転職や就職が有利になると人気の資格・簿記2級。コロナ禍もあって通学が難しいため、独学で勉強する方が増えてきました。この記事では、簿記2級を独学するにあたってのスケジュールや具体的な勉強方法について説明します。転職などでキャリアアップしたいとお考えの方はぜひ読んでみてくださいね。
簿記2級は、これまで1年のうち、2月、6月、11月の3回実施される試験でした。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年6月試験が中止になった影響もあり、2020年12月より、ネットによる受験も可能になっています。
試験時間もこれまでの120分から90分に変更されました。
出典:CBTS 日商簿記検定
これまでは受験日程が固定されていたので、その日に向けて勉強に取り組むという学習スケジュールを立てていた方も多いでしょう。
しかし、ネット試験の登場により、自分が決めた日程で受験することが可能になったのです。
ネット試験は、自宅ではなく全国のCBTS試験会場で行われます。申込日より3日目以降の日付で、会場に空席があればいつでも受験が可能です。
例えば、今日が20日なら、23日以降の会場に空きがあれば受験できます。
簿記検定は、これまでの統一会場のペーパーテスト(統一試験方式)も継続して実施予定です。そのため今後は、ネット試験か、会場で受験かを選ぶことになります。
しかし、簿記2級を就職・転職に使うという場合は一刻も早く資格がほしいですよね?ネット試験は、その場で合否判定が出ます。仮に不合格でも、次の受験の申し込みもすぐ可能。
これまでは受験後に「どうだったんだろう」と気をもんで悩み、数ヶ月待つ必要がありましたが、その時間がなくなるのです。
勉強していたことを忘れないうちに次の試験が受験できます。
いいことばかりに見えますが、「いま、簿記2級試験の勉強中です」と志望動機や面接でアピールしづらくなるということにもつながっています。
これまでは、受験日まで間があるので「勉強中≒簿記2級レベルがある」というように好意的に捉えてもらえました。しかし、いつでも受験できるとなると「じゃあ来週にでも受験してきてください」ともなりかねません。
ネット受験の開始により、簿記2級の受験がいつでも可能になったことは、勉強スケジュールに大きな影響をあたえているのです。
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受験生それぞれの事情があるので一概には言いにくいのですが、一般的に簿記2級の合格に必要な勉強時間は、以下の通りです。すでに簿記の基礎知識があるかどうかによっても、勉強に必要な時間は大きく変わります。
簿記3級合格者:250〜350時間(4〜6ヶ月)
簿記初学者 :350〜500時間(6〜8ヶ月)
通信・スクールなどを利用 :250〜350時間(約3〜8カ月)
必要なのは勉強時間なので、集中して勉強すれば1ヶ月で合格することも可能です。
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簿記2級合格への勉強時間を考えるにあたっては、まず簿記3級に合格しているかどうかが重要なポイントとなります。
なぜなら、簿記2級は、簿記3級の延長線上にある資格だからです。
簿記2級では、商業簿記と工業簿記が試験範囲です。これに対して、簿記3級では商業簿記のみが試験範囲です。
つまり、簿記2級で初めて登場する工業簿記は初心者向けなのに対し、簿記3級ですでに理解しているはずという前提で出題される商業簿記は応用編になります。簿記2級の商業簿記を勉強するためには、簿記3級の商業簿記の知識が必須なのです。
はじめて簿記の勉強をする人が簿記2級の合格を目指すには、まずは簿記3級の試験範囲からこなさなければなりません。
じゃあ簿記3級に合格している人は安心か?というとそうでもないです。
簿記3級に合格している人は、勉強時間だけを見れば少なくて済むように見えるかもしれません。ただ、油断は禁物です。
なぜなら、簿記3級と簿記2級では、出題難易度がまったく異なるから。
簿記2級になって苦労する点は、次の4点です。
・工業簿記が試験範囲に加えられる点
・商業簿記の難易度が格段に上がる点
・試験範囲の改正による難易度アップ
・満遍なく範囲を網羅した問題がランダムに出題されるためヤマが立てづらい
