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任意監査とは?法定監査とは何が違うの?

HUPRO 編集部
任意監査とは?法定監査とは何が違うの?

監査とは成果物が法令等に違反していないかを調査し、その調査結果をもとに成果物が有効的なものであると保証するものです。企業の活動の成果物として財務諸表があり、その財務諸表を公認会計士等が会計監査を行うことを財務諸表監査といいます。今回は財務諸表監査のひとつである任意監査について解説していきます。

財務諸表監査の目的

財務諸表監査の目的は企業の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況を適正に表示しているかどうかについて、公認会計士や監査法人が調査をした証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにあります。

監査人である公認会計士や監査法人の財務諸表が適正であるという意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいます。

法定監査とは

財務諸表監査は法定監査と任意監査に分けられることが出来ます。法定監査以外の全ての監査を任意監査ということから、まずは法定監査について解説していきます。

法定監査とは法令等の規定によって義務付けられているものです。多くの企業が対象となっている監査には金融商品取引法に基づく監査、会社法に基づく監査があります。また特定の業種である保険相互会社、投資法人、学校法人、地方公共団体等にも監査証明を受けることが義務付けられています。
 

金融商品取引法、会社法に基づく監査

金融商品取引法に基づく監査とは、金融商品取引法193条で定められているものです。金融商品取引所に上場されている有価証券の発行企業、その他の者で政令にて定める企業が作成をした財務諸表は、その企業と特別の利害関係のない公認会計士や監査法人の監査証明を受けなければならないとされています。

会社法に基づく監査とは、会社法第436条で定められている計算書類及びその附属明細書が適正に作成されているかについて公認会計士や監査法人の監査証明を受けなければならないとされています。
会社法に基づく監査が義務付けられているのは大会社であり、大会社とは資本金が5億円以上又は負債の部の合計額が200億円以上である株式会社をいいます。

大会社は中小会社よりも一般的に株主や債権者等の利害関係者が多いとされていて、その多数の利害関係者の判断を誤らせないために、企業の状況の判断材料である財務諸表は有効的なものであると保証する必要があります。
会社法上の大会社は、会計監査人を設置する義務が会社法上の規定により定められており、設置を怠った場合には、100万円以下の過料が科される可能性があります。

任意監査とは

任意監査とは法定監査とは異なり法律等の規定で義務付けられていない監査のことをいいます。
監査を受けることは法律等の規定で義務付けられていませんが、企業が上場を準備するための監査、株価算定や株式交換比率を算定するための監査、企業売買や営業譲渡をするための監査、投資判断のための投資対象企業の監査、取引先や親会社からの要請による監査等、様々な目的を達成するために行われます。

任意監査のメリットとデメリット

任意監査を受ける企業側のメリットは、監査を受けることで財務情報の外部からの信頼性を高めることや、監査を受けた企業の組織としての内部統制機能を高めること等が出来ます。そして上記で挙げたような目的を達成することが可能となります。

一方で企業側のデメリットは監査を受けるためには監査対象となる書類を提示が出来るように準備を整える必要があること、公認会計士や監査法人へ監査を依頼することで報酬が必要となること等の業務的負担や金銭的負担が発生をします。

特に初めて監査を受ける場合には、企業側はどのような対応をすれば良いのか、どのような資料を準備すれば良いのか等の不安を感じることと同時に、監査を行う公認会計士や監査法人側も企業が監査契約の導入のための支援業務の実施や事業状況や内容の確認を行う必要があるため、一層の時間が掛かるといえます。

しかしこれらのデメリットは公認会計士や監査法人側とのコミュニケーションによって負担は軽減されると考えられるため、効率的な成果のある監査を受けるためにも企業側は監査対応の良い公認会計士や監査法人を選定すると良いでしょう。

まとめ

以上のように任意監査について解説をしました。法律等の規定で義務付けられていない監査であることから、法定監査を受けるべき企業以外の人にとっては馴染みのないものかもしれません。
しかし企業として監査の必要性を感じていない場合であっても、取引先や親会社等から監査を受けることを要請されることがあります。その際に慌てることの無いように、監査に馴染みの無い人であっても知識として持っておくに越したことはありません。是非参考にしてみてください。

この記事を書いたライター

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