経理はどの企業にも欠かせない仕事であるため、認知度が非常に高い職種の一つです。その中で、様々な理由で経理職としての転職を検討したり、他の職種からのキャリアチェンジを目指す方も多くいらっしゃいます。本記事では、そんな経理の転職活動について、オススメの時期や成功のポイント、難易度まで徹底解説します!
経理職の転職活動を検討している方は、まず今の市場の求人動向や転職難易度などについて押さえておきましょう。
ご紹介したように経理はどの企業でも欠かせない業務のため、ニーズの高い状態が続いています。実際、経理・財務の転職市場の求人倍率は1倍を超えているため、転職者よりも求人数の方が多い状態であることが分かります。
リーマンショックやコロナウイルスの影響などといった大きな外的要因が発生しない限りは、2024年についてもこの状況が続くと予測されます。
ニーズは高いものの、必ず誰でも転職可能というわけではありません。特に、業務未経験者の転職は難しいです。転職難易度が高い理由として、主に挙げられるのは以下の通りです。
経理は業務の専門性が高く、他の職種では経理に役立つスキルを習得しづらいという特徴があります。未経験の場合、企業はそれを一から教えなければならず、戦力として働けるほどにキャッチアップするまでに時間がかかってしまいます。
経理職は求職者からの人気が高い職種です。
その理由としては、突発的な業務が発生するケースが少なくワークライフバランスを保ちやすい、汎用的なスキルを身に付けて手に職をつけることができることなどが挙げられます。
社会的ニーズが大きい一方で、各企業単位の募集人数が限られていることも理由の一つです。
経理などバックオフィスを総称して間接部門と呼びますが、その間接部門の従業員数における割合は、一般的に10%程度と言われています。
つまり営業部など売上に関わる直接部門に比べると、必然的に求人数が少ないことになります。経理担当が一人という企業も多く存在しますので、内定を獲得しづらいケースも出てくるわけです。
ですので少しでも有利に転職活動を進めるため、最も成功率の高いタイミングを選ぶのは効果的な手段の一つといえます。
経理職に限らず日本社会全体として、働きやすい環境が整備されているのが、現在の動向といえます。このような環境になった要因として、「働き方改革の拡大」と「コロナウイルスのまん延」があります。
働き方改革とは、2019年から順次施行されている「働き方改革関連法」によって政府が推し進めている施策です。
経理職は。所属する企業の決算月付近の業務量が大きく増えるため、その時期を繁忙期と呼びます。繁忙期について具体的には後述しますが、この繁忙期の経理職は残業時間が60時間を超過したり、平日だけでは業務が終わらず休日出勤をしなければならないことも当たり前でした。
しかし、そのような働き方を是正するための動きである働き方改革が社会全体に広がってきた結果、多くの企業が残業時間の短縮化や休日出勤の廃止を実施するようになりました。
どうしてもリソースが足りない企業が、DXなどによる業務効率化や一部業務のアウトソーシングなどにより、それらを実現できるようになった一因です。
また、働き方改革がかなり普及してきているため、あまりに職場環境が劣悪だとそれが目立ってしまい、企業のブランドイメージが落ちたり、その企業で働きたいという方が減るリスクがあります。働き方をよくする企業が増えているのには、そのようなリスクをなくしたい企業が多いから、という要因もあります。
コロナウイルスは中国で広まったのち、2020年には日本でも広くまん延しました。その影響で、人と人との接触による感染リスクを極力避けるため、職場内や通勤時での感染を防ぐ目的で広まったリモートワークや、通勤のピークタイムを避ける目的で一般的となったフレックス制(時差出勤)を導入する企業が増え、それらの働き方の認知度も高まりました。
2023年以降は「アフターコロナ」と呼ばれるようになり、感染リスクを気にせずに生活を送れるようになってきました。それと同時に、企業もリモートワークから出社に戻したり、フレックス制をなくして定時の出勤とするようになってきました。
しかしその一方で、リモートワークやフレックス制を働き方の選択肢として残す企業も多く存在するのが2024年の動向です。
