企業の財務の統括を行うCFO(最高財務責任者)は、企業経営を左右する重要な役割を担うため、それだけ高年収が期待できます。今回はそんな気になるCFOの年収について、ベンチャー企業や上場企業、外資企業など企業規模ごとに解説していきます。
CFOとは、「chief financial officer(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)」の略で、日本では最高財務責任者と訳されます。
具体的には、財務計画、財務リスクの管理、記録管理、財務報告など、会社の財務を管理する主な責任を負う企業の経営陣の一つを言います。
CFOというポジションが日本で普及してきているのは比較的直近ですが、元々の日本でのCFOに近い立ち位置のポジションは管理本部長や財務経理本部長などを指すことが多いです。
CFOの仕事内容などについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご参考にしてみてください。
〈参考記事〉
CFOの報酬は、以下の二つに分類され、両方を組み合わせて支給されます。
インセンティブ型の業績連動報酬について、多くの企業が業績に応じて企業の株式を受け取ることができるストックオプションを導入しています。そうすることで、企業の貢献度を反映しやすく、CFOのモチベーション向上も期待することができます。
ここからは、気になるCFOの年収相場を見ていきましょう。
CFOの年収は企業の規模ごとに大きく異なってきます。
今回は、ベンチャー企業と中小企業、上場企業と大企業、外資系企業の5つに分けて解説していきます。
ベンチャー企業 | 1,000万円〜2,000万円 |
中小企業 | 1,800万円〜2,500万円 |
上場企業 | 2,000万円〜3,000万円 |
大企業 | 2,500万円〜5,000万円 |
外資系企業 | 2,500万円〜5,000万円 |
一定の規模になっていて、既に損益が黒字になっていたり、IPOを控えていたりするベンチャー企業でCFOとして入社する場合の年収は1,000万円〜2,000万円が多いです。
なかでも、利益が出ており、かなり取締役に報酬を出せている会社では、2,000万円半ばぐらいまでの報酬を出しているケースもあります。
ただ、さすがにこの水準感を超えて報酬が出されることは、ベンチャーだとほぼ無いです。そのため、さらなる報酬を求める場合、ベンチャー企業で取締役レベルになれば、ストック・オプションを貰えるケースが一般的なので、会社をIPOさせて、そのストック・オプションで大きく収入を得るというアプローチになるかと思います。ただ一方で、ベンチャー企業がIPOを成功させるのはかなりハードルが高く、上手くいかずに報酬に反映されないケースがあることも少なくありません。
〈参考記事〉
中小企業のCFOの年収は、1,800万円〜2,500万円が相場といわれています。
ただ、日本には多数の中小企業が存在しており、会社によってポストや求める人材の質が異なるため、年収の幅はもっと広い可能性があります。
大企業のCFOと比較すると、年収は低いものの業務量はそれほど多くないケースもあるため、ワークライフバランスを実現しやすい点は魅力といえるでしょう。
上場企業の中でも、近年はグローバル展開をしている会社を中心にCFOのポジションが設けられていることが増えています。年収相場は約2,000万円〜3,000万円といわれています。
こうしたグローバル展開している上場企業のCFOの特徴としては、内部昇格でCFOになる場合が多いという点が挙げられます。そのため、新卒時から長く勤めたうえで、財務部や経営企画部などでCFOの実務経験を積んでいる必要があります。転職で就任するためには、同規模の会社でのCFOとしての実務経験が求められるでしょう。
大企業のCFOの年収は、約2,500万円〜5,000万円が相場といわれています。
年収幅は広いものの、伝統が長い老舗企業の場合、M&Aなどで革新的な成長を見込まない場合には、最低ラインの2,500万円前後であると予想されます。
外資系企業のCFOの年収は、約2,500万円〜5,000万円が相場といわれています。
