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人事異動って拒否権があるの?

HUPRO 編集部
人事異動って拒否権があるの?

年が明けると、4月の人事異動が気になる人も多いのではないでしょうか。会社によって年度末は異なりますが、やはり一番多いのが4月異動。中には転勤を伴うものもあり、予想外に大きく人生が変わってしまうような辞令を受け取る方もいるでしょう。今回は、人事異動の拒否について解説していきます。

人事異動の目的

会社としても、やみくもに人事異動を行っているわけではありません。その理由は大きく分けて4つあります。

(1)事業方針によるもの

会社による新規事業の立ち上げや事業拡大、または逆に事業の縮小などで部署がなくなる場合は雇用の維持のため、事業方針の変更や組織の改組により人事異動が行われるものです。

(2)組織の活性化のため

新しい人が異動してくることで、その人の経験やノウハウを活かし、硬直しがちな組織を別の視点見ることでの業務効率化や問題解決、社員育成も兼ねて組織の活性化につなげることを目的に人事異動を行う場合があります。

(3)社員の成長のため

いわゆるゼネラリストの育成のためには、その社員を輝かせる適材適所を探る必要があります。社員を配置転換で新しい部署に赴かせ、能力開発を行うために人事異動を行います。

(4)社員の処分のため

成績不振や就業規則違反などの処分により、降格人事など異動が行われる場合があります。

人事異動は拒否できる?まず確認したいのは就業規則

全国転勤がある会社では、良くあることとして「家を買ったら転勤」「結婚したら転勤」 「子どもが進学したら転勤」といった「会社に意地悪されているのか?」とも思いたくなるような辞令が見られることがあります。

人事異動を拒否した場合、拒否したことを理由として懲戒解雇されるというケースもあります。 これは就業規則において、正社員に対する配置転換命令権が強く肯定されているからです。

よく海外ドラマなどで「明日から来なくていい」というようなシーンがありますが、日本の企業では正社員として働く場合、労働者を簡単に解雇できないように制限するための雇用規制が厳しく設けられているため、そのようなことはありません。

しかし、その分会社や組織が持つ人事権は非常に強力で、会社の出す異動命令は原則的に拒否できないようになっているのです。

そもそも転勤を伴うような異動を前提として採用されている正社員は、職種や勤務地が限定されていないことが多いもの。
会社が有する人事異動命令権によって、もしその人事異動を拒否する場合は、最悪の場合は解雇できる旨が記載されています。

人事異動は拒否できる?まず確認したいのは就業規則

人事異動に「NO」が言える?拒否権があるパターン

前述の通り、日本の企業では滅多なことでは人事異動に対する拒否権がありません。しかし、いくつかのパターンにおいては拒否できる場合もあります。

(1)契約違反である場合

まず自分がどのような雇用契約で就業しているのかを確認してみましょう。
もし、仕事内容や勤務地が限定された雇用契約の場合にもかかわらず、異なる職種や転勤などの異動を伴う人事異動が行われる場合は、事前に雇用契約の変更が必要になるはずです。必要な手続きを経ずに、異動を出すということになると、会社による権利の濫用として拒否権を発動することが可能です。

3つのパターンのうち、明らかに会社に非があるケースのため、拒否が可能なパターンです。

(2)介護や病気などやむを得ない事情がある場合

例えば親の介護をする人がその社員以外にいなかったり、自分や子供が重篤な病気で、決まった病院に通院が必要だったりなどの場合は事情によっては人事異動を拒否できる場合があります。(育児・介護休業法26条)

しかし、自分以外にも兄弟や配偶者など対応ができる人がいる場合は難しいケースも。こうした場合は、事前に人事部と連携をしておき、転勤無しの職種に変更するなどといった対応をしておくことをおすすめします。

(3)報復人事など不当な理由

あってはならないことですがセクハラやパワハラを訴えたことによる報復人事や、望まぬ配置転換など、人事権を盾に取った嫌がらせのような人事異動が行われる場合もあります。人事権の権利行使が濫用にあたるとされたときは、その権利行使の効果は生じません。つまり違法になります。

しかしその立証はかなり難しく、最悪裁判沙汰になったりするケースもあります。
もし報復人事など不当な理由で人事異動をされそうな可能性がある場合は、証拠を集めておき、いざというときに弁護士に相談の上、拒否権を発動できるようにしておきましょう。

公務員は民間よりも厳しい!

しかし公務員の場合はこうした温情的な措置がほぼ認められません。 というのも公務員がずっと同じところで仕事をすることで得られる地域社会との絆が、今度は不正の温床になってしまうという視点があるからです。
「○さんがあの件について便宜を図ってほしいと」
「いつも△さんには良くしてもらっているから」

好意から出た親切でも、受け続けていると断りづらくなるものです。こうした癒着を招かないように2~4年程度で異動することになっているのです。

なお、公務員が異動を拒否した場合には、職務命令に従う義務(国家公務員法98条1項、地方公務員法32条)に違反したものとして処罰の対象になることが定められています。

このため、公務員については自身のプライベートな理由による異動拒否はほぼ認められません。
健康上の理由や家族の介護の問題があったりする場合には、異動が出るより前に人事に相談しておき、自宅から通える別の部署に異動したり、職種変更ができるような対応を考えておきましょう。

内示が出た後で「実は……」と言っても、異動は自分一人の問題ではなく、他の政策も絡めて作り上げられるので、ほぼ聞いてもらえないと思った方が良いです。

なお、これは銀行などの金融機関においても同じような傾向が見られます。

どうしても異動に納得出来ない場合は転職も視野に入れて考えよう

どうしても納得できない人事異動。しかし人事部に掛け合っても埒が明かないというケースは良くあることです。会社側としても、誰もが納得するわけがないまま異動が拒否できた社員の前例を作ることは避けたいからです。

もちろん、食わず嫌いということもあるので、異動してみたら実は適職だったり、その土地が気に入ったりということもあります。たた、そこで華々しい成果を上げたとしても、人事異動について抗議を申し立てたという履歴が残る点では、人事評価上のマイナス評価になることは避けられません。

いったん人事に目をつけられると、その後も望まぬ異動を繰り返させられるという例もあります。

結果的に昇給や昇格が遅れてしまったり、その後の待遇や評価に影響が出てしまったりする場合も。なにより、仮に一度拒否できたとしても、ずっと異動を拒否できるわけではありませんので、次はいつ来るのかと落ち着かないまま過ごさなくてはなりません。

まとめ

一つの選択として自分の今まで培ってきた専門性を生かしつつ、住まいを変えることもない専門職への転職を考えてみてはいかがでしょうか?
現在どんな職が向いているのかわからないといった人でも、一度転職エージェントに相談して見ることをおすすめします。

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