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税理士試験合格者の平均年齢は何歳?

HUPRO 編集部
税理士試験合格者の平均年齢は何歳?

税理士としてキャリアを積むには年齢が重要だとお考えではありませんか?中には、税理士に興味はあるけれども自分の年齢が理由で挑戦しにくいと思っている方もいらっしゃるでしょう。

そこで、この記事では、税理士業界全体の高齢化の現状や、税理士試験合格者の平均年齢、現役で活躍する税理士の年齢層分布などを紹介します。一般的に転職市場では需要がないと考えられる40歳代の人でも、税理士業界であればまだまだスタートラインに立てる年齢層です。どうぞこの記事を参考にして、税理士としてのキャリアに挑戦してください!

税理士試験合格者の平均年齢

令和5年度の試験結果からだけでも明らかなように、受験者数も合格者数も、41歳以上の数が圧倒的に多いという結果が見てとれます。一部科目合格者数は25歳以下に劣る部分はありますが、それでもやはり41歳以上の合格者数の多さは特徴的と言えるでしょう。
したがって、上述のように、税理士試験の難易度がそもそも高いことから容易に合格できないのは仕方ないこととしても、41歳以上でもまだまだチャレンジする価値がある資格と言えるでしょう。

税理士の平均年齢は60歳

現在の税理士業界の年齢層分布は以下の通りです。

20歳代:0.6%(187人)
30歳代:10.3%(3,358人)
40歳代:17.1%(5,599人)
50歳代:17.8%(5,817人)
60歳代:30.1%(9,868人)
70歳代:13.3%(4,343人)
80歳代:10.4%(3,421人) 出典:第6回税理士実態調査報告書|日本税理士会連合会HP(2015年3月27日実施)

50歳代、40歳代と年齢層が若くなるにつれて税理士数は減っていき、20歳代の税理士となると全体の1パーセントにも満たない人数しかいません。そして、この年齢分布から明らかなように、税理士として仕事をしている中心の年齢層は60歳代がメインです。60歳と言えば、普通の一般事業会社であればそろそろ定年を迎えるような年齢層のはずです。にもかかわらず、税理士業界では、60歳代の人たちが業界を主に支えているという実情です。

このことから分かるように、60歳で定年退職となっている日本で、ここまで働ける税理士は魅力的です。40代以上の税理士試験5科目到達者の割合は約45%となっているので、何歳からでも目指すことが可能になっています。

平均年齢が高い理由

税理士の平均年齢が高い理由1.何歳になっても需要がある

税理士業界の平均年齢が高い理由として、専門職である税理士には定年後も資格が有効だということです。一般事業会社のように年齢があればある段階で仕事を離れることにはなりますが、税理士資格は一生涯持ち続けることができるために、現役で働けるうちは働き続けようという指向が強くなります。

税理士の平均年齢が高い理由2.獲得した顧客との付き合いが継続する

税理士業界の平均年齢が高い理由として、一度獲得した顧客との付き合いが長期化することが挙げられます。

もちろん、税理士として開業する以上、基本的には営業活動を行って新規顧客を獲得して事務所の収益を上げる努力は怠ってはいけません。ただ税理士の場合は、一度獲得した顧客クライアントとの付き合いは、数年あるいは数十年継続するのが一般的です。すると、事務所の経営を維持できるだけの集客を達成できれば、あとは無理に新規顧客を募る必要なしで仕事を続けることができます。

例えば、弁護士や司法書士、行政書士などと比較すると顧客の継続性に関する違いは明確です。弁護士や司法書士などが仕事を受ける場合、あくまでも一つの事件に関する受任をするに過ぎません。法律問題はあくまでも一過性のものに過ぎないからです。しかし、税理士の担当する税務は、人々が社会で仕事をする以上いつまでも需要が発生するものです。同じ専門家でも、このように顧客との関係性において大きな違いが生じます。

したがって、税理士業界に定年制度がないこともあいまって、60歳代、70歳代、80歳代になっても顧客に困らずに仕事を続けることができます。

税理士の平均年齢が高い理由3.税務署OB税理士の存在

税理士の平均年齢が高い理由として、税務署OB税理士の存在が挙げられます。実は、一定の条件を充たす税務署職員は、税理士試験を受験せずに税理士登録をすることができます。このように、税務署OB税理士とは、税務署を退職した職員で税理士試験を受けずに税理士登録をした人のことを指します。

税理士試験に合格する以外にも税理士になる方法がある

税理士になる方法は一般的には税理士試験に合格することです。しかし実はそれ以外にも税理士になる方法はあるのです。

以下が税理士になる方法です。

①税理士試験(国家試験)に合格する方法
②大学院で定められた過程を修了し、国家試験の一部を免除してもらって登録する方法
③弁護士や公認会計士の資格を有する人が、所定の手続きを経て登録する方法
④税務署などの官公署を一定期間勤務したのち、国家試験を免除してもらって登録する方法

税務署に勤続するだけで税理士になれる

上述の④が税務署OB税理士を指しています。税務署などに一定期間勤務すると、税理士試験を受けなくても税理士会に登録さえすれば税理士として仕事をすることができるとされています。そして、実際にこの制度を活用して税務署リタイア後に税理士業を営む人が多いのです。税理士会の会報で紹介される新人税理士のほとんどが60歳代だったという話はよくあることです。

ここに言う「一定期間」というのは、23年間以上国税関係の業務に従事することです。したがって、新卒で税務署に入所した場合でも、40代の半ばには税理士資格取得の条件が整います。

税務署で長期間職務をこなした人は、税務の専門スキルを充分に兼ね備えていると考えられます。したがって、60歳代になって税務署を退職した後でも、いろいろなコネクションを活用できるので税理士として働くことはそう難しいことではありません。例えば20歳代の新米税理士が一念発起して独立するのとは事情が異なります。

このような事情から、税理士の平均年齢が底上げされることになります。

税理士は何歳までなら目指せる?