感染リスクを気にしている方は少ないですが、親の介護や子息の保育園の送迎など、家庭の事情を抱える方にもニーズの高い働き方であるため、そのような企業の人気は高くなっています。
「今後、AI技術の発展によって経理職の仕事がなくなるかもしれない」と言われていることをご存知の方も多いかもしれません。しかし、経理職の仕事の中でAIが代替できると言われているのは、記帳業務だけです。つまり、記帳業務以外のスキルも保有している人は今後の経理業界でも需要が高いということです。
経理職としてのキャリアを築いていきたい方の多くは記帳業務以外もできるようになるはずなので、将来性に不安を抱く必要は無いのです。
先にご紹介した通り、最も成功率の高いタイミングで転職するのがオススメです。具体的に何月に転職するのがよいのか、解説していきます。
当然のことと感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、経理職の求人があればあるほど、転職するベストタイミングといえます。
求人が多くあることのメリットはいくつかありますが、やはり同じ条件で探した時に最もヒットする件数が多いことが大きいでしょう。希望に合った求人で内定を得られる可能性が最も高いからです。
募集している会社が少なければ、限られた選択肢の中から次の会社を選ぶことになります。ここしか選べないからといって何か労働条件を妥協したり、諦めたりする必要が出てしまうかもしれません。そうならないためにも、多くの会社を比較・検討することができるタイミングに転職活動をすることが大切です。
また求人が多く出ていると、他社との差別化のため良い条件の求人が出される確率も上がってきます。今より良い会社へ転職をしたい方は、転職市場が活性化しているタイミングで転職活動を行うようにしましょう。
それでは経理職の転職市場は、どの時期で求人が多く出てくるのでしょうか。ここでは、経理の転職にオススメの時期と避けるべき時期について見ていきましょう。
経理は、季節労働者とも言われています。3月や9月の決算期に膨大な量の仕事をこなさなければならず、この季節に集中して働く必要があるためです。
そのことからもわかるように、会社にとって経理が一番必要となる時期は決算期です。決算を無事乗り越えるため、決算期までに会社は経理部門の人員を充足させておく必要があります。そのため、経理の求人は決算前の入社がギリギリ叶う、決算の2か月前に多く出される傾向にあります。
年度末(3月)決算の2か月前、つまり1~2月にかけて、経理の転職市場は活発な動きを見せます。経理一番の大仕事に向け、人員補充を考える企業が多く出始めるためです。
それに加えて、一般的に12月末は退職者が増える傾向にあります。この時期は、年内に退職をし、新年から次の会社で働こうと考えている人たちが会社から去っていくタイミングだからです。
1~2月と同じ理由により、半期(9月)決算前の7~8月も比較的経理の求人数が増えるタイミングです。
株主総会後の6~7月も、経理の求人が増える傾向にあります。株主総会が終わることで前期が終わったと考える会社が多いため、新年度に向けた求人が活発する時期になります。
また、経理にとっても、部内で次期の繁忙具合や人事マネジメントについて、落ち着いて考える余裕のある時期と言えます。そのため、6~7月も経理の転職において狙い目の時期の一つとなります。
決算期は経理の求人が減少する傾向にあります。その理由は、決算で忙しく採用に割く時間が作れないためです。
決算期の経理は忙しく、採用のための募集要項を確認したり、面接を行ったりする時間を取ることができません。採用の時間を捻出する余裕が決算期の経理にはないため、この時期は他の時期に比べて求人数が少なくなっているのです。今後の経理としての経験をしていく上で、繁忙期の入社は遠回りになりかねないので、上記で紹介した時期に入社することをオススメします。
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経理職の仕事はどの企業でも根幹は共通しているものの、各月で行う業務が変わること、企業の規模や上場フェーズによってもその内容が違うという特徴があります。この2つのポイントから経理の仕事について見ていきましょう。