特に外資系企業については、CEOのパートナーとしてファイナンス面から会社を支える組織のNo.2という重要な位置づけのため、国内市場よりも高額な年収が提示される傾向があります。また、本社から高い目標が設定されることも多いですが、成果主義が浸透しているため成果を上げた際には多額の報酬を得ることが可能です。
ここでは、上記の企業規模ごとの年収から見る、CFOの年収の特徴について以下3点をご紹介します。
上記からもわかるように、CFOの年収は企業規模が大きくなるほど高くなります。その理由としては、会社が大きいほど担当する案件の規模や重要度、責任範囲も広く、それに応じた報酬が支払われるためです。
また、一般的に業界が成長しているほどCFOの需要も高まるため、近年では成長が著しい半導体やゲームなどのエンタメ業界ではより高年収を提示される傾向があります。
CFOの年収の中でも、ストックオプションは重要なポイントとなります。上述の通り、近年ではストックオプションを導入する企業が増えており、CFOのモチベーションを高める効果が期待できます。
また、CFOの年収は企業規模や成長度合いによってばらつきがでるため、そうした報酬のばらつきを軽減する目的としても、ストックオプションが選ばれています。
さらに、ベンチャー企業においてストックオプションが導入された場合、今後の企業成長により将来的には年収に換算できない価値も報酬として得られる可能性もあります。ストックオプションも含めて考えてみれば、一概にベンチャー企業の年収が低いと言いきれないことを考えても、ストックオプションは重要であるといえるでしょう。
上述の通り、外資系企業のCFOはさらに高額の年収を期待できます。日系企業に比べて、資金運用や投資判断などのファイナンス面が重視されているため、それを取り仕切るCFOのポジション自体が重要視されているためです。ただ、年収が高い分、業務上の責任がさらに大きくなるため、スキルや経験だけでなく業務目標に耐えうる忍耐力も求められるでしょう。
では、実際にCFOとして働く人の年収はいくらなのでしょうか?ここでは、日本で有名なCFO3名の年収や経歴などをご紹介します。
NECの森田隆之氏の2023年の報酬は1億4,900万円でした。
1983年にNECへ入社後、部長や執行役員などの様々な役職を経て、2018年にはCFOに就任、2021年にはCEOに就任しました。
あおぞら銀行の芥川知美氏の年収は、約1億円といわれています。
大学卒業後に入社し、財務部長やCFO副担当を経て、現在は執行役員として活躍しています。社内で経験を積み、順調に昇進を進めた人物です。
ソニーの現CEOである吉田憲一郎氏のCFO時代の年収は、約3億円といわれています。
大学卒業後に入社し、ソニーグループで財務を基礎から学び、CFOになってからは赤字改善に努めて、2018年には営業最高益を見込むまで業績を回復させました。
ここでは、CFOとして年収を上げるために必要な取り組みについて見ていきましょう。
CFOに必要なスキルは多岐にわたりますが、財務・経理についての深い知識と経験や、経営者としての視点、またファイナンスの観点から会社のことをわかりやすく伝える力などが主に挙げられます。
定期的に研修やセミナーなどに参加したり、業界の最新情報を学ぶことが有効です。こうしてCFOとしてのスキルを向上させることが、会社の利益向上にもつながるため、年収も上がる可能性があります。
〈参考記事〉
業界内外の人脈を広げることで、CFOとして様々な情報やチャンスを獲得できるでしょう。業界の動向や競合他社の戦略をはじめとした情報を得ながら、自社の魅力や価値をアピールすることで、自社の信頼やブランド力も高めることができます。さらに、人脈を広げることで優秀な人材と出会う可能性も高まるでしょう。
このように、人脈を広げて情報やチャンスを獲得することで、多面的に会社の利益向上に貢献できるでしょう。
早く年収を上げたい場合は、より大きな規模の企業へ転職するのも一つの方法です。上述の通り、CFOの年収は企業の規模により大きく異なるため、大企業や外資系企業に転職することは年収アップへの近道だといえるでしょう。
では、実際にCFOになるためにはどうすればよいのでしょうか?
