株式保有特定会社とは、どのような会社のことを指すのでしょうか。また、株式保有特定会社として判定される基準としては、どういったものがあるのでしょうか。今回は、株式保有特定会社について解説していきます。
株式保有特定会社とは、総資産価額に対する保有株式の価額が一定基準以上の割合を占めている会社のことです。一般的には非上場株式の相続税の評価は、似ている業種の上場企業の純資産価額、配当金、年利益をもとに評価を行う「類似業種批准方式」や、課税される時期においての純資産価額をもとに評価を行う「純資産価額方式」にて行われます。
ただし、会社の資産に対して株式の保有割合が多い会社や、批准要素(「1株あたりの配当金額」「1株あたりの利益金額」「1株あたりの純資産価額」の3要素)のなかで2要素が1またはゼロとなる会社、開業をしてまだ3年を経過していない会社に関しては、類似業種比準方式での相続税評価は適切ではないと考えられています。
そのため、株式保有特定会社だと判定された場合は、純資産価額方式により相続税評価が行われるのです。しかし、純資産価額方式によって株式の相続税が評価されると、一般の評価よりも高い価額になってしまう傾向があり、これはデメリットといえます。できる限り、株式保有特定会社とは判定されない方が良いのです。
先ほど、株式保有特定会社だと判定されるのは、保有株式の価額が一定基準以上の割合である場合とお話しました。この割合について、詳しくお話していきましょう。
この割合は、会社の規模によって異なります。大会社であれば資産の25%以上、そして中会社や小会社であれば50%以上を保有株式の価額が占める場合に、株式保有特定会社だと判定されてしまうのです。ちなみに、大会社、中会社、小会社の区別は、総資産価額により定められています。
ただし、株式保有特定会社かどうかの判定を受ける際、合理的な理由もなく課税前になって資産の変動が起こっていた場合は、その変動は判定結果には反映されないことと決められています。株式保有特定会社の判定を受けないために、意図的に資産を変動させたと見なされるからです。
株式に多くの投資をしている会社は、傾向として株式保有特定会社との判定を受けやすいです。このような場合には、保有している株式を売却して株式以外の資産とする、または資産を保険や信託の契約に変えることが効果的だとされています。
ただし、先ほどもお伝えしたように、合理的な理由もなく資産を変動させると、それは株式保有特定会社の判定を避けるために意図的に行なったと見なされてしまうため、気をつける必要があります。
一旦、株式保有特定会社だと判定されてしまうと、資産構成が変わらない限り、その判定が覆ることはありません。しかし、株式保有特定会社だと判定されてしまうと、自社の株式を純資産価額によって評価することになり、株価が高くなるので避けたいものです。では、株式保有特定会社の判定から外れるためにできることには、どのようなことがあるのでしょうか。
株式保有特定会社の判定から外れることを「特殊外し」といいます。つまり、株式保有特定会社に該当してしまった場合は、この特殊外しを検討することになるのです。検討する内容としては、どのように資産構成を変えて、株式の保有割合を50%未満にするかがメインとなります。例えば賃貸不動産を購入する、投資信託といった株式ではない金融商品を取得するなどが挙げられます。また、子会社が所有していた不動産を持株会社へと移転させるという方法も有効です。
ただし、株式保有特定会社の判定と同様に、こちらも合理的な理由もないまま資産構成を変えることは認められません。株式の保有割合を操作していると判断されれば、株式保有特定会社を免れようとしたと見なされてしまい、大きなリスクを負います。また、特殊外しを重視しすぎて、不必要な不動産や事業を購入または買収してしまうと、節税で得られるもの以上に損失を被ることにもなりかねません。これでは本末転倒ですので、充分注意するようにしてください。
株式保有特定会社とは、会社の保有資産の多くが株式を占める会社や、開業後まだ3年経っていない会社、比準要素数が1またはゼロといった特殊な会社のことをいいます。株式保有特定会社の判定を受けるとデメリットが大きいので、株式保有特定会社の該当から外れるために「特殊外し」を検討することが重要です。
ただし、意図的に資産構成を変えたと判断されるとリスクを負うことになるため、充分に気をつけて保有株式の割合を減らす必要があります。専門家からのアドバイスももらいながら進めるといいでしょう。
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