経理職とひとえに言っても、1年間を通して様々な業務があります。業界未経験の方にとっては、経理とは一体どんな事をするのか未知の世界かもしれません。
基本的には1か月の業務を覚えてしまえば、×12月とルーティーンで業務が進行しますが、ある一定の月にしか発生しない業務もあるのが特徴といえます。
今回は日本の法人の約21%が決算月としている3月決算法人(5月申告)を例にみていきましょう。
※法人の場合、決算月は自由に決定できるため、5月決算法人や12月決算法人といった法人も存在します。また、個人の事務所やクリニックなどは12月決算と決められていますので、その場合は下記のスケジュールを調整して確認してください。
●毎月の基本業務
①現預金管理
②請求書、領収書の作成
③仕入、売上管理
④月次決算
⑤給与計算 など
●各月の業務
4月 | 軽自動車税、固定資産税・都市計画税第1期分の税金納付 |
5月 | ①法人税等、消費税等(課税事業者のみ)の確定申告と納付 ②自動車税の税金納付 ③株主総会の招集 |
6月 | 株主総会の開催 |
7月 | ①源泉所得税の納付(納期特例を受けている場合) ②固定資産税・都市計画税第2期分の税金納付 ③健康保険、厚生年金保険の定時決定 |
8月 | 消費税等の中間申告と納付(一部の企業のみ) |
11月 | 法人税等の中間申告と納付(一部の企業のみ) |
12月 | ①年末調整 ②固定資産税・都市計画税第3期分の税金納付 |
1月 | ①固定資産税の償却資産に関する申告 ②源泉所得税の納付(納期特例を受けている場合) ③法定調書の提出 ④給与支払報告書の提出 ⑤支払調書の作成 |
2月 | ①固定資産税・都市計画税第4期分の税金納付 ②消費税等の中間申告と納付(一定の企業のみ) |
3月 | ①棚卸 ②年次決算 |
3月決算法人の場合は、上記のような年間スケジュールとなります。
申告月である5月・6月あたりや、年次決算に近づく12月・1月あたりには業務が多くありますので、繁忙期となります。一方、9月・10月は月特有の業務がないので、経理としての閑散期となります。
基本業務も含めて、具体的な仕事内容については以下の記事で詳しく解説しております。
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規模感や上場フェーズによっても、経理職が担当する仕事内容は変わってきます。
小規模な企業では経理担当が一人しかいないケースも多いため、その企業が対応しなければならない経理業務のほぼ全てを一人で受け持つ可能性があります。そのため、比較的ハードワークになる可能性はあるものの、幅広い経験を積みやすいといえます。
一方で大企業には複数の経理担当者が配置されていることが一般的なので、特定の業務のみを行うなど分業制が取られています。そのため、幅広い業務経験は積みづらいものの、子会社を持っている場合は連結決算など、特有の専門性の高い業務を経験できます。
IPO準備企業はIPOに備えて、経理職も様々な業務を行うことが求められます。具体的には以下のような業務です。
そのため、通常の経理経験だけでなく、IPO準備の経験がある方が転職市場において特に重宝されています。
上場企業では通常の経理業務に加えて、開示業務や監査対応という業務を担当します。これらの業務は上場企業に義務付けられた情報開示をするために行われるものです。IPO準備と同等に、経理業務の中で最も高度な業務であるといえます。
経理職の平均年収は450万円です。日本全体の平均年収が約436万円であることと比較すると、経理担当者の平均年収は約14万円多いことになります。これを多いと感じるか、少ないと感じるかはそれぞれですが、あくまで平均年収であり、個々の状況によって異なることには留意しておきましょう。
転職時の年収についても、未経験からの転職の場合は300万円程度、経験者の転職の場合は500万円以上などと、経験やスキルによって変化することになります。
年代や役職による年収の違いについては、以下の記事で詳しく紹介してますので、併せてご覧ください。
経理職として、どのぐらいの経験年数を積めば転職のタイミングとして適切なのか、考えてみましょう。ここでは経験年数別に①3年未満②3~6年③7~10年未満④10年以上の4つに大きく分けてみます。