簿記2級は、かつては「持っていても実際の経理業務に役立たない」という評価もされていました。しかし、ここ数年の「出題の意図・講評」を見ると「資格」のための試験ではなく「実用」を強く意識していることがわかります。
より実用に近づけるために、広い範囲から実際の状況を想定した問題が多く出題されるようになっているのです。
簿記を勉強したことがない場合の簿記2級の合格に必要な勉強時間の目安は、独学の場合で350〜500時間(6〜8ヶ月)です。
簿記初学者が簿記2級にチャレンジする場合には、当然ながら簿記3級の試験範囲から勉強を開始しなければいけません。簿記3級に合格するための勉強時間は約100時間なので、簿記3級合格者に比べると、どうしても多く勉強時間を作る必要があります。
通信・スクールなどを利用する場合の簿記2級の合格に必要な勉強時間の目安は、250〜350時間(約3〜8カ月)です。
簿記2級の受験対策として、様々な資格専門学校が講座を開いています。その一例として、大手の資格専門学校の通学講座では、簿記3級合格者向けの2級試験対策講座が、3〜8カ月で知識を習得できるように学習計画がなされています。
【参考】
日本最大級の塾検索サイト「塾選(ジュクセン)」では、目的に合った塾・予備校を全国約10万教室から比較検討できます。
簿記2級に合格するためのスケジュール作成や注意点について説明します。これから簿記2級の勉強を進める方は、ぜひ参考にしてください。
簿記2級は、1年に3回の受験機会に加え、ネット試験が登場したことで、受験機会が増えました。どうしても油断や漫然とした学習姿勢に繋がってしまうおそれが生じます。
スケジューリングすることで「◯日までにここまで勉強する」「◯日までに合格する!」と決意して勉強を進めやすくなります。
特に転職などのタイミングでキャリアップを目指すのであれば、簿記2級の取得はできるだけスムーズに進めるべきです。
綿密な勉強スケジュールを作って、しっかり消化していきましょう。
簿記2級に合格するには、毎日継続的に学習を進める必要があります。
知識を定着させるためには、毎日触れることが効果的です。
簿記2級に合格するために必要な、約250時間から500時間の勉強時間を消化するために、毎日どれだけの時間を簿記2級の勉強に充てることができるかを把握しましょう。
例えば、毎日2時間勉強できる方であれば、以下の期間内に収まります。
「このスケジュールなら消化できる」という日程で、試験の申し込みを先にしておきます。
もちろん、毎日このように綺麗に勉強時間を確保する必要はありません。平日は1時間、その代わりに休みの日には5~6時間は勉強するという変則的な形でも問題ありません。ただ、毎日確実に勉強時間を作るように意識しましょう。
毎日の通勤時間や昼休みなどの「ちょっとした空き時間」などを活用するのも有効な方法です。
今はいろいろなコンテンツ形式で簿記2級を学習することができます。テキストを見るだけではなく、配信動画や講義音声などをチェックすることで隙間時間をうまく活用しましょう。
より具体的に、簿記2級合格までの勉強方法を紹介します。以下の項目を意識しつつ、ご自身の生活スタイルと勉強を上手に組み合わせて学習を行って下さい。
まずは、基礎固めです。全体像の把握を意識しながら、重要ポイントの習得に努めましょう。最初から細かい知識にこだわってしまうと、効率的な知識の習得が阻害されてしまいます。
例えば、250時間で合格を目指す人は60時間程度、4ヶ月の勉強期間を取っている人は最初の1ヶ月程度、おおよそ全体の1/4の時間を基礎固めの時期にあててください。
もちろん、単純な暗記では不十分です。根本的な理屈から理解を深め、知識を効果的に活用できるようになることを目指しましょう。この意識を維持できれば、近年の出題傾向の変化・難化にも対応できるはずです。
基礎的な学習を地道に丁寧に行い、それを土台として系統立てて学習内容を拡大・発展させていくという学習への取組み(学習態度)が不可欠ではないかと思われます。
引用:第156回簿記検定試験 2級 出題の意図・講評
試験がどんなに難しくなっても、基礎問題は出ます。「基礎が大事」このことを念頭に、しっかりと学習に取り組みましょう。
テキストを一周できたら、次は問題演習の反復です。簿記2級の試験では、インプットよりもアウトプットが重要となります。
