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国内源泉所得とは? 非居住者の課税関係について

HUPRO 編集部
国内源泉所得とは? 非居住者の課税関係について

居住者は、日本で稼いだ所得はもちろん海外で稼いだ所得も課税の対象となります。では非居住者の課税関係はどうなるのでしょうか。
非居住者が、日本で稼いだ所得いわゆる国内源泉所得の課税関係は不透明な部分が多いです。
今回は、非居住者の国内源泉所得について、「国内源泉所得とは」から「国内源泉所得の課税関係」までしっかり説明していきます。

国内源泉所得とは

国内源泉所得とは、所得を得た原因・場所が日本国内で生じた所得のこと言います。日本に関係して稼いだ所得と読み替えできます。

ではなぜ、国内と国外を分けて考える必要があるのでしょうか。日本の居住者は、国内だけでなく海外で得た所得も日本で課税の対象となります。逆に非居住者は、日本で得た所得のみ日本の課税対象になります。

国内源泉所得をしっかり把握することで、日本で課税される所得が何かを見極めることができます。

続いてどのような所得が国内源泉所得に該当するのでしょうか。国内源泉所得の種類について説明します。

国内源泉所得の種類

ここでは国内源泉所得の種類について説明します。(国税庁ホームページより抜粋)

(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2) 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3) 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価
(4) 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12) 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
(15) その他の国内源泉所得

参照:国税庁 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)

国内源泉所得の課税

国内源泉所得の課税方法は、以下3つの要件によって変わります。

(1)国内源泉所得の種類
(2)恒久的施設の有無
(3)国内源泉所得が恒久的施設に帰せられるか否か

さらに、租税条約で国内源泉所得についての定めがある場合は、租税条約に従うことになります。国内法より租税条約が優先されることを把握しておきましょう。

15の国内源泉所得の課税方法

国内源泉所得の課税要件が分かった中で、先ほどあげた15の国内源泉所得の課税方法はどうなるのでしょうか。(2)〜(14)の国内源泉所得は、源泉徴収の対象となります。(1)・(15)は源泉徴収不要です。

さらに課税方法も、総合課税・源泉分離・源泉徴収して総合課税と多岐に渡ります。

ここまで、国内源泉所得についてまとめました。次は非居住者について、非居住者の課税関係を説明していきます。

非居住者の判定

非居住者とは、居住者以外の個人を言います。では居住者とはどういう人のことをいうのでしょうか。

居住者とは、「国内に住所を有している個人、または1年以上居所を有している個人」になります。まずは、住所の有無を確認し、住所がなければ居所の有無を確認する流れで居住者の判定を行うことになります。

ただ住所は単に住んでいる場所ではなく、「生活の拠点」であることが重要になります。滞在日数、生活の状況を総合的に判断し「住所」の有無を判定します。

では非居住者の課税関係はどのような手順で考えていけばいいのでしょうか。

非居住者の課税関係

非居住者の課税関係を考える場合、以下の手順で考えることになります。

(1)居住者か非居住者の判断をする
(2)日本国内に恒久的施設を有するか否かを確認する
(3)稼いだ所得が国内源泉所得に該当するか否か
(4)国内源泉所得に該当する場合は課税方法を確認する

まとめ

国内源泉所得の課税関係についてまとめました。

最近は国税も非居住者への課税に目を光らせており、日本での所得に課税漏れがないか力を入れています。課税漏れが後で判明して余計な税金を払うことがないよう、非居住者である方が日本でどのように課税されるのか、課税される所得、課税方法をしっかり把握しましょう。

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