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企業内税理士とは?役割や働き方、メリット・デメリットを解説!

HUPRO 編集部
企業内税理士とは?役割や働き方、メリット・デメリットを解説!

一昔前までは税理士というと独立してようやくスタートというくらい独立志向の強い資格でした。しかし現在は様々な働き方が増えた結果、企業内税理士という選択肢も存在します。今回は、そんな企業内税理士とは?企業内税理士になるメリットはあるかを解説します。

企業内税理士とは?

企業内税理士とは、その名の通り企業に所属する税理士となります。税理士というと、「○○税理士事務所」や「××会計事務所」に所属したり自身の事務所を持っていたりするイメージがありますが、企業内税理士という働き方も現在は多く存在します。

企業内税理士は企業にいながら税理士資格を持つ人をいい、資格の性質上経理部等の会計関連の部署に所属することになります。では企業内税理士と税理士ではない経理部員との違いはというと、基本的に行う業務に違いはありません。ただし、財務担当か経理担当か決める際は迷わず経理担当として配属されるでしょう。

というのも、経理担当は日々の仕訳を起こしたり確認したりすることをするほか、決算書の作成や税務申告まで行うことがあるためです。税理士というと、仕訳の基本から決算、申告書作成まで一通りできる人材と認められる為です。

企業内税理士は税理士登録するのか

せっかく企業内税理士であれば名刺にも「税理士 ○○××」と記載しておきたいですよね。しかし、税理士を名乗るには試験に合格するだけではなく、税理士登録をしていなければ名乗ってはいけません。

では、企業内税理士は税理士登録をするものでしょうか。これは会社の方針や登録費用の負担をだれがするかで変わるでしょう。会社がその人を対外的にも税理士として登録しておいた方が得だと考えたり、取締役としていたりする場合には税理士登録させた方が良いと考えるかもしれません。しかし、税理士資格はあくまでもその人の能力を判断するためだけに使い、特に税理士である必要がないのであれば登録費用を払ってまで登録はさせないでしょう。

会社の方針がどうであれば自身がせっかく税理士資格を保有しているため登録したいと考えるのであれば自腹を切ってでも登録してしまう人もいるかもしれません。しかし、税理士の登録形態に「企業内税理士」というものはない為、登録しようとする場合は自宅で開業しているものとみなして行うこととなります。
これらを総合すると、企業内税理士はあくまで税理士試験合格者であって、登録するまでのメリットはほとんどないと感じます。

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企業内税理士の給料や年収、資格手当

税理士の資格を持っていることが、給料面に影響するかはその会社がどのような人事制度を設けているかによります。

企業が資格手当として税理士を掲げている場合があります。税理士保有者に資格手当を付与している企業の場合は経理に力を入れている証拠ですし、一般的に税理士の資格手当は他の資格手当よりも高額になることが多いです。

では資格手当がある企業ではどれくらいの手当になるかというと、実は企業によって雲泥の差があります。数千円の企業もあれば数万円の企業もあります。余談ですが、会計事務所であれば1科目1万円程度を支給するところもあります。これは会計事務所のベースが一般企業よりも低くなる一方資格手当やその他の手当で差をつけることが多い為です。

逆にそのような制度がなければ通常の人事制度に基づいて給料額が決まるので、特に税理士の資格を持っていることに対する給料面でのメリットはないことになります。

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企業内税理士の役割

税理士登録をしている場合

企業は社内に税理士がいない場合、外部の税理士法人や会計事務所と顧問契約を結び業務を委託をすることや、経営上のアドバイスを求めます。
企業内に税理士がいると、顧問契約料を払う必要がなくコスト面でのメリットがあります。
具体的な仕事内容としては、税務書類の作成、税務申告の代行手続、有価証券報告書の作成、年次決算業務などです。それ以外にも他の社員の指導的な役割を求められることもあります。
いずれにしても、仕事の量と責任がそれなりに大きくなるのは確かです。

また、海外事業を展開して連結子会社があり連結決算を行う必要がある場合には、各国の税法に対応しなければいけないため企業内税理士がいるほうがいいといえます。
このように、企業内税理士はその会社の特性や業界、業種の特殊事情を考慮して適切な税務処理を行う実務能力が求められます。したがって、普段から自分の業界に関する知識を勉強する姿勢が大切です。

