBIG4に比べると採用要件が低い傾向にあるため、短答式試験合格者でも一般職に応募できることがあります。

監査トレーニーと違い試験勉強への補助や休暇が少ないですが、働きながら試験勉強することに拘りたいという方にはオススメの選択肢といえるでしょう。

会計事務所に応募する

公認会計士試験の勉強をしながら会計事務所で働くのもオススメです。会計事務所のメイン業務である税務申告や会計処理は、公認会計士試験勉強で習得すべき内容と関連しているため、実務を通しての知識習得がしやすい職場といえるのです。
試験合格まで会計事務所で経験を積み、合格後にBIG4をはじめとした監査法人へ転職するとキャリアプランも見据えることができるでしょう。

試験勉強に専念する

収入面よりも試験の合格を優先したいという場合は、一時的に就業せず勉強に専念するのもよいでしょう。公認会計士は国家資格の中でも難関と言われており、その分取得後は安定したキャリアを描けるため、数年の収入を諦めてでも合格を目指そうとする方も多くいる資格です。

仕事と勉強を両立した方がメリハリができたり実務で知識を習得できるという人がいる一方で、勉強時間ができるだけ多い方が安心できるという人もいらっしゃるでしょう。ご自身のキャリアプランや適性に合わせて最適な方法を選ぶのがオススメです。

まとめ

今回は監査トレーニー制度、そのメリット・デメリットをまとめました。監査トレーニーは、公認会計士資格を取りたい人にはピッタリな制度で、非常に人気であることがお分かりいただけたかと思います。
公認会計士資格を取得すると、監査法人から転職する際も、さまざまなキャリアプランが広がります。監査法人からの転職についても、当社ヒュープロがご支援しますので、是非ご活用ください!

この記事を書いたライター

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