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年末調整とは?年末調整の流れを解説!

公認会計士 大国光大
年末調整とは?年末調整の流れを解説!

年末調整は大きな会社ですと何百もの従業員について計算しなければならず、ただでさえ不慣れな従業員が提出してくる書類を扱うため、経理担当者はとても神経を使う仕事となります。そこで、今回は年末調整の計算方法や、その流れについて解説します。

年末調整とは

年末調整とは、役員や従業員に対して毎月給与から差し引いている源泉所得税の1年間の合計額と、その人が1年間に納めるべき所得税額との差額を精算することを言います。
所得税を預かりすぎていた場合は年末に還付し、徴収不足があった場合は追加で預かることが必要となります。
なお、年末調整の対象者についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

《参考記事》
年末調整の対象になる人

年末調整の流れ

年末調整の流れをわかりやすくするために、何月に何をするかを決めておきます。実際は従業員数や従業員が慣れているかどうかで期限を前後させてください。

年末調整の流れは以下のようになります。

年末調整の流れ

年末調整書類の配布・回収・確認

11月中に、給与の支払いを受けている従業員(役員、パートアルバイトを含む)全員に年末調整書類の配布を行います。この時、従業員にわかりやすいようにどんな書類をいつまでに提出してほしいかを簡潔に記載しておくことが必要です。
これを受け、従業員が提出した年末調整書類がもれなく提出されているかをチェックします。必要書類は次の通りです。

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

この申告書は必ず提出が必要です。これが無いと、配偶者控除、扶養控除、障害者控除等各種控除がそもそも受けられませんし、控除を受けない場合も必ず提出してもらう必要があります。
なお、令和元年の年末調整の際に、令和元年分の見直しと、来年から必要となる令和2年分の書類を同時に回収することが一般的となります。

②給与所得者の保険料控除申告書、控除証明書類

生命保険料や地震保険料など、控除を受けられる保険料を従業員が払っている場合、所得控除を受けるために必要な書類となります。生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済の控除がある場合に必要となります。

この時、保険会社等から送られてくる保険料控除の書類が添付されているかをチェックします。また、従業員が控除金額を書く際に間違えやすいのは、証明日時点での払い込み金額を書いてしまっていることです。実際は年末までに払い込まれるだろう金額が控除証明書に記載されている為、その金額が転記されているかを再度チェックする必要があります。
また、iDeCoなどの確定拠出年金がある場合は提出が漏れてしまって年末調整が受けられない可能性があるため、控除の可能性がある場合は必ず提出してもらうようにしましょう。

②給与所得者の保険料控除申告書、控除証明書類

③給与所得者の配偶者控除等申告書

配偶者控除や配偶者特別控除を受けるために必要な申告書となります。配偶者の年収などを記載することとなるため、おおよその年収を書いてしまうと後で税務署からお尋ねがきて修正となることがありますので、正確な年収を書いてもらうようにしましょう

この時期では配偶者も源泉徴収票を入手していないため、給与明細などから実際の金額を書いてもらうことが必要となります。
また、配偶者の年収が低くても、従業員の年収が一定以上となってしまうと配偶者控除や配偶者特別控除が受けられません。

④住宅借入金等特別控除申告書

いわゆる住宅ローン控除を受ける場合は、前年以前に自分で確定申告をした上で、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、銀行から発行される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の提出が必要となります。

⑤途中入社の人

途中入社の人は、前職での源泉徴収票が必要となります。大会社であれば何も言わなくとももらえるのですが、中小企業の場合は言わないともらえなかったりする会社も未だにありますので、バタバタしないように入社時に必要書類の一つとして案内しておくことがスムーズです。

年末調整計算

資料が揃ったらいよいよ年末調整計算となります。年末調整は、源泉徴収簿を基に過去どれだけ源泉を行っていたかを確認しながら行われます。源泉徴収簿は必ず支払った給与と一致していることが重要ですので、ソフトを使って計算している場合は良いですが、手書で作成している場合等は年末調整が始まるまでに再確認しておきましょう。

ここで計算された源泉徴収税額を基に、源泉徴収票を作成し、12月に支払う給与と同時に本人に渡しますが、締め日の関係や提出の遅れなどで年をまたいでしまう場合は1月に渡すこととなるでしょう。

法定調書の作成・納税

本人以外にも、源泉徴収票や関連書類は税務署、市町村にも提出となります。
まず、源泉徴収票以外にも、1月31日までに弁護士等の士業やデザイナー等から徴収した源泉所得税をまとめた支払調書を税務署へ法定調書合計表と共に提出します。法定調書合計表は、給与の源泉税、退職所得の源泉税、報酬の源泉税、不動産関連の支払調書を集約したものとなります。

この他、市町村に給与支払報告書について、個人別明細事業所全体のものを提出する必要があります。
これらに加えて、1月10日(納期の特例適用者は20日)までに年末調整後の源泉税についてしっかりと納める必要がありますので、以下のチェックリストを参照して、くれぐれも抜けのないようにしましょう。。

【提出が必要な4つの法定調書リスト】
①支払調書
②法定調書合計表
③源泉徴収票
④給与支払国書

まとめ

年末調整は様々な書類を従業員から預からなければなりませんので、できるだけ早い案内と早い回収が必要となります。しかし、あまりにも早すぎると書類がそろわない可能性があるため、11月中に案内と回収を確実に行えるようにアナウンスしておくと良いでしょう。
従業員に源泉徴収票を渡すだけではなく、税務署や市町村への各書類の提出と、源泉所得税の納税もお忘れなく!

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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