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[イベントレポート] 急拡大の会計事務所に共通する経営・採用戦略とは?

HUPRO 編集部
[イベントレポート] 急拡大の会計事務所に共通する経営・採用戦略とは?

こんにちは。
HUPRO MAGAZINE 編集部の齋藤です。
本日は、12月3日に株式会社マネーフォーワード(株式会社クラビス)と税理士法人アイユーコンサルティングと共催で開催した会計事務所採用戦略セミナーの全貌をご紹介します。

どんなセミナー?

会計事務所の経営戦略の一環として、「採用」にフォーカスを当て、急成長会計事務所の試行錯誤の実例や、経営戦略を採用戦略として落とすためにはどうすればいいのか?を紹介するヒュープロとマネーフォーワードさんの共催セミナーの第二弾になります。

今回は、拡大フェーズにある「10~30名の会計事務所」の代表税理士向けに、組織戦略にフォーカスしたセミナーを行いました。第一部では、税理士法人アイユーコンサルティング の副代表/代表社員 税理士の出川裕基さんから急成長フェーズの採用・組織戦略におけるトライアンドエラーについて実例を踏まえてお話しいただき、第二部ではヒュープロの松元より、直近の採用トレンドの紹介と採用戦略の立て方のワークショップを行いました。

第一部:急拡大事務所の採用戦略と組織体制 /トライアンドエラーの全貌を公開

第一部では税理士法人アイユーコンサルティング の出川裕基さんから、アイユーコンサルティング の成り立ちや経営の変遷、それをどう組織や採用戦略に反映させたかについて具体例を交えてご紹介いただきました。

採用や組織戦略にも、ビジネスモデルを確立させることが重要

税理士法人アイユーコンサルティング は高収益の「資産税」に特化したこと、顧客開拓を行ったことにより初期段階から確実な利益の柱を得ることができました。顧客開拓においては、保険営業担当の方にご紹介をお願いしたり、開業場所付近に司法書士事務所に足を運んでお願いしたり、地道なことに積極的に取り組んだことが功を奏したそうです。こうして早く収益性が安定したため、組織づくりに力を入れ、社員が働きやすいと感じる取組を進めていったそうです。

主な具体策として挙げられるのは
・バースデー休暇
・社員旅行(隔年)(行かない年はリフレッシュ休暇で3万付与)
・アイユー銀行(新入社員の勉強のため、無利息でお金を貸すシステム)
・グループランチ手当(月1500円を提供し、グループでの仲を深めてもらう)
などです。
早期に収益性を安定させて採用や組織に投資できるビジネスモデルを確立していったことが組織の急成長に大きく影響を与えており、ビジネスモデルの大切さを感じました。

採用や組織にはとにかく PDCA をまわす

採用や組織に関しては、営業開拓と同じようにとにかくいろんな施策を試し PDCA を回したそうです。例えばどの採用ツールが人を獲得できる!というのは決まってはいませんし、会社によって適正は異なりますよね。税理士法人アイユーコンサルティングはとにかくあらゆる採用手法に挑戦されたそうです。思いつく媒体やエージェントに登録したり、イベント等を開催したり、税理士データから手紙を送ったり…。現時点では、効果がある施策と効果があまりない施策が明確になり、効果がある施策にフォーカスしながら新しい施策を試すということをできているそうです。
また、組織についても同様に、よりよいPDCAを回すためには、社員とのコミュニケーションをとって、現場の環境を理解していくことが必要となります。そこで有効な手立てとなったのが「1on1」でした。「1on1」とは15~20分くらいで上司と社員が一対一で話すことです。弊社でも実践していますが、「大勢の中では言いにくいな」ということも言いやすくなりますし、「話してみたらこれは不便なのか」と管理側でも気づきがあり、組織の改善に直結するオススメの施策とのことでした。

教えて!組織・採用の裏側

質疑応答コーナーでは、こういった質問がありました。

ー「1on1」をやってみたいのですが、どういう形をとったらいいのでしょうか。

雑談のようなイメージで、こちらからは話さず聞くだけで、「最近はどうか」「今後こうしていきたいと思うことはあるか」などと、自分で現状を捉えて解決させるような働きかけ をしていくとよいです。

ー役員5名で密な議論をされているということですが、役割分担はどうなっていますか。

大きい枠組みや案件に関しては代表と副代表で、他3名はその枠組みを実行するための役割を決定し、動いています。どんな些細なことでも問題があればすぐ集まって情報共有と意思決定を行い、会社のスピード感を大切にしています。

ー補助スタッフの方への評価はどうしていますか。

パートの方々は「働きやすさ」に良さを感じて入ってきてくれているので、スカイプで会議に参加できる、時間勤務ができるなどプライベートとの両立がしっかりできる環境を整えて働きやすさを作ることを心がけています。

ー拠点が複数存在していますが、共通ルールを取っていますか。地域で差はありますか。

全社として統一ルールが存在していますが、各地域の働き方の特徴や環境の違いも異なるため、拠点トップの意見で反映されるルールも存在しています。

ー評価制度を見える化していく上で、何を評価基準にしていますか。

定量的評価には売上高、顧問数、税務件数等を使用しています。定性的なものでは顧問業務は自ら現状を把握して提案をしていくなど能動的に活動できているか、メンバーへの教育が適切であるか、等を用いて評価をしています。