ここからは、CFOになるための方法を3つご紹介します。
社内の管理部門などから部長や執行責任者などのポジションを経て、CFOへ昇進するケースが挙げられます。長い期間にわたり経験を積みながら、経営幹部として会社経営に携わることだけでなく、もちろん財務会計に関する知識は必須であるため、日々の業務で会計や経営を学ぶ姿勢が重要です。
CFOになるための方法として、企業の社員や証券ファンド、投資家から自身を紹介してもらうリファラル採用も多いです。例えば、大手監査法人の経験者であれば、日ごろの監査業務の中で関わるファンドもあるため、実績を積んでいればそこからリストアップされていく流れなどが挙げられます。
従来は社内で昇進してCFOに就くケースがほとんどでしたが、最近では転職によりCFOポジションを目指せるケースも増えています。ファンドなどとのつながりがない場合でも、専門の転職エージェントを利用することで採用されることがあります。
特に、CFOのような役員階級は一般の求人サイトに掲載されていることが少なく、企業が信頼している転職エージェントに非公開求人として情報が出されているケースがほとんどです。
そのため、転職エージェントを利用することで貴重なCFOの求人を紹介してもらうことができ、さらに専門のアドバイザーによる面接などの選考対策も受けることができるでしょう。
〈参考記事〉
ヒュープロでは、CFOを目指す方への人材紹介サービスを展開しております。
就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。そこで活用すべきなのが人材エージェントです。希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整もエージェントが実施してくれます。また書類添削や面接対策といった選考準備に対しても、専任アドバイザーによるサポートが充実しています。
さらに、業界特化型エージェントにおいては、士業・管理部門バックグランドを持つ人材の転職支援実績を多く有しているため、企業として一定の選考に係るナレッジや企業とのパイプラインを有しており、転職に関するリアルな情報提供が可能です。
業界特化の転職エージェントを利用することで、ライバルと差別化を図ることができ、転職を有利に進めることが可能ですので、ぜひ検討してはいかがでしょうか。
将来に向けたキャリアパス・キャリアプランのご相談や、転職市場のご説明などももちろん可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
株式会社ヒュープロでは、士業・管理部門に特化した転職エージェントサービス「ヒュープロ」を提供しております。
ここでは、ヒュープロで取り扱っているCFOの一部の求人をご紹介します。
・財務・経理業務の管理、取り纏め
子会社決算、予実管理、連結決算対応/各種経営会議体への参加、報告資料作成/経営陣へのレポーティング/グループ各社税務申告対応/決算開示対応(有価証券報告書、決算短信、招集通知の作成等)/決算業務( 月次、四半期、年次財務諸表作成)/内部統制対応/コーポレートファイナンス
・組織マネジメント
・M&A関連
デューデリジェンス対応/各種PMIの推進
・必須業務経験
※以下全てを満たしている方
上場企業での財務・経理実務のご経験(5年以上)/連結決算全般のご経験/有価証券報告書、決算短信、招集通知等の作成業務のご経験/経営陣へのレポーティング作成・報告のご経験/マネジメントのご経験
・歓迎業務経験
M&Aにおけるデューデリジェンス、PMI等に携わったご経験/監査法人等での会計監査のご経験/会計システムに関する知識/決算業務関連する監査法人対応のご経験/IT業界での就業経験
900〜1,400万円
会計監査/内部監査対応/財務分析⇒経営分析/経営提言/開示資料対応/IPO準備業務全般/内部統制
・必須業務経験
決算、開示業務の実務経験/マネジメントのご経験(規模不問)/上場会社企業での経理経験 内部統制・経理・開示をカバーできる方
・歓迎資格
公認会計士/税理士
800〜1,300万円
いかがでしたでしょうか。なかなか年収や報酬の実態は、CFOという肩書一つとってもケースバイケースではありますが、今回の実例が一つの水準として、参考になれば幸いです。
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