国税調査官とは、国税に関する業務に携わる職業です。納税が正しく行われているのかどうか調査をし、指導します。また、国税調査官は国家公務員であり、難易度の高い採用試験をクリアしなければなりません。今回は、国税調査官の詳しい仕事内容や採用試験、年収についてなどの国税調査官の詳細について解説していきます。
国税調査官とは、国税専門官のうちのひとつの役割です。国税専門官には、ほかに「国税徴収官」や「国税査察官」があります。国税専門官は国家公務員であり、税金のスペシャリストとして税務署や国税庁で勤務しています。国税専門官のそれぞれの役割について、ご紹介しましょう。
国税調査官とは、納税義務者と税務署をつなぐパイプのような役割を担う仕事です。納税義務がある会社または個人を訪問し、正しく税金の申請が行われているかを調査します。また、確定申告用紙の記入方法を指導したりすることもあります。
国税調査官とは、滞納されている税金を徴収する役割を担う仕事です。法人税をはじめ所得税や贈与税などの税金の滞納が発生した際、滞納者の職業や資産、家族構成といった情報を調査します。また、納税の催促のほか、必要に応じて財産の差し押さえなどの滞納処分も行ないます。なかでも悪質な税金滞納者には「特別国税徴収官」という役職が対応します。
国税査察官とは、脱税に関わる調査または刑事告発を行う専門職のことです。通称マルサと呼ばれている国税専門官が、この国税査察官を指します。脱税方法が悪質で、かつ納税額が高額である納税義務者に対し、裁判所から許可を得て強制捜査をする役割を担います。また、この強制捜査で不正が発覚した場合には、刑事罰を求め、検察官に告発をすることもあります。
国税調査官とは国家公務員となるため、採用試験に合格をする必要があります。「国税専門官採用試験」という試験で、国税に関する専門知識が問われる一次試験と、人柄そして対話能力が問われる二次試験があります。もう少し詳しくお話しましょう。
国税専門官採用試験の一次試験は筆記試験です。公務員として求められる最低限の知識を習得しているかを問う教養試験と、財務や法律に関わる知識を習得しているかを問う専門試験の2つがあります。一次試験に合格をすると、次は二次試験に進みます。二次試験では、人柄や対話能力といった人物試験である面接と身体検査が行われます。この国税専門官採用試験は、特に一次試験の難易度が高いです。法律が関わってくる内容であるため、かなりの時間をかけて勉強をしなければ合格できません。実際に倍率も5倍以上と公表されており、この数字からも難易度の高さが読み取れるでしょう。
ただし、国税専門官採用試験に合格をしても、すぐに国税調査官として働くことができるわけではありません。合格後はまず、税務大学校にて3ヶ月ほどの研修を受けます。研修により簿記や税法などの国税調査官として必要不可欠な知識を得て、税務署に配属されるかたちとなります。その後も1年の実務経験が必要となり、実務経験を積んだ後に専科研修と専攻税法研修という研修を受け、さらに専門的な知識を身につけてようやく国税調査官として任用されるのです。
国税調査官の年収は幅が広く、450~700万円ほどとされています。ちなみに国税調査官の平均年収は500万円です。署長クラスにまで昇格しなければ高い年収を得ることは難しいですが、国家公務員のため、安定した職業であることは間違いありません。
国税調査官の経験を活かして税理士へと転職をする人も多くいます。実は、国税調査官を含む国税専門官は、定められた年数以上の勤務を超えれば、税理士試験の一部またはすべての試験の免除が受けられるのです。具体的には、10~15年以上の税務署勤務があれば税法3科目の免除、23~28年以上の税務署勤務があれば、指定研修を修了しさえすれば全ての試験が免除となります。10年税務署で勤務をし、自力で2科目合格をする方法でも、税理士になることができます。税理士に転職をしても、国税調査官で培った経験や知識をそのまま活かすことができるというメリットは大きいでしょう。
国税調査官とは、国税専門官のうちのひとつの役割を指しています。納税義務者と税務署とのパイプ役のような存在として活躍できる仕事です。国家公務員であり、非常に高い専門知識が求められるため、採用試験の難易度は高い傾向があります。しかし、国税調査官は正義感をもち業務に携わることができるやりがいのある仕事といえます。学歴が採用試験の合否に関係するようなこともありませんので、ぜひ採用試験に挑戦してみてください。大学においては、法学部や経営学部、商学部を卒業していると採用試験に有利になる可能性が高いです。
▶︎ 士業・管理部門でスピード内定|最速転職HUPRO はこちら