まず、経理経験3年未満であれば「経理に抵抗感がない人物」という扱いになります。経理経験は3年で仕訳が一通り理解されていると考えられますが、1、2年経理担当者であった人は経理用語を聞いても拒否反応がない人として、全くの素人よりははるかに良いだろうという採用枠になります。
よって、経理経験3年未満であれば、通常のルーティーンの仕訳作業であれば特に問題なく任せられるだろうという評価で、プレイヤーとして扱われます。
経理業務の中でも、決算整理仕訳や申告書作成等も含めた一通りの決算を任せようか考えられる時期となります。既に前職でこのような業務を行っていれば即戦力として扱われますし、そうでないとしても一通り覚えてもらえるだろうという期待のもとで採用される可能性があります。どちらにしても経理のキーパーソンの一人としての採用となることでしょう。
ここまでくると業務は一通りできる前提で、管理業務も含めて経理全般を扱えるだろうという評価となります。大企業であればどこかの専門部署でのプレイヤーとして扱われますが、ベンチャー企業では責任者としてのポジションも考えられます。
今までオールマイティに働いてきており、ベンチャー企業の経理責任者としての採用となる場合は、プレイヤーとしての役割とマネジメントしての役割の両方を担うこととなります。
経理経験が10年以上となると、業界ではとても重宝される存在となります。大企業ではそれでも担当者の一人となってしまいますが、中堅の上場企業を含め中小企業ではどんなポジションでも募集の枠があると言えるでしょう。
ただし、今まで上場会社で働いてきたか中小企業で働いてきたかで採用されるかどうかにも違いがあります。株式公開するような企業であれば上場会社としての経理を知っている人を採用したがる傾向にあるためです。しかし、中小企業で働いてきたとしても、これから上場会社の経理や開示書類について積極的に勉強ができ、監査法人や顧問税理士からうまく情報を引き出す能力がある人材であれば、思ってもみないポジションで採用されるかもしれません。
経理職としてのキャリアを積んでいくにあたって、経理ゼネラリストもしくは経理スペシャリストを目指していくのが、一般的なキャリアプランです。それぞれどういったポジションなのか解説します。
経理ゼネラリストは経理だけにとどまらず、人事や総務、営業、マーケティングなど幅広い分野のキャリアや知識を持っている人のことを指します。経営部長やIR担当やCFOなど、会社の心臓部としての活躍をすることができます。
ご説明したように、様々な分野での経験が必要なので、長期的に就業しようとしている人のキャリアプランとしてマッチしています。ただし、幅広い経験を積むには希望の部署に配属してもらえるように、それぞれの部署で結果を残す必要があります。ここでは経理ゼネラリストとして目指せる職種を、いくつか紹介します。
年次決算までこなし、経営にまつわる数字が扱えるようになることで、会社の経営企画部門に参画する道も開けてきます。
会社経営のための事業計画を立案する部門のため、予算編成には会計・経理の知識だけでなくマーケティング分析などの能力や、会社によっては英語力が求められる場合もあるでしょう。
投資家向けの情報を作成するIR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)は、株主や投資家向けに経営状態や財務状況などを広報したり、株主運営に携わる職種です。
会社によっては、総務部や広報部や経理部など、部門が異なることも多いです。
会社のステークホルダーの方たちと関わる職種なだけに、会計知識に加えて高いコミュニケーション能力が求められます。
経理担当の「あがり」ともいえるポジションでしょう。
経理担当から経理部門の管理職へ、そして財務担当役員からCFO(最高財務責任者)というのが王道のキャリアアップです。
一度CFOを経験すれば、次の転職でもCFOであることが多く、少しずつ企業をランクアップしていくことで、役員報酬もぐんとアップできるでしょう。
経理スペシャリストはその名の通り、経理業務の専門性を極めた人のことを指します。ご紹介するキャリアプランの中では、これを目指すのが最も王道のプランと言えるでしょう。