活況な質問の中で、どの事務所でも「社員との関わりを強めて、しっかりと評価していきたいが方法が分からない」という意見が多く、働き方改革が進む中で組織が抱える共通の課題なのではないかなと感じました。

第二部:組織の魅力はどう伝えればいい?採用における「自社の魅力」のつくりかたワークショップ

第二部ではヒュープロの松元から、現在の数字やデータを踏まえた2019年の会計事務所採用事情についてご紹介した後、近年特に肝とされている「採用におけると発信(採用広報)」の根幹となる「自社の魅力の伝え方」についてのワークショップを行いました

2019年の会計事務所採用事情

会計事務所を取り巻く業界は今、「市場は伸びているのに人材の確保が追い付かない」という状態にあります。AIに代替される業種1位に選ばれることからも、業界へのイメージが悪く入ってくる若手の数が減っており、採用は難しくなっているのが現状です。そんな中で若手の採用には、条件や組織風土と同じくらい一人一人のキャリアの希望を叶えてあげれるかは大事になっています。そこでトレンドになっているのが「業務分解」です。例えば内勤と外勤を分ける、など仕事のフローを細かく切って、転職者がやりたい業務に集中して取り組めるよう工夫することが進められています。そのためにも、ビジョンを明確にして土壌を整備することが求められているようです。

自社の魅力づくり!ワークショップ

「事務所として大事にしていることは?」「最近入社された方が魅力に思った点は?」こういった質問が書かれたワークシートをお配りし、自社について書いていただいてワークショップが始まりました。漠然と「魅力ってなんだろう」と考えても、これは魅力といえるのか?と不安になったり、実際どこがよいのかスラスラ言えなかったりすると、転職者に勧めることも難しいです。今回参加していただいた事務所の方々はブランクにぎっしりと書いてくださっていて、社内の共通認識が取れている印象でした。採用に不安を持っている方は、こういう人を採用したい!というペルソナを明確にすること、自社の魅力を明確にすること、この2点に取り組んでみましょう。

採用のトレンド

各採用フェーズに応じたトレンドの採用手法が紹介されましたが、特に最近は会計事務所の採用でもSNSでの活用が強まっているようです。税理士受験生はTwitter上で勉強の進捗状況をつぶやいていますし、そこに採用の矛先を向けて、実際に成功している例もあるようです。SNSでなくとも、ネット社会の現代において自社のホームぺージをきれいにするなど、ネット上での印象を良くする工夫が求められています。また、採用手法についてはトレンドはどんどん変わっていくので、根本の「自社の魅力」を適切に理解することを大事にしながら、手法についてはエージェントや媒体など業界の最前線にいる営業担当に聞いていただけたら、時代に応じたトレンドのキャッチアップはできるかと思います!

エージェントに聞きたい!質問

採用に関して採用のプロに聞きたいと、次のような質問がありました

ー未経験者の方で会計事務所に入りたいという方はどれくらいいますか。

弊社を利用して転職された方の約3割は未経験の若手の方です。

ー採用をするにあたり、能力の認識のずれ等ミスマッチを減らす方法はありますか。

性格診断、SPIのような筆記テストの実施は発言の信憑性のネガティブチェックや活躍している社員さんとの能力の相関がわかるという点で有効です。また、面接の選考フローを長くしてより多くの目で採用するということも認識のズレを減らす施策ではありますが、同時に他社で先に決まってしまうかもしれないというリスクは発生します。

ー「Twitterで採用」のイメージが分からないのですが、やり方を教えてください。

本来の用途でTwitterを利用していただき、日々の生活や業務に関係する情報などを発信していく中で、検索欄を使ってターゲットとなる人をフォローしていきます。ほとんどの場合、相互にフォローが成立した後ダイレクトメッセージを送れるようになるので、そこでメッセージを送ります。

ー公認会計士の受験生は予備校がキャリアサポートをしてくれますが、税理士受験生においての有効に機能している場はリアルに存在していますか。予備校の説明会もなかなか全体の集客が芳しくないようで。。

税理士の場合、確かにリアルの場は少ないです。将来的には弊社もそのような場をつくっていきたいと思っています。また、リアルな場が効きにくい分、就職先を考えるときに各社のホームページが判断材料になりやすいので、社員の声を載せる、各社の魅力を明確にする等、特徴をきちんと発信していくことが他業界に比べより効果的だと感じています。

最後に

いかがでしたでしょうか。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉があるように、転職者は働くことに何を求めているのか、自社が自信をもって発信できる魅力とは何か、それらを明確にかつより具体的にしていくことで、採用のミスマッチを防ぎ、よりよい人材の獲得につながります。他社の採用の形を参考にしつつ、様々なやり方に挑戦し、自社にあった採用活動を行ってみてはいかがでしょうか。

ヒュープロでは、今後も会計事務所向け採用セミナーを積極的に行っていく予定です。「こんなテーマをやって欲しい!」などご要望がございましたら、ドシドシお問い合わせください!
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この記事を書いたライター

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