地方税は定められた期限内に納める必要がありますが、そもそも申告自体をしなかった場合には、不申告加算金というペナルティの対象になります。不申告加算金は地方税における徴収金の1種で、損金として計上できないことから特別な仕訳が必要になります。そこで今回は、不申告加算金の概要や仕訳について解説していきます。
不申告加算金とは、定められた期限内にきちんと申告しなかった場合に課される金銭のことです。地方税の納入申告書を期限が切れてから提出した場合などに納付するものです。
不申告加算金については地方税法に定められています。税金は国家が課税して国家に納付する国税と、地方行政府が課税して地方行政府に納付する地方税がありますが、不申告加算金はこのうち地方税に該当します。
地方税には住民税、固定資産税、地方消費税などがありますが、不申告加算金は徴収金にあたります。徴収金は地方税の課税主体が徴収するもので、延滞金や加算金があります。名称からもわかるように、不申告加算金は加算金の1種です。
徴収金のうち延滞金とは、納税者が地方税を期限までに納めない場合に、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて徴収する金銭のことです。期限内に納付している者との公平を保つための制度です。
加算金とは、特定の場合に本来の税目とともに課されることがある徴収金の総称です。加算金の種類としては、不申告加算金のほかに過少申告加算金や重加算金があります。
過少申告加算金とは、地方税の申告書自体は期限までに提出したものの、それについて更正があった場合に、当該更生にかかる不足額のうち一定の割合について加重される徴収金です。
重加算金とは、地方税を納付することを故意に免れようとした場合に、本来の税額とあわせて課される徴収金です。重加算金は申告書を期限までに提出したケース、提出期後に提出したケース、期限後にも提出していないケースに分かれます。
本来が納付すべきものと知りながら故意に免れようとした悪質性から、重加算金は徴収金の中でも本来の税額に対する割合が高くなっているのが特徴です。
不申告加算金を始めとする徴収金は地方税に関する制度ですが、国税にも類似する制度として附帯税があります。附帯税とは、本来納めるべき国税のほかに、様々な理由に基づいて本来の税金と合わせて納付する税金です。
附帯税については国税通則法に規定されています。附帯税の種類には、延滞税、利子税、加算税などがあります。
延滞税とは、法定の期限までに国税が納付されない場合に、納付までの日数に応じて本来の税額とともに課される国税のことです。延滞税は利息としての性質を有しています。
利子税とは、延納または納税申告書の期限の延長が認められた場合に、その期間に応じて附帯して納めることになる国税です。利子税には約定利息としての性質があります。
加算税とは、法定の申告期限までに適正な申告が行われなかった場合に、申告を怠った程度に応じて課されることになる国税です。申告がない、過少申告をした、事実の隠蔽を行ったなどがあります。
不申告加算金を始めとする附帯税は、納付する税の種類としては罰則としての意味合いが強いのが特徴です。そのため、法人税を計算する際には、不申告加算金などの附帯税は損金として計上することはできません。
例えば、不申告加算金として1万円課税されて現金で納付した場合の仕訳としては、借方科目は「租税公課」で金額は10,000、貸方科目は「現金」で金額は10,000です。
仕訳だけでは処理は終わりません。損金として税務上の経費にできないことから、不申告加算金の支払額については法人税の申告書で加算調整する必要があります。
上記の手続きが必要な理由は、税法上で損金に算入できないとされている費用は、費用として処理できないという意味ではなく、法人税の確定申告書で加算する、という処理ができるからです。
計上箇所としては別表4と別表5があります。別表4の5欄と、別表5(2)の「その他、損金不算入のもの」です。それぞれの別表の該当する欄に、租税公課として支出した金額を計上して処理します。
申告書に記載することをうっかり忘れないように、仕訳の際に帳簿に不申告加算金の支払いであることを書いておくと便利です。
個人事業主に不申告加算金が課される場合、地方税の不申告加算金については必要経費にすることが認められていません。そのため、法人税の計算と同様に会計上は損金に算入できないことになります。
事業用の資金から支出して不申告加算金を納めた場合、損金として計上できないことから、資本金、事業主貸勘定、引出金勘定などの科目で仕訳して処理します。
一方、事業資金ではなく事業主の個人の資産から捻出して不申告加算金を納付した場合、会計処理としての仕訳は不要になります。