同じ会社の経理部門で昇格していくことで、管理職を狙うことも十分可能です。また1社で働き続けることで、継続的な昇給も見込めますので、将来的には高年収も見込めます。
他のキャリアプランを目指すにしても、幅広い経理知識を身につけることは基本です。簿記検定などスキルアップのための資格も取得しておくことで、その後のキャリアの幅も広がるでしょう。
経理として働く方が転職を考えるにあたって、どのような理由があるのしょうか?当社ヒュープロをご利用いただいている方に多い動機を紹介します。
経理職で仕事内容に起因して転職活動を始める方は、大きく2パターンに分かれます。
経理職で経験を積んでいけば、CFO(最高財務責任者)などの企業の中枢を担う役職に就くことも可能です。一方で、大手企業であれば「上が詰まっている」、中小企業であれば「できる業務が限られている」ことなどから、特定の業務までしか経験できない可能性もあります。
なのでより自己成長をするために新しい業務にチャレンジできる環境に転職したいと考え、転職活動を始めるようです。
先述した通り、経理職における仕事の流れは一定であるため、同じ職場で何年も働いているとマンネリ化にもつながってしまうようです。業務の根幹はどの企業でも大きく変わらないものの、業種や事業内容によって違う面白さがあることもあります。そこで、異業界や異業種の経理職に転職したいという方もいらっしゃいます。
経理職は、スケジュールを適切に組んでおけば柔軟な働き方を実現しやすい職種です。「柔軟な働き方」には、在宅勤務やフレックスタイム、時短勤務などが該当します。
ただ、会社としてそのような制度を導入していなかったり、制度の利用率が低い場合は、これらの働き方が難しいでしょう。せっかく働きやすい職種なのだからその恩恵を受けたい、という方については、働きやすい環境への転職を検討していきます。
経理職の年収は、その企業における経理職への評価基準および全体の給与水準によって決められます。評価基準に不満があったり、給与水準が低いと感じている方は、それらを解決できる職場への転職し、生活水準を向上させたいという方も多くいらっしゃいます。
働いている企業の業績などを鑑みて転職する方もいらっしゃいます。よくあるケースとしては、倒産しそうな企業からの転職、もしくはIPOに失敗したり断念した企業からの転職です。IPOに関わった経験は、経理の経験者にとってかなり重要なので、その企業がIPO達成しそうかどうかも大事なポイントなのです。
経理の転職において、特に未経験からのキャリアチェンジの難易度が高いと先に紹介させて頂きましたが、不可能なわけではありません。
ただし未経験の場合は年齢も関係してくるので、注意が必要です。その理由は、ポテンシャル採用というスキルや経験よりも今後の成長を期待して潜在能力を評価基準とする採用手法を取り入れていることがほとんどだからです。この場合、成長するまでの期間を見越して採用するので、20代を中心とした若手の方がかなり有利です。
また経験が無い分、知識がある証明として資格を取っておくと、効果的なアピールをすることができます。どんな資格が活かせるのか、次の章で紹介します。
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特に未経験からの転職の場合は、それまでの経験や持っている資格が経理に活かせるとアピールできるかどうかが、転職成功へのカギとなります。では具体的にどのような経験や資格が活かせるのか、解説します。
もちろんどんな経験でも経理に活かせるというわけではありません。親和性が高ければ高いほど、活かしやすいといえます。
税理士事務所や会計事務所は、企業や個人からの依頼を受けて税務業務の代行や税務相談へのコンサルティングなどを行っています。ここでは税理士資格の保持者だけでなく、その業務を支える税理士補助と呼ばれる方も働いていますが、税理士補助の経験も経理に大きく活かせます。
なぜなら、税務や会計など特定の分野においては、一般的な企業の経理担当よりも経験を積んでいるケースがあるからです。例えば経理職だと、1年に1回しか自社の年次決算業務しか経験できません。一方で税理士補助は、クライアントから会計事務所に依頼される決算業務を1年に20〜30件ほど経験可能です。つまり、決算業務においては、経理職の数十倍の経験を積んでいる可能性があるということになります。