また会社側からすると外部の税理士より内部関係者である企業内税理士の方が秘密事項をオープンにしやすいのが実情です。したがって、企業内税理士は企業が抱えている問題に対して適切なアドバイスをするコンサルタント的な役割が求められます。

さらに事業承継や合併など企業の大きな転換期となるプロジェクトにかかわる場合もあり、ときには経営者に極めて近い仕事をすることもあります。

税理士登録をしていない場合

税理士として登録をしていなくても、試験に合格しているので税務に関する高度の知識があることが証明されていることに変わりはありません。
そうするとやはりそれなりに責任のある大事な仕事を任されることになります。単なる経理・会計業務だけではなく、資金調達の場合の金融機関との交渉役を任されることもあるでしょう。

ただし、税理士として登録をしていませんから、税務書類の作成、税務申告の代行手続などの税理士業務はできないので注意が必要です。

企業内税理士が重宝される理由

企業内税理士は、経理経験が同じ他者と比較された時、圧倒的に採用される確率が高くなります。なぜなら、税理士資格保有者ということは実務経験以外にも会計や税務に関する知識が相当あると認められるからです。

通常転職市場では過去の経験をもとに採用をするかどうかを決めますが、企業内税理士の場合は過去の経験のみならず、経験したことがない仕事でもある程度こなせることが期待されるため、どのようなポストでも需要があるのです。

また、一般的な仕訳を起票したりチェックしたりすることができる人材は意外といる者ですが、税務申告書まで作成できる人材は探してもそれほど多くないのが実情です。この点税理士資格があるということは当然申告書まで作成できると考えられる為、企業に相当重宝されることとなるでしょう。

企業内税理士が重宝される理由

年代別企業内税理士の需要

20代であれば、税理士試験に合格しているほか会計事務所の勤務経験者が優遇されます。採用する側も20代であればこれから社内でさまざまな経験を積ませ教育するつもりですから、特段の実務経験までは求めません。

30代になると管理部門での経験があると歓迎されます。大手企業の場合、財務会計と同じように管理会計を重視しているからです。また海外事業を展開している場合には英語力が求められます。

40代になると求められるスキルは管理職経験です。採用する側もマネージャーなど組織を統括できる人材を求めているからです。

企業内税理士の将来

元来、日本の企業は税務処理を社内で完結させる企業文化がありませんでした。
税務処理は税理士に全て任せるのが当たり前なのです。
しかし、グローバル化の波は容赦なく企業にも押し寄せており、企業は迅速に対応しなければなりません。
これを外部に委託せず内部で全て処理できればスピード化が可能になります。
そうすると企業内税理士を雇うのは、これからの時代にマッチした方法かもしれません。
企業内税理士が確立されるかどうか、これからの動向が注目されます。

企業内税理士のキャリアはどのようになる?

企業内で勤務する税理士が増えてきたとはいえ、まだまだ数としては少ないのが現状です。しかし、企業内税理士として働き続けることは将来のキャリアが他のスタッフとは少々異なると考えても良いでしょう。

経理担当として働き続けても一部の業務のみを担当していただけでは例えば管理部長や経理担当取締役のように管理全体を任せられるようになるとは限りません。しかし企業内税理士であれば管理も含めた一連の流れを知識として持っていると判断されるため、最初は一経理担当者としての配属だったとしても将来的には管理系の部長やCFO等重要なポジションとなる可能性があります。

もちろん税理士としての能力以外にもグループをまとめる能力やコミュニケーションスキルも重要であるため、資格に固執しすぎることの無いようにしましょう。

企業内税理士のメリット・デメリット

企業内税理士のメリットは以下の通りです。
・収入が安定する
・ワークライフバランスが取りやすい
・資格手当が期待できる
・企業の経営戦略立案に関われる
・企業の税務を直接学べる

企業内税理士のデメリットは以下の通りです。
・業務内容が限定される
・勤務税理士・開業税理士より収入面は期待できない
・税務以外の仕事を任される可能性がある
・転勤や異動の可能性がある

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まとめ

企業内税理士は企業にとってはオールマイティで将来幹部となる人材としてみなすでしょう。企業内税理士自身にも資格手当が付与される可能性があり、将来のキャリアも他の人よりも開けたものとなるに違いありません。

一般企業は会計事務所よりも福利厚生や退職金制度等が充実していることも多い為、一般企業には興味の無かった人でも色々と企業を探してみる価値はあるかもしれません。

この記事を書いたライター

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