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離職率低下のために雇用管理制度を導入して助成金を得よう

HUPRO 編集部
離職率低下のために雇用管理制度を導入して助成金を得よう

中小企業における離職率の改善は大きな経営課題の一つ。採用や育成にかかるコストを考えると、離職率を改善することはすなわち警衛状況の改善につながります。本記事では、中小企業庁が実施する、「雇用管理制度」を導入することによって、離職率の低下に取り組んだ事業主が受給できる助成金「人材確保等支援助成金」について解説します。

離職率の平均は15%前後だが職種・性別によって違いがある

まずは離職率の現状について見ていきましょう。
下記の表は、1964年から2018年の入職率と離職率をグラフ化したものです。 離職率についてはここ10年程、平均15%ほどで推移しています。

出典:独立行政法人 労働政策研究研修機構WEBサイト

また、離職率は職種によって大きく異なります。

出典:厚生労働省 平成29年雇用動向調査結果の概況より

離職率が突出して高いのはサービス業関連特に宿泊業飲食サービス業については離職率が30%と平均の約2倍にものぼります。

また、離職率は性別によってはっきりと違いが分かれており、男性が13%前後、女性は17%から18%が平均です。

出典:厚生労働省 平成29年雇用動向調査結果の概況より

離職率が高いと、採用にかけた時間や費用、教育にかけた人的コストなどが大きく企業の経営に影響します。
しかし、そもそも離職率が高い職場では、せっかく就職した人材に対して手厚くフォローできる環境が整っていないという根本的な問題があります。

離職の原因は仕事内容よりも待遇が上回る

それではここで、離職に至る原因は何なのかを見てみましょう。

出典:厚生労働省 平成29年雇用動向調査結果の概況より

よく転職や離職の原因として挙げられるのは、職場の人間関係や、給与、労働時間などについてですが、 厚生労働省の調査によると、「(出向等を含む)その他の理由」がどの年代でも最も多く、これは他の要因以外と考えると、
・出向
・リストラ
・傷病によるもの
などが考えられます。

次に多く見られるのが、「定年・契約期間の満了」であり、これは契約・派遣社員などが含まれるとすると、頷ける数字です。
「労働時間・休日などの労働条件が悪かった」も高く、働き方改革による残業削減や有休取得などの待遇改善を行うためには、抜本的に業務内容の見直しを行う必要があるでしょう。

またその次に目立つのが「給料等収入」「職場の人間関係」となっており、「やりがい」や「仕事内容」以前に、職場の待遇改善が求められていることがわかります。

そこで、離職者を減らすために、職場の改善環境を行った中小企業に対して儲けられた助成金の一つが、雇用管理制度を導入することによる「人材確保等支援助成金」です。

次項から詳しく見ていきましょう。

助成金を受けるための雇用管理制度は労働協約・就業規則への明文化が必要

人材不足解消のために、離職率を減らして、従業員の職場定着の安定を図りたい事業者向けに用意されているのが「人材確保等支援助成金」です。
この助成金の「雇用管理制度助成コース」は、目標達成助成で、策定した目標を達成することによって受給できる助成金です。
事前に以下の(1)~(5)の雇用管理制度の導入のための「雇用管理制度整備計画」を作成し、管轄の労働局の認定を受ける必要があります。
さらに、労働協約または就業規則にその内容を明文化しなければなりません。

(1)評価・処遇制度

評価・処遇制度や昇進・昇格基準、賃金制度などを定め、新たに導入。
例えば、住宅手当や家族手当、・役職手当(管理職手当)・資格手当・海外赴任手当など。

新たも評価や処分を導入した結果、労働者の賃金基本給が減額されたりするものでなく、かつ対象となる労働者全員の賃金の合計額が低下していないことが条件です。
また、既存の手当を廃止して新たな手当を設ける場合は、新設する手当の支給総額が、廃止する手当の支給総額よりも増加させなければなりません。

(2)研修制度

新たな教育訓練制度、研修制度の導入することで得られる助成金です。
1人につき10時間以上(休憩時間、移動時間等を除く)の教育訓練等であることが条件となります。
また、当該時間内における賃金の他、受講料(入学金および教材費を含む)、交通費等の諸経費を要する場合は、全額事業主が負担するものであること(事業主が諸経費の一部又は全部を負担しない場合は原則助成金の対象とはなりません。)や、研修訓練集の賃金については通常労働と同じように支払うこと、時間外や休日に行う場合は割増賃金を支払うよう定められています。

(3)健康づくり制度

各種がん検診など、法定の健康診断以外の健康づくりに関する新たな制度の導入が必要です。導入に当たっては、全ての通常の労働者を対象とする制度として導入し、受診費用は半額以上を事業主が負担することになります。

(4)メンター制度

会社や配属部署における直属上司とは別に、指導・相談役となる先輩(メンター)が後輩(メンティ)をサポートする制度の導入する制度です。
支援機関や専門家などによる外部メンター活用でも差し支えありません。
メンターを担当する社員については、民間団体などが実施する研修やスキルの習得を目的とする講習を全額事業主負担で受講させる必要があります。

(5)短時間正社員制度(保育事業主のみ)

正規の従業員についてフルタイムよりも短い時間で就労する、新たな短時間正社員を導入します。

出典:厚生労働省WEBサイト: 人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

雇用管理制度導入・実施後の助成金受給について

助成金を受給するためには、評価時の離職率を計画した時の離職率よりも低下させることが必要です。 離職率は以下の式で計算します。

離職率の目標値は、対象の事業所における雇用保険の被保険者の人数によって変わります。
以下の表が目標の離職率ポイントです。新規事業所などで計画そもそもの離職率が無い場合は、評価時の離職率を0%とすることを目標にします。

例えば、雇用保険の一般被保険者人数規模が30人の事業所の場合は、雇用管理制度の導入により離職率を7%以上引き下げる必要があります。仮に、計画時に20%の離職率だったら、評価時には13%以下です。
なお、評価時の離職率は、最低でも30%以下になっている必要があるので、50%だった事業所が43%になっても適用されません。

出典:厚生労働省WEBサイト: 人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

他にもある!雇用関係の助成金を活用する方法

今回ご紹介したもののほかにも、厚生労働省からは雇用や職場環境の改善、従業員の能力向上などに役立つ助成金を多数用意しています。

厚生労働省WEBサイト 各種助成金・奨励金等の制度

厚生労働省のWEBサイト 雇用関係助成金検索ツール

いずれも、すでに実施している制度は対象になりません。これから新しく環境を整えるものが助成金の対象になります。
経営における助成金については、社会保険労務士(社労士)が専門です。これからますます雇用関係が厳しくなる中、従業員の待遇をしっかりと整えるため、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

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