税理士は何歳からでも目指せる職業です。実際に国税庁で発表されている令和5年度の税理士試験の結果では、合格者の最も多い割合は、45%で40歳以上でした。大体半分が40歳以上で合格することを考えると、税理士は何歳からでもなれて、何歳からでも目指せる職業だと考えられます。

また、税理士として登録する場合、実務経験を積んでいる必要があります。その時に、会計事務所や税理士事務所などにお世話になりますが、そのまま税理士として採用していただけるところが多いので、就職難になることも少ないです。ただし、やはり年齢が上がるごとにマネジメント能力などの資格とは別のスキルが求められるようになるので、挑戦する方は早めに行動しましょう。

若手税理士の需要は高い!

上記でも挙げた通り5科目全部合格している20代、30代前半は少ないです。そのため税理士試験に合格したばかりでも、将来を見込まれて、仕事を任される機会が多いです。これから積極的にチャレンジすればどんどんキャリアアップできる可能性があります。

また、現在は税理士事務所によって、福利厚生を民間企業並みに良くしたり、給与の底上げを図ったり、あるいは科目合格者でも積極的に採用することで、若手の取り込みを図ろうと努力しているところが増えてきています。税理士に興味のある方は、是非果敢に挑戦してください。

税理士になるまでの流れ

税理士になるためには大まかに2つのプロセスを踏まなければなりません。

税理士試験合格

税理士試験に合格するには、11科目ある税理士試験科目のうち、5科目を取得する必要があります。ただし5つであればどの科目を取っても良いわけではなく、下記のように定められています。
試験は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)を取得する必要があります。

なお、税理士試験は科目合格制をとっています。つまり、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。

実務経験

税理士試験の合格と併せて2年間の実務経験をしなければなりません。実務経験は下記のように定められています。
<税理士登録に必要な実務経験>
簿記の原則に従って会計帳簿を記録し、その会計記録に基づいて決算を行い、財務諸表等を作成する過程において簿記会計に関する知識を必要とする事務
①簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務
②仕訳帳等から各勘定への転記事務
③元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
④決算手続きに関する事務
⑤財務諸表の作成に関する事務
⑥帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務

公認会計士を持っていたり、会計大学院を卒業していたら、科目免除されるケースなどはありますが、基本的にこの2つの条件を満たして、税理士としての登録が可能となっています。

税理士の転職先

税理士は「世界4大会計事務所(Big4)」「大手・中堅の税理士法人」「個人の会計事務所」「一般企業・金融機関」が就職先として主に占めています。
大手・中堅の税理士法人や会計事務所では、通常の記帳代行や決算業務を含む幅広い税務案件を任されます。最近では事業継承や規模の大きい相続案件、国際税務の分野などが増加しています。
個人の会計事務所では、特定の分野に特化して専門性を高め、難易度の高い案件を請け負って業務を行っています。大手・中堅企業に比べて、ある税務分野では突出した人材となれます。
一般企業・金融機関でも税理士は活躍します。また、コンサルや金融機関で、M&Aや事業継承、融資などアドバイザリー業務で活躍できます。経営状況を財務分析や経理から分析し、税務面からサポートし、会社の信頼や評価を高めることにも繋がります。

転職できる年齢

40歳を超えてからの転職は難しいのではないかと不安な方もいるでしょう。確かに、一般企業の転職では40歳などを超えてくると厳しくなる現実があります。しかし税理士は、どの年齢でも転職することが可能です。専門性が高く、独占業務があるためいくつになってもチャンスがあります。

転職できる可能性はどの年齢にもありますが、年齢によって求められるものがかわるのも事実です。若い20代30代は経験が少なくても受け入れてくれる会社は多いです。業界の平均年齢が高いことから、まだまだ若手扱いを受けることができます。また、40代50代はある程度以上の経験やマネジメント能力が求められます。転職後すぐに戦力となれる人材を必要としている会社が多々あり、転職することで年収をアップさせることができます。会計事務所の経験が乏しくても、これまで会社で経験してきたことが必ず活きてきます。

税理士は税理士と認められる条件として2年間の実務経験が必要です。税理士を目指している方は、一度転職エージェントヒュープロから、職場を変えて実戦経験を積みながら、税理士試験に望むことをオススメします。
また、現在税理士として就職・転職を考えている方もいるでしょう。転職エージェント「ヒュープロは、業界に特化しているため求人を多く取り扱っています。自分にあった条件の職場が見つかるので、ぜひ探してみてください。

この記事を書いたライター

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カテゴリ:転職・業界動向

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