そのため、税理士補助から転職するには、まずは自らが積んできた経験を棚卸ししましょう。どのような分野に強いのか、その経験を求めている転職先はどこかを分析し、うまくマッチングができればスムーズな転職が可能です。
会社の売上に貢献する直接部門である営業職と会社のお金を管理する間接部門である経理職とでは、なかなか親和性を感じにくいかもしれません。税理士補助と違い実務スキルが活きるわけではないものの、クライアントとのビジネスコミュニケーション力や結果を追い求めるにあたってのコミット力が評価されます。
経理職は営業職のような社外とのやり取りは少ないものの、社内の様々な部署とのやり取りが必要になってくるため、コミュニケーション能力があることはプラスの評価に繋がります。また、経理職でなにか数字を追うようなものはないものの、特に決算期などでは決算業務をやりきるコミット力とタフさが求められる経理職には、営業の経験が活きやすいとされています。
経理の転職活動に関連した資格として最も認知度が高いのは、やはり簿記ではないでしょうか。難易度と活かせる知識レベルを踏まえると、簿記の中でも日商簿記2級がオススメできます。経理職や会計業界では日商簿記2級を必須資格とする求人がかなり多いため、特に未経験の場合は取得しておくと、応募できる選択肢を広げることができます。
また簿記以外にも、税理士や公認会計士やFP技能検定など会計系の資格がありますが、これらは難易度がかなり高いため、無資格の場合は日商簿記2級合格を目指すのが良いでしょう。
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経理職に向いている人材は、つまり経理職に求められている人材ということです。先述した話と重複する部分もありますが、改めて向いている人の特徴について解説していきます。
経理は事務職なので、パソコンの操作や伝票の処理ができれば問題ないかというと、そうではありません。職場の同僚や上司、他部署や取引などとやり取りすることも意外に多いため仕事を円滑に進めるためにはある程度のコミュニケーション能力が必要になります。
経理職に従事する上でどうしても避けられないのが、数字と向き合うことです。数字や計算が好きである必要はありませんが、数字は見るのも嫌だという方には続けることが難しい仕事です。日々の業務で難しい計算式を要することなどは少なく、あったとしてもエクセルなどで管理しているため、セルに入力すれば自動で計算してくれます。ただし、簿記の勉強をする際は難しい計算式などを覚える必要があります。
これは経理職に限った話ではありませんが、パソコンでデータを管理することがほとんどなので、パソコンを使えることが大前提となります。「使える」と一言にまとめても、WordやExcelを最低限使えれば問題ないでしょう。
経理では決まりごとが多くあります。例えば、その日までに処理を終わらせなければいけない締めや、必ず毎日行うルーティンワークなどがあります。その時やらなければいけないことを、先延ばしにしてしまう癖のある人は気を付けましょう。
企業のお金を管理する経理の仕事でミスは許されません。大きい会社であればあるほど、自分のミスが後工程に大きく影響を与えることがあります。初めは小さなミスですが、いつの間にか大きなミスになっていることも少なくありません。場合によっては一円を合わせるために、原因を探すようなこともあります。営業などのように何百万の売上をあげるといったような、目立つ仕事ではなく地道な仕事が多いですが、その一つ一つに責任を持って取り組める人が経理に向いていると言えます。
経理での転職活動を成功するためにカギになってくるのは、志望動機そして面接への対策です。具体的にどのような考え方で作っていくと良いか、解説します。
まずはなぜ経理職として働きたいとのか、自分自身でも理解しておく必要があります。人それぞれのきっかけや志があって応募するので、志望動機に正解はありません。
しかし履歴書への記載はもちろん面接時にも聞かれることが多いポイントなので、なんとなくで作成するのではなく、「なぜそう思ったか?」を自問し続けることで明確な志望動機を見つけましょう。また、それを面接時にもアウトプットできるよう準備しておきましょう。
