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合併に係る消費税など税務の取扱いについて解説します!

HUPRO 編集部
合併に係る消費税など税務の取扱いについて解説します!

IT化やグローバル化の進展などによりビジネスのスピードが日に日に速まっている昨今、企業間で合併が盛んに行われるようになりました。
合併では複数の会社が1つの会社になりますが、このとき、税務面や法務面ではどのようなことに気をつける必要があるのでしょうか。
今回は会社の合併における消費税などの税務面での注意点について、法務面もあわせて解説していきます。

合併とは

合併によって、2つ以上の法人格が1つの法人格になります。このとき、合併した結果できた1つを残して、他の法人格は消滅することになります。

次のような事柄が、合併の目的として挙げられます。

特定の業界におけるシェアを拡大する
既存分野や周辺分野の強化、新規分野への進出を迅速に行える
顧客や取引先に対する価格交渉力や影響力を強められる
生産や取引の規模が大きくなることで各種コストを圧縮できる
間接部門共有によるコスト削減など、経営資源をより効率的に配分できる
人材や知的資産などを共有できる
相乗効果(シナジー)が生まれる

ちなみにM&AのM(merger)が合併で、A(acquisition)は買収です。買収では株式を買取ることによって事業部門や経営権の一部または全部を手に入れますが、被買収会社は存続するのが一般的です。

また、「合併」は法務・会計・税務上の取り扱いが厳格に定めらている正式な法律用語ですが、「買収」という法律用語はありません。

企業組織再編については、以下の記事が参考になります。
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合併における税務について

合併に際し、税金が課されます。

登録免許税

合併したときは合併の登記をしなければならず、存続会社はこの登記について登録免許税を支払う必要があります

吸収合併で資本金が増加しなかった場合、登録免許税は30,000円です。

吸収合併で資本金が増加した場合、登録免許税は「増加した資本金×1.5/1000」です。もしその金額が30,000円未満の場合は30,000円です(最低額)。

そして合併で増加した資本金の金額が消滅会社の資本金を超えたときは、「超えた資本金×7/1000」の登録免許税が課税されます。

また、消滅会社は廃止の登録をしなければならず、その登録免許税は30,000円です。

移転損益への課税

吸収合併で税務上の適格合併に該当する場合、消滅会社の資産や負債などは簿価で存続会社に引き継がれたものとして、移転損益の計上が繰り延べられます。

一方、吸収合併で非適格合併の場合、合併による資産等の移転は、原則として消滅会社が時価により存続会社に譲渡したものとされます。移転損益については、消滅会社の最終事業年度における課税所得になります。

なお、適格合併では、消滅会社の繰越欠損金も存続会社へ引き継ぐことができます。その引き継いだ資産を売却したときは、譲渡損に計上することができます。

合併時の消費税の取扱い①納税義務の判定について

合併があった場合、納税義務者でない事業者についても納税義務が発生する可能性があります。
以下で吸収合併・新設合併の具体的なケースを説明しますが、内容は難しいため、「合併があった場合は小規模な事業者であっても、大きい企業と合併した為、一般的な小規模事業者とは区別して納税義務を負うことになる」といったイメージを持っていただければ十分です。

吸収合併のケース

①合併事業年度(合併をした年度)

被合併法人の「基準期間に対応する期間における課税売上高として一定の金額」が1,000万円を超える場合には、その合併があった日からその事業年度終了の日までの期間においては、消費税の納税義務が発生することになります。
従って 

被合併法人の基準期間における課税売上高として一定の金額>1,000万円
  →納税義務あり

②合併事業年度の翌事業年度又は翌々事業年度

①では、被合併法人の課税売上高だけを判定の基礎としていましたが、②においては、合併法人の基準期間における課税売上高も合計して判定することになります。
従って 

合併法人の基準期間における課税売上高+被合併法人の基準期間における課税売上高として一定の金額>1,000万円
→納税義務あり

新設合併のケース

①新設事業年度(新設合併により事業を開始した年度)

いずれかの被合併法人の「基準期間に対応する期間における課税売上高として一定の金額」が1,000万円を超える場合には、その新設事業年度において、消費税の納税義務が発生することになります。
従って

いずれかの被合併法人の基準期間における課税売上高として一定の金額>1,000万円 
→納税義務あり

②新設事業年度の翌事業年度又は翌々事業年度

①では、いずれかの被合併法人の課税売上高だけを判定の基礎としていましたが、②においては、各被合併法人の基準期間における課税売上高を合計して判定することになります。
従って

各被合併法人の基準期間に対応する期間における課税売上高として一定の金額の合計額>1,000万円
→納税義務あり

合併時の消費税の取扱い②事業譲渡時の消費税の計算

 
合併により被合併法人から合併法人に課税対象となる資産が移動した場合には、売却した場合と同様に消費税が課税されます。
一般的に、企業が所有している建物や棚卸資産などの有形固定資産から、特許権などの無形固定資産について課税され、有価証券や土地、債券などは非課税資産となるため消費税は課税されません。

消費税の課税事業者とは?

消費税の納税義務がある者は「事業者」となります。しかし、すべての事業者が消費税の納税義務者となるわけでありません。
原則として、該当年度の2年前の基準期間とよばれる期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合に消費税の納税義務が生じることになります。

よって、事業者は事業を開始してから2年間は、基準期間が存在しないため、初めの2年間は消費税の納税義務がないと考えられます。ただし、法人を設立した際の資本金額が1,000万円を超えると設立1期目から消費税が発生するため、課税売上高が1,000万円の判定だけでなく、様々な判定があるのでより多くの事業者が消費税を納めなければならない仕組みとなっています。
合併についても、この消費税の納税義務の判定について関係してきますので、後程詳しく解説します。

※課税売上高とは…すべての売上を意味するわけでなく、「消費税のかかる売上」のことをいいます。土地の売却売上や住宅の貸付け等に係る売上など一定のものは非課税売上とよばれ、課税売上高には含まれないことになっています。

合併における法務について

合併に際して、以下のようないくつかの法律的な手続きが必要になります。

・合併契約締結:消滅会社の株主に交付する対価や合併の効力発生日などを定める
合併に関する書類の事前備置:株主や債権者のための合併の適否の判断材料
株主の株式買取請求:株主に対して合併の通知
株主総会による合併契約の承認:存続会社および消滅会社の株主総会での特別決議による承認
債権者保護手続:合併に異議がある債権者への公告
公正取引委員会への届出
登記・財産等の名義変更手続
合併に関する書類の事後備置

なお、吸収合併の当事者間の関係によっては、合併手続きの一部を省略できます。

存続する会社が交付する財産の金額が純資産額の1/5以下のときは簡易合併となり、株主総会を省略できます。親会社が子会社の90%以上の議決権を保有している親子会社間の合併は略式合併となり、子会社での株主総会を省略できます。

これ以外にも、人事・労務面でも、関連法令に基づいた対処が必要になります。たとえば、就業規則や雇用条件や雇用契約に関することや、人事制度の取扱いや配置転換や人員整理、退職金の取扱いなどについてです。

まとめ

会社の合併における消費税を中心とする税務面や法務面での注意点について、解説しました。
以下がこの記事のまとめです。

合併には吸収合併と新設合併がある
法務面では所轄官庁への届出等や、株主や債権者に対する手続きが必要になる
税務面では、登録免許税の支払や、移転損益への課税がある

この記事を書いたライター

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