所得税には色々な課税方法がありますが、特殊な課税方法の一つが金融類似商品となります。今回は、金融類似商品とは、から金融類似商品の課税の方法を解説します。
まず、金融類似商品について解説します。所得税法上、金融類似商品は次の6つとされています。
給付補てん金というのは、実際に支払った金額と満期で返戻される金額との差額がある場合にその差額部分を言います。これは、ある会社の社債を99万円で購入して満期が来ると100万円返還される場合の差額の1万円部分と性質が同じとみられています。
これは1とほぼ同じ意味ですが、銀行法上、「定期積金等」とは、定期積金のほか、一定の期間を定め、その中途又は満了の時において一定の金額の給付を行うことを約して、当該期間内において受け入れる掛金をいう、とされています。
つまり、定期積金に似た商品も同様の扱いをするということです。
抵当証券とは、抵当証券法に基づいて不動産に対する抵当権およびその被担保債権を小口の証券とし、一般投資家が購入できるようにした有価証券を言います。
言い換えるなら、証券会社が土地・建物等を抵当として貸し付けた債権を証券として売買したものを言います。
これは単純に金を現物で買うわけではなく、一定金額をその時の相場で購入する際に一定期間後に一定価格で売却することを約束するような売買を言います。皆さんが証券会社を通して金などを売買する際に得た利益を想像すればよいでしょう。
これは、100万円預金に預け入れたとして、満期に1万ドルをその時のレートで返還するという契約であったとして、その時のレートが1ドル107円であったとすると7万円利益が出て、その分が該当します。
これは、養老保険や損害保険で一時払いのものについて、満期を迎えた時に支払った金額よりも多くの返戻金がある場合にその差額について金融類似商品として計算されます。
これらは金融商品ではありませんが、金融商品に類似するものとして所得税法は扱われることとなります。見た目は利息やデリバティブではないものの、実質的な利息と考えられるものを言います。
では、金融類似商品の収益はどのように税額計算されるのでしょうか。
金融類似商品の収益は、雑所得として一律20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税率が課されます。この税金は源泉分離課税となるため、源泉徴収だけで課税関係は終了となります。
この所得については他の給与所得や事業所得などとは合算しないため、どれだけ所得がある場合もない場合も同様の利率となります。
これらのことから、高額所得者で税率が高い場合は金融類似商品の収益は税率が比較的低い為節税にもつながりますが、低所得者である場合はかえって高い税率となってしまうため、これらを勘案した金銭の運用が必要となります。
金融類似商品の収益とよく似たものが利子所得となります。利子所得は読んで字のごとく利子にかかる所得となります。具体的には預貯金の利子や公社債の利息、合同運用信託の分配や公社債投資信託の収益の分配、公募公社債等運用投資信託の収益の分配等が挙げられます。
例えば預金利息については20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税額が源泉徴収され、徴収後の金額が預金利息として振り込まれます。
利子所得についても源泉分離課税となっていますので、金融類似商品の収益と同様に他の所得と合算することなく源泉徴収によって課税関係は完結します。
本来、金融類似商品については雑所得とするかどうかは色々と議論もあったようですが、利子所得と極めて近い性質のものであるということで、税率は同様となり、源泉徴収で所得税計算が完結するようになっていると考えられます。
金融類似商品の収益に当てはまる6項目はどれも実質的に金融商品(利息)と考えられるものです。よって、これらの収益については利息と似たものだからといって利子所得とせずに雑所得となることに気をつけましょう。
とはいえ、源泉分離課税となりますので特段確定申告の際には気を付ける必要はない上に、配偶者控除計算の為の所得についてもこの雑所得はカウントされないため間違えないようにしましょう。
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