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総合課税制度とは?調べてみました

HUPRO 編集部
総合課税制度とは?調べてみました

日本国の税法上、課税制度には分離課税制度と総合課税制度の二種類があります。今回は総合課税制度に関する情報を整理してみました。特定の所得は分離課税または総合課税のどちらかを選択できる場合もあるため、注意してみてください。

総合課税制度とは

総合課税の対象となる所得を全て合算し所得税額を計算する制度のことです。各所得に対して明確な計算式があり、それを合算し総所得を計算し、税額控除を差し引き、残額に税率をかけて最終的な所得税が計算されます。続いて、総合課税制度の対象となっている所得を見ていきましょう。

総合課税制度の対象

総合課税の対象となるのは、下記の8つの所得区分となります。
(1)利子所得
(2)配当所得
(3)不動産所得
(4)事業所得
(5)給与所得
(6)譲渡所得
(7)一時所得
(8)雑所得

(1)利子所得

利子は原則的には一律15.315%の源泉徴収されることで納税が完了する源泉分離課税となりますが、平成28年1月1日以降に支払を受けるべき特定公社債等の利子等は、利子所得として総合課税所得の対象とすることができます。ここで、特定公社債等とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債などの一定の公社債や公社債投資信託などをいいます。あくまでも例外規定ですので、通常のサラリーマンが投資している場合は源泉分離課税を選択するケースが多くなっています。

(2)配当所得

株主や出資者が受け取る配当金や投資信託の収益の分配などは、配当所得に区分されます。配当所得は原則としては総合課税の対象となりますが、上場株式の配当などは申告分離課税を選択することもできます。

(3)不動産所得

土地や建物の貸付、船舶や航空機を貸し付けた際に生じる収入は不動産所得として総合課税制度の対象となります。ワンルームマンションやアパート投資を行っているサラリーマンは、不動産所得を計算しなければなりません。

(4)事業所得

株式の譲渡による事業所得を除き、農業、漁業、サービス業、製造業、棚卸業などの事業から得られる収入は事業所得となります。ただし、不動産に関するものは原則として(3)不動産所得となります。

(5)給与所得

一般的なサラリーマンが得られる給料は全てこの給与所得に分類されます。月々の給与の他に賞与もこの給与所得となり総合課税制度の対象となっています。2,000万円未満の給与所得しかないというサラリーマンは、年末調整で所得税の計算が完了するため確定申告は不要となっています。

(6)譲渡所得

土地、建物、株式を除いた資産を売却した際は譲渡所得に該当します。譲渡所得は資産の所有年数により、短期譲渡所得と長期譲渡所得にさらに分類することができます。

(7)一時所得

労務や役務提供でなく、資産の譲渡による対価性もない収入が一時所得に区分されます。例えば、懸賞金、競馬や競輪で勝った金額、生命保険の一時金、法人から贈与された金品などが該当します。

(8)雑所得

どの所得区分にも該当しないものは雑所得となります。例えば公的年金等が雑所得に該当します。

総合課税制度の対象でない課税制度

上記の8つの所得区分の他にも下記のとおり退職所得と山林所得の2つの所得があります。これらを総合課税制度の対象としてしまうと、多額の課税が発生してしまうため別途所得税が計算される仕組みとなっています。

(9)退職所得

退職所得は通常、退職時に大きな退職金を得ることができます。仮に退職所得が総合課税制度の対象だった場合、退職した年だけ多額の所得税がかかることになり手元に残る金額が少なくなってしまいます。それを防ぐために退職所得に関しては総合課税制度とは別の税率、計算式が容易されています。

(10)山林所得

5年以上かけて育てた山林を売却した場合、山林所得となります。山林を育てるのは通常長期間かかり、その間の収入はゼロです。売却時に一度に総合課税制度で大きく課税されてしまうと不利になってしまうため、総合課税制度とは別の計算方式となっています。

総合課税制度の税率

総合課税制度の対象となる(1)~(8)を合算し総所得を計算し、それぞれの税額控除を差し引いた課税総所得金額に税率をかけて、所得税を計算します。ここで総合課税制度の税率は累進税率を導入しており、課税総所得金額により5%~45%まで税率が異なります。例えば課税総所得金額が300万円であれば税率は10%で済みますが、3,000万であれば税率は40%へ跳ね上がります。

総合課税制度と確定申告について

年収が2,000万円未満の給与所得だけの方は確定申告不要です。一方、年収が1,000万円だとしても雑所得や不動産所得など他の所得がある場合は、総合課税制度による確定申告が必要となります。特に雑所得は20万円以上の所得が発生すれば確定申告する必要がでてきますので注意する必要があります。

この記事を書いたライター

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