フリーランスで働いていると、税金の計算も個人で行う必要があるため、毎年の確定申告まで結局どれくらい税金が取られるのかはっきりしないと思っている個人事業主の方も多いかと思います。今回は、年収500万円の個人事業主の方が、どれくらい税金を支払う必要があるのかを解説していきます。
個人事業主の年収から経費を差し引いた所得に対して、以下の税金や社会保険料が計算されます。
以下、それぞれの科目の計算を見ていきましょう。
所得税は年収から経費を差し引いた所得に対して税率をかけて計算されます。
ここでは、青色申告控除65万円の適用を受けていると見なして解説していきます.
まず経費が397万円以上かかった場合は、所得税がかかりません。
青色申告控除後の所得が38万円以内であれば、所得税がかからないからです。
次に経費が397万円未満だった場合は、どうでしょうか?
所得税は、厳密には以下の計算式で求められます。
例えば経費と青色申告控除の合計が300万円だとすると、(1)所得は200万円になります。
では(2)各種控除について説明します。
これは「基礎控除」「配偶者控除」「扶養控除」「生命保険料控除」「国民年金」「国民健康保険」のことです。基礎控除は現状一律で38万円です。
配偶者控除は、配偶者が納税者(控除を受ける人)と生計を一にしており、年間の合計所得金額が38万円以下であれば適用されます。控除される金額は、ここでいう個人事業主の年収によります。最大で38万円の控除が受けられます。配偶者の年収が38万円を超えていても、配偶者特別控除が適用される場合があります。
扶養控除は、生活を一にしている配偶者以外の親族が、16歳以上で、年間合計所得金額が38万円以下の場合に受けることができます。
「生命保険料控除」「国民年金」「国民健康保険」は、これらの支払いの分だけ、所得から差し引くという政策的措置です(生命保険料控除には上限額があります)。
こうして求められた課税所得に、所得税率をかけて所得税額が計算されます。税率は課税所得の金額によって変わりますが、年収が500万円の場合、5%~20%になります。
住民税は、事業を行っている地域の自治体に支払う税金です。前年の課税所得に対して課税される「所得割」と、一律に課される「均等割」の合計で計算されます。
まず所得割ですが、課税所得については、所得税で説明した通りです。しかし、控除される金額が、所得税と若干異なる場合があることに注意してください。また、課税所得にかけられる税率は、納める自治体によって異なりますが、東京23区の場合は10%になります。
一方、均等割も自治体によって金額は異なります。東京23区の場合は一律5,000円になります。
国民年金とは、20歳以上~60歳未満のすべての方が加入する年金保険です。個人事業主は厚生年金に加入できませんので、原則として国民年金のみ加入します。その保険料は、月額16,410円(2019年度)なので、年間では196,080円になります。
国民は健康保険料を支払う必要があり、そのうち個人事業主が支払うのは「国民健康保険料」になります。医療保険は、病院の治療費を一部負担してもらえる制度ですが、どの健康保険に加入していても受けられる負担分はほぼ同じです。
国民健康保険料の計算方法は、下記の通りです。
所得割は、所得(収入から経費と青色申告控除を引いたもの)から基礎控除を差し引いて保険料をかけたものです。
均等割は、世帯の加入人数によって決まります。平等割は世帯ごとに課されます。
また、加入者が40歳以上の場合は、介護保険料も追加で計上されます。
ここでは、30代の東京世田谷区在住の個人事業主(青色申告)が支払う税金等について計算してみます(配偶者は扶養していない場合)。
出典:個人事業主の税金をパッと計算 個人事業主シミュレーション
今回は、年収500万円の個人事業主が、支払う税金等について解説してきました。各種税金と保険料は支払うタイミングも異なるので、個人事業主の方は毎月の資金繰りにも気を付ける必要があります。年収500万円の個人事業主の、年間の大まかな手取り収入について、この記事が参考になれば幸いです。