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年末調整しないとどうなる?

HUPRO 編集部
年末調整しないとどうなる?

給与から毎月天引きされている所得税の源泉徴収を、 その年の総収入が確定する12月給与において、正しい税額で計算しなおし、差額を還付又は徴収する年末調整。年末調整は雇用主の義務とされています。しかし、年末調整がされなかった場合どうしたらよいのでしょうか?本記事にて詳しく説明します。

年末調整の対象になる人

年末調整は、役員又は使用人に対する毎月の給与等から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額との差額を精算するものです。

12月に行う年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者も含みます。)です。
ただし、次の二つのいずれかに当てはまる人は除かれます。

(1) 1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人
(2) 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

出典: 国税庁WEBサイト タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人

また、「年末調整」と言うと、その字の通り年末である12月給与で行うものと思われがちですが、年の中途で行う年末調整もあります。

(1) 海外支店等に転勤したことにより非居住者となった人
(2) 死亡によって退職した人
(3) 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます。)
(4) 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
(5) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。)

出典: 国税庁WEBサイト タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人

これらの条件に当てはまる人について、会社などは年末調整をする義務があります
そして年末調整の対象となる人は、
「給与所得者の扶養控除等申告書」などの必要書類を年末調整を行う日までに提出しなくてはなりません。

年末調整が雇用主に義務付けられないケースもある

年末調整の時には通常3種類の用紙を提出する必要があります。

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
・「給与所得者の保険料控除申告書」
・「給与所得者の配偶者控除等申告書」

特に一番上の給与所得者の扶養控除等申告書については、提出が必須とされており、これを提出していない場合は年末調整の対象外となります。

他にも、前項で説明している通り、以下の人も年末調整の対象外です。

・本年中の主たる給与収入総額が2,000万円超の方
・災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

さらに、2か所以上の給与の支払いを受けている人で、他の給与支払者に「扶養控除等申告書」を提出している方や、年の途中の退職者で、年末調整の対象となる人、継続して同一の雇用主に雇用されない日雇い労働者なども年末調整の対象とはなりません。

こうした方たちはそれぞれが確定申告を行う必要があります。

確定申告を行う場合でも対象者は年末調整が必須

最初は年末調整で一年間の納税は終了しますが、年末調整されない医療費控除や、ふるさと納税などの寄付金控除または住宅ローン減税の初年度の控除など、確定申告をすることがあらかじめ分かっている人はどうでしょうか。

確定申告をすることが分かっているから年末調整は省略したい

そういうわけにはいきません。 年末調整に用いる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」はそもそもの提出が義務となっており、内容によって次年度の源泉徴収の額も決まります。単身者で扶養対象がいない場合であっても、確定申告する場合であっても、必ず提出が必要です。

なお提出しなかった場合については、年末調整義務が会社になくなるばかりではなく、翌年の源泉徴収の計算表の取り扱いが乙欄になります(提出した人は甲欄)。提出している人に比べて高額の所得税を毎月源泉徴収されることになるので注意しましょう。

参考:給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)

また会社によっては年末調整が必要であることを認識しながら、その作業が面倒だったり、やり方が分からなかったりという理由で、年末調整を拒否する場合があります。

年末調整は会社の源泉徴収とともに会社の義務であり、その経緯が悪質な場合は「10年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金(併科も可)」という罰則が課せられる場合もあります。

もし、会社が年末調整を行ってくない場合は最寄りの税務署に相談してみてください。

年末調整は12月給与で行われることが多いですが、税額や還付金の計算に加え、源泉徴収票の提出までを含めた最終期限は翌年の1月末日となっています。実施済みの年末調整に誤りがあった場合や、新たに扶養家族が加わって変更が生じた場合も、1月31日までならば源泉徴収票の再提出で修正が可能です。

年末調整しなかった場合は確定申告を

年末調整は1年の税額を確定させる作業のため、もし年末調整しなかった場合は、確定申告を行い自身の所得と税額を確定させる必要があります。

矛盾しているようですが、会社が年末調整をすると言っているのにそれを「確定申告するから」と忌避することはできません。
しかし、会社が年末調整をしないと言っている場合は、申し出により税務署による指導を行います。それでも年末調整してくれない場合は、それぞれ各自で確定申告しなければならないのです。もし、会社が年末調整してくれないからといって、そのままにしておくと「無申告扱い」ということになってしまい、追徴課税がかかります。
年末調整は会社の義務ではありますが、そもそもの納税は国民の義務だからです。

なお、従業員各自が確定申告を行っていたとしても、源泉徴収や年末調整を行わない企業に対してのペナルティ自体は軽減されません。
現在実務レベルが追い付いていない企業については、源泉徴収・年末調整を行うことができるスタッフを新たに雇い入れするなどして対応する必要があります。

担当者は年末調整の実務を事前にしっかりと把握しておこう

年末調整をあらかじめ行わないと表明している悪質な会社もありますが、 年末調整自体の作業が複雑で面倒なため、担当者レベルではわからなくなってしまい、そのままになってしまうということも少なくありません。

年末調整のあらましや実務の基礎については、商工会議所をはじめとした機関でも研修やセミナーを行っています。
年末のあわただしい時期に突入する前に、受講しておくのもおすすめです。

当コラム内では、年末調整についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。

この記事を書いたライター

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