総勉強時間の半分は問題を解く作業に使ってください。
何度も同じ問題を繰り返すことで、自分の苦手分野や間違えやすいポイントを知ることができます。弱点の克服は、資格取得に必須の項目なので、時間の許す限り、最低でも3~4周は反復するようにしましょう。
日本商工会議所のサイトにある「サンプル問題」もぜひ解いてみてください。
試験内容が大幅に変更されている実情を踏まえたとしても、簿記2級の合格にとって過去問・予想問題の演習は必須です。
なぜなら、すべての出題範囲が変更されたわけではなく、従来通りの範囲からも多くが出題されるからです。
基本的で標準的な仕訳問題であるとともに(中略)従来から2級の出題範囲に含まれている典型的な仕訳問題でしたが、正答できていなかった答案が比較的多かった印象です。
引用:第156回簿記検定試験 2級 出題の意図・講評
簿記2級の試験については、いろいろな予備校が予想問題集を出版しています。最新の情報に沿った上で作成されたものばかりなので、試験前には必ず演習を繰り返すようにしてください。
ただし、過去問「だけ」を解いても合格は難しいでしょう。
というのも「第156回簿記検定試験 2級 出題の意図・講評」では以下のように講評されているからです。
過去の出題問題を複数回解いておくことは結構なことではありますが、出題パターンごとの解き方を丸暗記するのではなく、本質的な理解を重視して日ごろから学習してほしい
引用:第156回簿記検定試験 2級 出題の意図・講評
参考書を読んで理解が第一、問題集→過去問という順番でしっかりと取り組みましょう。
簿記2級の勉強を効率的に進めるために、合格者からの声をもとに、合格するためのコツを3つに絞ってご紹介します。決して楽な方法というのは無く、毎日コツコツ勉強するのは大前提ですが、少しでも効率的に勉強ができるよう参考にしてみてください。
簿記2級の試験範囲である工業簿記は、簿記3級の出題範囲からは除外されています。つまり、簿記2級の学習ではじめて工業簿記に触れることになるので、受験生はいかにスムーズに工業簿記の学習を進められるかがポイントとなります。
工業簿記とは、製造業で使用される簿記なので、専用の勘定科目があったり等、商業簿記とは勝手が異なります。ただ、実は、工業簿記は出題傾向がほとんど改定されていないという特徴があるので、過去問やテキスト、場合によってはスクール予備校の講座を受講して、おおよその流れや出題傾向を頭に入れてしまうのが賢い方法です。
特に、総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算は出題のメインジャンルだと考えられるので、しっかりと過去問をチェックしておきましょう!
簿記3級とは異なり、簿記2級の難易度はかなり高いです。出題される内容も難しくなるので、いい加減な理解では到底合格できません。苦手な科目をなくして、全体的に深い理解に努めましょう。
その際に重要なのが、スケジュール感を大切にして毎日の学習を進めることです。独学で勉強を進める場合でも、通信講座や予備校スクールなどを利用して勉強を進める場合でも、少なくとも数ヶ月以上は集中して勉強しなければいけない期間があると思ってください。
そして、毎日確実に簿記に触れる時間を作って、勉強しない日を作らないように意識しましょう。特に、社会人の方は仕事も忙しいので大変かとは思いますが、通勤時のスキマ時間等を上手に利用するなどして、しっかり学習のモチベーションを維持してください。
前半でもご紹介した勉強スケジュールを参考に、ぜひ自分のペースをしっかりと確立していくようにしてください。
「1週間のうち1日だけ7時間勉強して残りの6日間は勉強しない」「1週間毎日1時間ずつ勉強する」という二つの方法を比べたとき、簿記2級の勉強においては後者の方が効果的です。特に、働きながら資格取得を目指している社会人の方は、平日に勉強時間を作りにくく、土日などの休日に勉強時間をまとめて確保しがちなので、注意が必要です。
知識は日々の積み重ねで深みを増すものです。通勤・通学のスキマ時間や会社の休み時間に、持ち運びしやすい参考書を上手に活用して勉強時間を確保し、少しずつでも良いので毎日着実に勉強を進めるようにしてください。
