寄付をすると何となく節税になるということは聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にどのような寄付が節税になるかは具体的に知らない人も多いかもしれません。
そこで今回はNPO法人への寄付は寄附金控除の対象となるかについて解説します。
NPO(Nonprofit Organization)法人とは、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与したものを言います。特定非営利活動とは、政府が定める20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数の人の利益に貢献する行動を言います。
今回の寄附金控除の話の中では、NPO法人にあたるかどうかについては皆さんが考える必要はなく、単純に法人の名前が「NPO法人」とついていれば問題はありません。
このNPO法人は比較的新しい制度で、平成20年より設立が許可されています。活動内容は非営利のものに限られているわけではありませんが、名称が一般人に受けやすいということや、特定の非営利活動については税制が優遇されている等で普及した法人となっています。
しかし、実際にNPO法人を作ったものの思ったように活動ができなくなってしまい、休眠に近い法人もかなりの数が存在してしまっているのも確かです。
では、NPO法人に対して寄付をすればすべて寄附金控除の対象となるかというとそうではありません。実は、「認定NPO法人」に寄付をしなければなりません。
この認定NPO法人というのは、設立後1年を超える期間を経過しており、認定申請書等を所轄庁に提出して、実態確認等を経て一定の基準を満たすことで、認定・特例認定が受けられます(特例認定は5年以内に設立した法人で、一定の審査が軽減されて認定された法人を言います)
これらの認定NPO法人、特例認定NPO法人に寄付をすると、一定の税制優遇措置がされることとなります。
なお、認定NPO法人は、以下の要件を満たしたうえで特定の欠格事由に該当しない法人を言います。
・パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(特例認定 NPO法人を除く)。
・事業活動において、共益的な活動の占める割合が 50%未満であること。
・運営組織及び経理が適切であること。
・事業活動の内容が適正であること。
・情報公開を適切に行っていること。
・事業報告書等を所轄庁に提出していること。
・法令違反、不正の行為、公益に反する事実等がないこと。
・設立の日から1年を超える期間が経過していること。
個人が認定NPO法人等に対して、特定非営利活動に係る事業に関連する寄付を行った場合には特定寄附金に該当し、寄附金控除(所得控除)または税額控除のいずれか有利な方を選択適用することができます。また、住民税についても寄附金税額控除が適用されることとなります。
個人でなくとも、法人が認定NPO法人に同様の寄付をした場合には、一般寄付金の損金算入限度額とは別に特定公益増進法人に対する寄付金の額を合わせて特別損金算入制度額の範囲内で損金算入が認められることとなります。
では、寄附金控除や税額控除の計算式はどのようになっているのでしょうか。
寄附金控除(所得控除)は次の計算式によって計算されます。
寄附金控除(所得控除)や寄附金特別控除(税額控除)を受けるためには、それぞれに関する事項を記載した確定申告書を提出する必要があります。
また、申告書に寄付した法人から交付される寄附金の受領書又は電磁的記録印刷書面(内容等が記録された二次元コードがついているもの)を添付するか、提出の際に提示をする必要があります。
なお、認定の有効期間内に支出した寄附金のみが対象となるため、認定されていない期間や認定の有効期限が切れている時期に支出をしたとしても控除は受けられませんので十分に注意する必要があります。
法人が国や地方公共団体等へ寄付をした場合はその全額が損金になりますが、それ以外の寄附金は一定の限度額まで損金算入できます。計算式は以下の通りで、特定公益増進法人に対する寄附金に含めた金額でいずれか少ない金額を適用します。
なお、特定公益増進法人に対する寄附金のうち損金に算入されなかった金額は、一般の寄附金の額に含めます。
NPO法人のうち、認定NPO法人に対する寄付のみが寄附金控除または税額控除の対象となります。個人と法人では取り扱いが異なるので、どちらで払うか迷っている場合は、より有利になる方で寄付をすることも考えてみてはいかがでしょうか。