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内国法人とは?内国法人の種類についてお答えします。

公認会計士 大国光大
内国法人とは?内国法人の種類についてお答えします。

税務をしている上で、よく「内国法人」という言葉が出てきます。何となく国内の法人かな?と思うことはあっても具体的にどのような法人であるかは意外とあやふやに考えているのではないでしょうか。
そこで今回は内国法人とは?内国法人の種類について解説します。

内国法人とは?

内国法人とは、日本の国内に本店または主たる事務所がある法人を言います。例外の法人を「外国法人」と言います。

内国法人と外国法人の違いは、日本の税務上必要であるだけではなく、国際税務でもよく出てくるのでこの判定を間違えると全く違う税金計算となってしまうため、判定は慎重に行う必要があります。

間違えやすい例としては、親会社が日本法人であり、その海外子会社は外国法人となります。一方で、本店が日本にある会社の海外支店は内国法人となります。つまり、「法人」の本店や主たる事務所が日本にあるのか海外にあるのかで結果が変わります。

内国法人の種類は、普通法人、公共法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等が挙げられます。これらの詳細については後程紹介します。

内国法人の課税の範囲

では、内国法人、外国法人はそれぞれどのように課税されるのでしょうか。
まず、内国法人は国内外全ての所得に対して課税されます。これを、「全世界所得課税」と言います。つまり、国内で発生した所得はもちろんのこと、海外の視点で発生した所得に対しても課税をされることとなります。

一方で外国法人は日本国内において生じた所得のみ課税されます。つまり、海外に本店がある法人の日本支店においては、日本で生じた所得のみ課税されることとなります。

普通法人とは

では、内国法人のうち「普通法人」とはどのような法人でしょうか。
普通法人は、皆さんが一般的に目にしている法人で、株式会社、合名会社、合資会社、特例有限会社、医療法人、相互会社、企業組合、一般社団法人及び一般財団法人を指します
一般的な税務の解説はこれらの法人、特に株式会社について記載されています。

公共法人とは

公共法人は、様々な種類が存在しますが、主に地方公共団体、日本放送協会を指します。具体的には、国立大学法人や地方独立行政法人、日本年金機構等、公共の利益のために設立された法人を言います。

公共法人は名前の通り公共の為に設立された法人であるため、法人税が免除されています。そして公共法人は法人の性質上収益事業を行うことができないため、他の法人のように収益事業を行うかどうかを考える必要がありません。ただし、100%子会社に営利活動をさせていることが多いため、よく批判の対象となります。

公共法人とは

公益法人とは

公益法人とは、公益つまり皆の利益を目的とする事業を行う法人を言います。一般社団法人や一般財団法人のうち、公益性の認定を受けた法人が該当します

また、社会福祉法人、学校法人、医療法人、宗教法人、特定非営利活動法人についても各種の特別法に基づいて設立されたものも公益法人と呼ばれます

公益法人は収益事業を行わない場合は公共法人と同じく法人税がかかりませんが、地方税の均等割は負担しなければなりません(赤十字、社会福祉法人等を除く)。また、収益事業を行う場合は法人税を支払わなければなりませんが、一定の減額が行われる可能性があるため他の法人よりも有利な法人であると言えます。

協同組合等とは

協同組合等とは、共通の目的を持っている個人や中小企業が集まって相互扶助をする組織を言います。信用金庫、労働金庫、森林組合、農業協同組合等を言います。

組合の税務は基本的に普通法人と異なることはありません。異なる部分と言えば、組合は株式会社と違って相互扶助を目的とすることや、組合員一人一票であることなどが挙げられます。どちらかと言えば株式会社よりも公共性が求められる組織であると言えるでしょう。

人格のない社団等とは

人格のない社団等とは、特に法人登記を行っていない社団や財団で、代表者か管理人の定めがあるものを言います。例としては、同窓会やPTA、町内会等を言います。人格のない社団等では、営利活動でなければ税金はかかりませんが、営利活動をする場合は税金が発生します。

これだけを見ると、「私の団体は税金払っていませんが…」と心配されるかもしれませんが、反復して行うようなものでなければ営利活動とは基本言えないため、年に一度のバザーや屋台等は原則として税金はかかりません。ただし、これが経常的に行われていたり、儲かった金額を配分していたりすると営利活動として課税される可能性があるため注意が必要です。

まとめ

内国法人と外国法人の違いから、内国法人の種類について説明をしました。法人の分類によって課税関係が全く異なるため、最初に間違った認識をしてしまうと取り返しがつかないこととなります。特に法人税が課税されるかどうかについては、事前に税理士や税務署に確認をしておくと安心でしょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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