特に、最初は簿記2級の試験レベルについていけなくて、なかなか勉強を始めるのが難しいかもしれません。しかし、解けるようになるまで毎日何度も問題に挑み続けることが大事です。必ずどこかで解けるようになりますし、そうなると勉強のリズムもスケジュールものってくるので、必ず結果はついてくるはずです。
毎日少しずつ勉強するだけでも良いので、その記録や計画を視覚的に捉えられるようにしましょう。これによって、今自分の勉強が全体の中でどれだけ進んでいるかを把握しやすくなります。後から見直したとき、これだけの勉強を重ねたのだから大丈夫というように、自分の自信にもつながるのでオススメです。
この勉強記録ノートは、特に試験直前期に役立ちます。自分の苦手な分野、間違えがちな範囲、ケアレスミスをしやすい仕訳などを意識するのに役立ちますし、徹底的に全体を洗い出すのにオススメの方法です。時間配分など、試験本番の戦略を組み立てるのにも有効なので、毎日日記をつけるような感覚で丁寧に記録していきましょう。
簿記2級にチャレンジする人の中には、いきなり簿記2級を受験するという人もいるでしょう。転職時に役立つ資格として重要なのは簿記2級であることからも、簿記3級を飛ばす人も少なくありません。
ただ、実際に勉強を始めるにあたっては、商業簿記の基本から知識を整理できる簿記3級の学習から開始するのがオススメです。簿記2級のテキストをいきなり読み始めても、前提知識がなければ理解しにくく、結果的に学習進捗度が落ちる可能性があるからです。
時間や費用に余裕があるのなら、簿記3級から受験をして、着実にステップを上っていきましょう!
簿記2級の試験では、電卓選びも大切なポイントです。問題を解く上で欠かすことができないツールなので、慎重に自分にあったものを選ぶようにしてください。
独学で簿記2級を目指す場合、何より重要なのがどのテキストを選ぶのかという点です。
独学で挑む以上「モチベーションを維持しつつ効率的に勉強をアシストしてくれる教材選びに成功するか」が合否を分けるポイントになります。
数多くのテキストや問題集の中で、簿記初心者が自分に合ったテキスト・問題集を選ぶポイントは、以下のとおりです。
1.最新版である 2.自分のレベルに合っていて、読みやすくわかりやすい 3.持ち運びしやすい大きさと重さ 4.専門用語にはわかりやすい解説がついている 5.カラーイラストや表でわかりやすく説明している 6.直近の過去問題を多く収録している 7.解答の解説が丁寧で、頻出の問がわかりやすい
もちろん、これらのポイントはあくまでも例示です。自分との相性やいろいろなレビューなども参考にしながら、パートナーとなるべきテキストを選びましょう。
なお、簿記の基礎がない人はまずは3級の勉強からはじめてみるのもおすすめです。
簿記3級のテキストから理解を深めていき、次に簿記2級に取り組むという受験生も多いです。中には、簿記2級と簿記3級を同時受験するという人もいます。
ネット受験により、3級の試験時間は120分→60分となりました。もちろん同日に受験も可能です。
現在の簿記2級は簡単に合格できる試験ではありません。
しかし同時に、着実な勉強カリキュラムをこなすことができれば合格に到達できる資格でもあります。ネット試験で受験機会も増えました。ぜひ果敢にチャレンジしてください。
勉強を続ける中で、日々いろいろな不安が生じるでしょう。特に、独学で勉強を進める場合には、「自分の勉強方法は正しいのか?」「他の受験生の進捗状況はどうなのか?」というような不安に悩まされるものです。
簿記2級は多くの人が独学でクリアしているという現実があるのも事実です。*着実なカリキュラム、苦手箇所の克服、そして、体調管理を行うことができれば、必ず試験当日に実力を発揮できます。
最後に、第156回簿記検定試験 2級 出題の意図・講評より、試験当日についてのアドバイスを引用します。
試験が始まったらすぐに第1問から解き始めるのではなく、いったん呼吸を整えて落ち着いて、最初に集中して問題の全体を見渡した上で、制限時間をどう使うべきか戦略を練ってから解答に取り掛かってください。問題(仕事)に応じて時間という資源を適切に配分することができる能力も広い意味での実力に含まれます。
引用:第156回簿記検定試験 2級 出題の意図・講評
自分を信じて、毎日しっかりと簿記2級合格へ向かっていきましょう!
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