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簿外資産とは?簿外資産があることのメリット・デメリット

公認会計士 大国光大
簿外資産とは?簿外資産があることのメリット・デメリット

簿外資産とは、帳簿に計上されていない資産を言います。簿外資産というと、なんだか嫌なイメージがわきますが、実際は両方あります。そこで、今回は簿外資産についてお話するとともに、そのメリットとデメリットを解説します。

簿外資産とは

簿外資産とは、帳簿に記載されていない資産を言います。帳簿に記載されていない資産ですので、本来はその企業の資産であるのに決算書上には反映されていないものを言います。簿外資産には2種類あります。一つは計上すべきであるのに計上されていない資産です。もう一つは計上できないが、実質資産と考えられるものです。
この二つに分けてこれから解説します。

計上すべき簿外資産

まず、計上すべき簿外資産について解説します。例えば、1000万円借入をして同額の預金口座を開設したとします。通常であれば資産に現金預金、負債に借入金が1000万円同額計上されるはずです。しかし、どちらも記帳しなければ負債は簿外であるとともに預金の動きも財務諸表に反映されません。
このような場合、預金口座の動きも記帳されませんので、使い込みが起きてもわかりませんし、様々な設備投資や消耗品を購入したとしても一切財務諸表に現れなくなってしまいます。

このように預金口座が記帳されないと簿外資産が計上されることとなり、当初の預金口座よりも残高が増えている場合は脱税を疑われることとなり、逆に残高が減っている場合は簿外負債となるため粉飾決算となってしまいます。
このような簿外資産が存在しないようにするためには、毎期預金口座の残高証明書を定期的に取得するようにすることが大事です。最近はインターネットで銀行残高が確かめられるため、残高証明書を取得することも減ってきましたが、担当者が変わってしまったりするリスクを考えると残高証明書を取得するメリットは大いにあると考えられます。

計上できない簿外資産

では、計上できない簿外資産にはどのようなものがあるのでしょうか。
財務諸表に計上できる資産というのは、外部から購入したり自社で材料や人員を投入したりして作成されたものに限ります。よって、自社で勝手に価値を見出しているものについては資産として計上できません。
このような計上できない簿外資産の代表格としては、「ブランド」等が挙げられます。例えば老舗の料亭等は歴史が経てばたつほど店舗の価値が上がると考えられますが、通常建物は建築した際の原価から減価償却によって価値は年々低下することとなります。企業が勝手にブランドとしてその価値を財務諸表に計上することはできません。

ただし、ブランドの例外として、外部から購入したブランドの場合はその価値を財務諸表に計上することができます。例えば、時価ベースの純資産が1億円の企業に多大なブランドの価値があったとして、結果的に購入価額が10億円となったとします。すると、その差額の9億円はブランドとみなされ「のれん」という勘定科目で無形資産に計上されます。
ちなみに、購入価額が一定であるとすると、時価ベースの純資産が高ければ高いほどのれんの金額は小さくなりますし、低ければ低いほどのれんの金額は大きくなります。

簿外資産があることのデメリット!?

簿外資産があることのデメリット!?

まず、計上すべき資産が計上されていないことのデメリットを紹介します。計上すべき資産が計上されていないということは、その分売上等の収益が計上されていないか、借入等の負債が計上されていないことを示します。
例えば売上高の計上漏れというのは重加算税の対象となるため、通常支払うべき税金にプラスして多額の税金を払わなければならなくなります。また、借入金が計上されていない決算書を銀行に出すと、粉飾決算となってしまい、度が過ぎると詐欺罪として逮捕される可能性もあります。よって、計上すべき資産が計上されていない場合、相当なデメリットを伴うことがわかるでしょう。

また、計上できない簿外資産がある場合はどのようなデメリットがあるのでしょうか。本来はブランド価値などがあるにもかかわらず財務諸表に計上されないことになるため、銀行からの評価は思っているよりも低いものとなってしまいます。また、他社に自社を売却しようとしても、そのブランド価値が財務諸表に計上されていないため、評価の方法次第では通常よりも低い金額で査定されてしまう可能性があります。

簿外資産があることのメリット!?

では簿外資産があることはどのようなメリットがあるのでしょうか。計上すべき資産が計上されていない場合のメリットは一つもありません。しかし、ブランド等の計上できない簿外資産があることにはメリットがあります。
というのも、資産を計上するということはその分収益が計上されることが考えられ、その分税金がかかってしまいます。しかし、資産が簿外ということでその心配は減るわけです。また、のれんが計上されていると、20年間以内の期間にわたって費用処理されることとなりますが、簿外である場合はその償却負担が無い為、高利益率を確保できるというメリットがあります。

まとめ

簿外資産には、計上すべきものと計上できないものがあることがわかりました。計上すべき簿外資産を計上しないことには一つもメリットがない一方で、計上できない簿外資産についてはメリット、デメリットの両方存在することを理解して、会社の真の資産の状況を把握しておくことが重要です。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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