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監査役の責任と出勤日数

HUPRO 編集部
監査役の責任と出勤日数

近年、少子化や日本経済停滞などにより、多くの日本企業は年功賃金や終身雇用といった制度を維持するのが難しくなってきています。同じ企業で長く働き続ける正社員の割合に関しても、特に20代~40代は減少傾向にあるというデータもあります。多様な働き方の近年、新しい働き方を模索する方も多いのではないでしょうか。今回は監査役の責任と出勤日数について解説していきます。

監査役の種類

企業の監査役には、社内監査役と社外監査役があり、それぞれに常勤監査役と非常勤監査役が存在します。社内監査役とは当該企業の役員や従業員であった経歴のある社内出身の監査役をさし、社外監査役とは社外出身の監査役のことをさします。常勤監査役が社内監査役、非常勤監査役が社外監査役である場合が多いようです。

社内監査役は企業情報に周知しているので、効率よく調査や情報収集ができることがメリットですが、客観性に欠けるといったデメリットもあります。そのようなことから社外監査役を置き、客観性をもって第三者的な立場から監査を行うことが必要となるのです。

常勤監査役と非常勤監査役の違い

常勤監査役とは、他に常勤する必要がある職務についておらず、その会社の営業時間中はその会社の監査役としての職務についている監査役のことをいいます。対して、非常勤監査役とは、常勤監査役以外の監査役のことをいいます。非常勤監査役は取締役会や監査役会に出席するために月に1,2回は会社に出社することが多いようです。
なお、常勤監査役と非常勤監査役の権限と責任の範囲に違いはありません。

常勤監査役の「常勤」とはどれくらいの勤務を指すのか

会社法390条3項で、「監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。」と定められており、監査役会設置会社では「常勤監査役」を選任することが必要とされています。しかしどれくらいの勤務をもって「常勤」と判断するかは、法律上どこにも規定がありません。従って第一義的には、当該常勤監査役、そして監査役会が自らの判断で、どれくらいの勤務をもって「常勤」とするかを検討しなくてはなりません。

会社法関連の書籍には、「常勤」とは「他に常勤の仕事がなく、会社の営業時間中は原則としてその会社の監査役の職務に専念する者」というような定義がなされていました。ここでいう「他の常勤の仕事」とは、例えば常勤監査役を2社引き受ける、なども該当しますが、その他自分の会社を経営している方なども当てはまります。最近は士業の方を常勤監査役として選任される例も多く見受けられるため、ご自身の事務所をお持ちの場合で「常勤」を希望される場合などはその実態に注意する必要があります。

監査役の勤務実態

「常勤」は週3日でもいいのか?というような話題が浮上しますが、上記のとおり「常勤」が何かを常識的に考えると、週休2日の会社であれば週5日いるのが常勤監査役ということになります。しかしながら、そもそも監査役は取締役の職務の執行を監督する機関で、会社と委任関係にあるわけですから、その職務を適切に遂行できる限りにおいては、週何日というのはあまり重要ではないように思います。常勤監査役を選任するのが求められているのは監査役会設置会社なので、監査役が常勤を「3日」でよいと考えるのであればそれでもいいのではないかと思います。ただし、監査役の機能を十分に果たせなかった時に、責任を取らなければならない可能性が高まることは覚悟しておく必要があると思います。

監査役の勤務実態

ただし、前述したように、さすがに「常勤監査役」が他の会社の代表取締役であるというのは無理があるので、このような場合はどちらかを辞任する必要があると考えられます。
「常勤監査役」は出勤日数、やるべき業務、責任が明らかです。一方、「非常勤監査役」は勤務実態を把握しづらいのが一般的です。ですから、非常勤の場合は対税務署に対して状況説明ができるように、日ごろから勤務事実や役員会への出席事実など業務への関与状況を明確にしておきましょう。

常勤監査役の仕事内容と求められる人材・スキルとは

仕事内容

そもそも、常勤監査役の仕事内容はどのような業務があるのでしょうか。具体的には下記のような業務が想定されます。

・取締役会、監査役会、株主総会への出席
・監査方針・計画の策定、監査の実施
・取締役への助言
・監査報告書の作成・報告
・会計監査人との連携 など

求められる人材・スキル

では、具体的に「常勤監査役」として業務に取り組む際に注意すべき点は何があるのでしょうか。

常勤監査役の業務は、当然監査がメインになりますが、同じ監査でも内部監査とは違い、取締役会に参加し、社長の部下としてではなく、独立した立場で業務が適法に行われているか、経営判断の原則に則って重要事項が意思決定されているか等を監視・監査するのがその役割とされています。

その為には、広い知識と経験はもちろんのこと、客観的にその矛盾点等について代表取締役をはじめとした経営陣に意見できる力が何よりも大切です。また、厳しく指摘するだけではなく、コンサルタントであるという立場で助言できるかどうかも重要ではないかと思います。

常勤監査役の年収相場

常勤監査役の年収相場としては、週5勤務とすると600万円前後になることが多い印象ですが、時期的な勤務日数や勤務時間の変動により300万円代となることも多々あります。
監査役への報酬は、監査を受ける企業から支払われますが、監査役への報酬の支払いは義務ではありません。しかし、監査役が職責を果たし、監査役としての資質も十分であれば、それに見合った報酬が支払われることは当然でしょう。
企業としては、監査役となる人物像をしっかりと把握し、適当な人物であるかの判断、見極めが重要となるのではないかと思います。

この記事を書いたライター

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