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財務諸表論の勉強方法について~理論編~

HUPRO 編集部
財務諸表論の勉強方法について~理論編~

税理士試験の必須科目である「財務諸表論」は、これから税理士試験を受けようという人が、まず取り掛かる登竜門ともいえる科目です。財務諸表論は、同じく必須科目である簿記論とは異なり、計算問題だけでなく理論問題が50%の割合となっています。本記事では、財務諸表論の理論について、どのように勉強すれば良いか解説します。

財務諸表論とは

財務諸表論は、簿記論と同様に、科目免除の場合を除いて税理士試験においての必須科目です。全受験者が合格する必要がありますので、財務諸表論の勉強から始める方も多いでしょう。

税理士試験の財務諸表論では、計算と理論が50点ずつ合計100点の配点で出題され、その出題範囲は、会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則です。

財務諸表論の合格率は、ここ数年で変動があるものの、だいたい15%から30%の間で、平均合格率は18%前後となっています。
税理士試験全体の合格率は10%前後と言われているので、その中において、財務諸表論は比較的合格率が高い試験といえるでしょう。

税理士試験の理論問題の特徴とは

簿記論とは違い、理論問題では論述式の問題があるため、単に計算ができるだけでなく、会計に関する考え方を理解するとともに、限られた文字数でアウトプットする訓練が重要です。

財務諸表論の勉強法(1)理論はまず暗記しよう

理論は理解することが大事と言われていますが、財務諸表論については税理士試験を始めて最初に勉強する科目であることが多いため、まず使われている語句などの理解をするのが大変であるかと思います。

おすすめは、まず暗記をすることです。最初のうちはよくわからないかもしれませんが、ひたすらキーワードの暗記を進めましょう。
もちろんただ丸暗記を勧めているわけではありません。理論の暗記をしながら頻出される語句について、理解を少しずつ進めていくというイメージでしょうか。

なぜ暗記が必要かと言うと、財務諸表論には記述問題があるからです。
理論の内容をいくら理解していたとしても、記述に必要な語句はその通りに書かなければなりません。

自分の言葉で置き換えたり、要約して書いたりするのは減点対象なのです。そのため、理論は一言一句正確に覚えることが重要だといえます。

語句の意味が解らないまま、暗記するという作業はきついかもしれませんが、ある程度勉強が進むと全体像が見えてきて、理論が理解できるようになります

財務諸表論の勉強法(2)暗記は音読で

財務諸表論の理論を暗記しよう!という際に、
「じゃあどうやって暗記するの?」と思われるかもしれません。
暗記は、基本的には読んで覚えるのがおすすめです。
もちろん、一度読んだだけでは暗記できませんので何度もテキストを見直す必要があります。
暗記できていなければ先に進まないというわけではなく、テキストを何週も繰り返すことが重要です 。
なお、この「読む」というのは黙読ではなく、音読でするのがおすすめ。読書のようにただ本を読んでしまうと読み飛ばしてしまいます。

つまり、理解するかどうかは置いておいて、まずその言葉を頭に入れるために、声に出してテキストを読み進めるのです。

通勤通学の時間帯に、電車の中などでテキストを読むときは声が出せませんので、小声で行うか、頭の中で言葉を出しながら読み進めるようにしましょう。

そして理論を覚えたことが定着しているかどうかということを確認するためには、演習問題などで「書く」作業が必要になります。
確実に暗記したと思っていても「読めるけど書けない字」などの漏れを、書くことによって潰していきましょう。

財務諸表論の勉強法(3)録音勉強法もおすすめ

暗記には音読がおすすめとお伝えしましたが、もう一つおすすめなのが自分で読み上げた文章を録音し、それを聞く勉強法です。

今ではスマートフォンなどで録音が簡単にできますので、暗記したいテキスト項目を読み上げてそれを録音し、通勤通学の時間や、ジョギング、犬の散歩をしている時間、病院などの待ち時間、夜寝る前など、手が塞がっているときやテキストを広げられない場所など、どこでもできる勉強法です。

テキストを見ながら行うとより効果的です。

財務諸表論の勉強法(4)すべて覚えるつもりで取り組む

財務諸表論の理論は、原則として全て覚えましょう。というのも、理論は言い回し一つで意味が違ってしまうことがあるからです。

また、個別理論の問題であれば、その該当箇所さえ覚えていれば回答できますが、近年は、複数の理論を覚えていないと解答できないような問題が、多く出題されるようになっています。こうした問題にあたってしまうと、ポイントで覚えてしまっていた場合、そもそも何を書けばよいかわからないということになってしまいます。

ボリュームが多いことから、理論を重要度別に分けているテキストなどもあります。しかし、重要度の順に覚えてしまうと、上記のように複数の理論を組み合わせて解答しなければならない問題が出題された時に、必要な理論に全く手を付けていなかったため、意味の通らない回答を作成してしまうことになるのです。採点側からみれば、「この理論は覚えていないのだな」というのが一目瞭然です。

結果的に全て覚えられなかったとしても、基本的には全て覚えるつもりでテキストを何周もしてください。
重要度が仮に低いとされていても、一般原則や貸借対照表。損益計算書などの原則といったような財務諸表の基礎となるべき理論は一語一句覚えるように心がけましょう

まとめ

財務諸表論は、税理士試験の中では易しいと言われている科目です。
勉強法の中には「これだけ勉強すれば合格」といった勉強方法が並んでいますが、逆にここで手抜きをして合格してしまうと、この先の税法の理論でつまずいてしまいます。

勉強の基礎を固めるつもりで、しっかりと全体的に学習を進めていきましょう。

当コラム内では、財務諸表論についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。

この記事を書いたライター

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