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役員と従業員には、どんな違いがある?

HUPRO 編集部
役員と従業員には、どんな違いがある?

会社法は、会社に関することについてさまざまなことを定めている法律です。そして、この会社法によって役員と従業員の定義づけもされています。また、実際に役員と従業員には雇用形態も報酬の計上方法にも違いがあります。今回は役員と従業員には、どういった違いがあるのかについて解説していきます。

そもそも役員とは?

会社法において定義づけられている役員とは、「取締役」「監査役」「会計参与」のことです。これら役員は、会社の経営方針を決め、組織を作って業務を監視するなど、会社全体を見渡すような役割をもっています。では、それぞれの役員の役割をもう少し詳しくみていきましょう。

取締役

会社の方針を決め、会社を運営する役割をもっています。そして、法律のうえで代表権をもつ「代表取締役」が取締役のなかから選ばれます。取締役の任期は基本的には2年とされており、株主総会で決議されれば最大で10年まで延長させることが可能です。

監査役

会社の業務が滞りなく執行されているかどうか、また会計についての監査を行ないます。

会計参与

取締役との共同により、会社の計算書の作成を行ないます。ただし、会計参与として就任できる人は、監査法人、税理士法人、公認会計士、税理士のみです。

ちなみに、従業員は「労働者」であり「社員」です。会社を構成する一員という立場で、役員をはじめとした会社機関が定めた経営方針に沿って労働し、その代わりとして給与が支給されるようになっています。つまり、会社法のうえでは「取締役」「監査役」「会計参与」は会社機関であり、「社員」は会社機関が決めた方針に沿って働く人という立場となのです。

 役員と従業員では雇用形態に違いがある

役員と従業員では雇用形態に違いがある

従業員は会社と雇用契約を結びます。一方、役員は委任契約となり、会社と任用契約を結びます。労働基準法第9条において定められている従業員とは、会社や上司の監督のもとで働く人を指しています。しかし、役員の業務は監督のもとで行われるような業務ではありません。そのため、役員は労働基準法によって定められている労働者には該当しないのです。雇用保険の対象にもならず、労災保険の適用も受けることはありません。ただし、中小企業などでよくあるケースですが、役員であっても社員と同じように業務に携わるような場合においては、従業員として業務にあたる部分について労災や雇用保険の対象とみなされます。

役員と従業員では報酬の扱われ方に違いがある

役員が会社より支給される報酬は「役員報酬」といい、従業員が会社より支給される報酬は「従業員給与」といいます。法人税法において、従業員給与については毎月の給与も賞与に関しても「損金」として計上することが可能です。損金とは、非課税の対象とされる支出のことをいいます。一方の役員報酬は、定められた範囲のみの報酬が損金として計上できるかたちとなります。具体的には、以下のような役員報酬は損金として扱うことが可能です。

定期同額給与

定期同額給与とは、一定の期間のなかで定期的に支払われる同額の報酬のことをいいます。期間は最大でも月単位とされており、業績悪化などによって報酬が減額される場合は、決算日の翌月より3ヶ月以内に変更をするかたちがとられます。この3ヶ月を過ぎてしまうと、全額を損金として扱うことができなくなってしまうので、気をつけなければいけません。

利益連動給与

利益連動給与とは、その年度における利益の指標を基準に決定する報酬のことをいいます。ただし、この利益連動給与は「同族会社ではない」「給与を算出する方法が要件を満たしている」「業務執行役員に支払われる報酬である」などの条件をクリアしていることが必要となります。

事前画定届出給与

事前画定届出給与とは、届け出を提出した役員にのみ、定められた時期に支払われる報酬のことをいいます。

非常勤役員といった毎月勤務しているのではない役員に関しては、事前に税務署に届け出をしておくことにより、半年に1度のみ損金として扱えることがあります。また、この報酬は役員の賞与も対象です。賞与額が決まったら税務署に届け出をしておかなければ、損金として扱えなくなるので、提出期限や決算時期に気をつけておくようにしましょう。

役員は従業員の数に含まれないという違いがある

従業員とは労働者のことを指し、役員は労働者ではなく使用者です。そのため、役員は従業員の数には含まれません。つまり従業員とは、正社員、契約社員、そしてパートやアルバイトといった非正規雇用者のみを合計した人数のことをいうのです。

まとめ

役員と従業員にはさまざまな点で違いがあります。役員とはあくまでも使用者であり、従業員とは異なるため、このような違いが生じるのです。もし従業員が役員になる場合は、一旦その会社を退職し、役員としての契約を結ぶというかたちを取ることになります。このように役員と従業員に違いがあることだけでも理解をしておけば、手続きをする際に手際よく処理を進めることができるでしょう。

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