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税理士会の研修の年間36時間の仕組みを徹底解説

HUPRO 編集部
税理士会の研修の年間36時間の仕組みを徹底解説

税理士会を始めとする各種の専門資格の団体では、会員の知識や技術を高めるために様々な研修制度を提供しています。その中でも、税理士会が主催する研修制度は年間で36時間以上受講することが規定されているのが特徴です。そこで今回は、税理士会による研修制度の仕組みを解説していきます。

税理士会の研修制度の概要

税理士会の研修制度とは、税理士の団体である税理士会(日本税理士会連合会)が主催する研修に関する制度です。税理士として登録すると、税理士会が定めた研修を年間で36時間以上受講する必要があります。

税理士会の研修制度は、税理士についての法律である税理士法の39条の2の規定に基いて実施されています。税理士法の規定を受けて、税理士会の規則には税理士会員は規定の研修を一事業年度に36時間以上受けなければならない旨が定められています。

研修の方法は所定の日時に会場に赴いて受講する方法が主流ですが、インターネットなどを利用して自由な時間に受講できるマルチメディア研修も積極的に実施されています。

税理士会の研修の種類

税理士会による研修の種類としては、会員研修、認定研修、その他の研修、登録時研修などがあります。

会員研修は税理士会が主催する研修で、数百人規模で大きな会場を利用するなど、大掛かりなものが多くなっています。税制改革や控除額の変更など、全ての税理士が周知すべき事柄を中心に研修を実施します。

認定研修は、税理士会の任意団体や税理士会に認められた民間の企業などが実施する研修です。税法や税制度に関する研修だけでなく、業務に役立つような知識やスキルを広く身につけられるのが特徴です。

その他の研修は、大学、公的機関、税務関連学会、民間団体などが実施する研修です。日本弁護士連合会や日本公認会計士協会など、税理士以外の士業団体が実施する研修も含まれます。

登録時研修とは、税理士登録してから1年以内の税理士を対象とする研修で、新人税理士のための初心者講習といった位置づけです。

登録時研修は年に数回程度開催されており、午前中から夕方までの3日間のスケジュールで研修を行います。内容は研修制度の説明から始まり、税理士法、憲法、行政法などの法律科目を中心に講義形式で実施されます。

研修を受けないとどうなる

税理士は年間に36時間の研修を受けることになっていますが、従来は1年間に36時間の受講を達成しなくても特にペナルティはありませんでした。

ところが、令和元年10月からは税理士情報検索サイトにおいて、前年度分の研修の受講時間等が公開されるようになりました。

36時間の受講をしなくても罰金などの罰則が課されるわけではありませんが、研修状況が公開されるようになったのは大きな変化です。

受講義務をきちんと履行しているかを検索者が把握できるので、履行を促すための実質的なペナルティになっています。税理士全体の品質の向上を目指す姿勢が伺えます。

研修を受けないとどうなる

研修状況の公開の仕組み

税理士情報検索サイトは税理士会が運営している税理士検索サービスです。税理士会に登録されている税理士や税理士法人の情報を検索することができます。

税理士や税理士法人を名前、所在地、地域、所属会などで検索することができます。税理士として業務をするには必ず税理士会に登録する必要があるので、事実上日本の全ての税理士が登録されていることになります。

税理士に関する情報は、必ず公開することが義務付けられている公開情報と、公開するかどうかを税理士が任意で選択できる任意公開情報に分かれています。

公開情報は税理士の氏名、登録番号、登録年月日、事務所の名称、事務所の所在地と電話番号、所属税理士会などです。任意公開情報は性別、生年月日、事務所のHPアドレスやメールアドレスなどがあります。

令和元年10月以降は、上記の公開情報について「研修受講義務の履行等に関する情報」の項目が追加されました。年間36時間の研修の実施状況について、前年度の受講した時間や達成率などが公開されます。

税理士会の研修の活用方法

税理士の研修だけではありませんが、多くの研修は受講したらそれで終わりになる場合も少なくありません。特に業務が忙しい場合には、機械的に受講しておしまいということになりがちです。

一方、せっかく年間に36時間の受講が義務となっているので、せっかくの研修の成果を活用できると効果的です。おすすめの方法としては、研修を受けた内容を今度は自分が他者に伝えてみることです。

他人に説明するためには、自分自信が伝える内容についてきちんと理解している必要があります。理解していないものを説明すると自分でも途中でわからなくなりがちですし、質問されても的確に答えることができません。

わかりやすく説明できるようになるまで研修の内容について理解すれば、せっかく履修した研修を深く自分のものにすることができます。

税理士登録について詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

この記事を書いたライター

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