次になぜその企業先に応募したのかという理由も落とし込みましょう。同じ経理職の募集は沢山ある中でなぜその企業を選んだのかは、書類選考でも面接でもほぼ必ず選考基準に入っています。
志望動機の完成度が低かったり他の企業でも通用するような内容だと、志望度が低いもしくはもし入社してもすぐ辞めてしまうかもしれないという懸念に繋がりますので注意が必要です。企業情報や求人を仔細に確認し、相手に熱意が伝わるような内容を作りましょう。
志望動機は書類選考でも面接でも重要なポイントですが、志望動機をしっかりと考えただけで、必ず内定を勝ち取れるわけではありません。特に面接においては志望動機以外にも、様々な質問をされることになりますので、面接対策は必須といえます。具体的には、以下のような質問です。
このような質問に対してどのように答えるべきなのか、また答える際の注意点などについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。
転職市場が活性化するタイミングと言われても、自分にとって今がその時なのかを見極めるのはなかなか難しいでしょう。そんなときは、転職エージェントを活用するのがオススメです。転職エージェントには、日々経理の求人情報が入ってくるのはもちろん、キャリアプランに合った転職のサポートが可能です。
また、月次決算や四半期決算になると、経理にはどうしても面接に行くことが難しい期間が発生してしまいます。そんなときも、転職エージェントを通していれば面接先企業との日程調整をエージェントにすべて任せてしまえます。日々締め切りに追われる経理だからこそ、転職の面倒な部分は転職エージェントに任せてしまい、ベストな転職活動ができる体制を整えましょう。
ヒュープロは経理などの管理部門の求人に強い転職エージェントですので、是非ご相談いただければと存じます。
ここでは当社ヒュープロで実際にご支援させていただいた、経理職への転職に成功された方の事例をご紹介していきます。
保険会社の営業職として働いていたHさんは、学生時代に学んでいた簿記の知識を活かし、未経験ながら経理のスペシャリストを目指すべく、転職活動を進めていました。ご紹介したように営業職の経験は未経験の中では評価が高いため、書類選考の通過率も高い状況でした。
その一方で面接があまり得意ではなかったため、面接の通過率が低いこと、また希望年収が400万円と未経験の相場の年収より100万円ほど高かったことなどから、なかなか希望の企業からの内定を得られないでいました。
そんなHさんに対して、当社キャリアアドバイザーは応募先ごとの面接対策を行い、さらに二次面接に進んだ際は再度対策を行うなど、徹底的に面接を突破するためのサポートを実施しました。
また希望の年収が満たせる求人は多くなかったものの、営業職の経験の中でも保険会社での経験を評価してもらえる、同業の経理職を提案させていただき、見事に内定を獲得。無事、希望条件を満たした大手保険会社の経理職に転職することができました。
一般企業で4年ほど経理職として働いていて、それ以前は9年ほど会計事務所で勤務していたYさんは、家庭の事情の変化の影響でリモートワークが利用できる環境への転職を検討していました。
先でご紹介したようにリモートワークを利用可能な企業は多いものの、リモートで働きたい転職希望者も多いので、どうしてもそのような企業の倍率は高くなる傾向にあります。
そのため、当社アドバイザーはYさんとの面談の際に希望条件の明確化、つまり週何回リモートワークが出来ればよいのかをすり合わせました。この部分を決めることによって、Yさんは効率的に求人応募することができ、前職や前々職での経験に高い評価をする企業への入社を実現しました。
当社ヒュープロでは11,000件以上の求人をお取り扱いしており、様々なご希望に合った求人をご案内可能です。リモートワークや年間休日数、年収帯など希望の条件で検索ができますので、ぜひご活用いただけますと幸いです。
未経験でも応募可能な経理求人はコチラ
リモートワーク可能な経理求人はコチラ
年収700万円以上の経理求人はコチラ
その他の条件で調べてみたい方については、以下よりご希望条件を指定してご覧ください。
全ての経理の求人はコチラ
今回は、経理職における転職のタイミングについて解説しました。経理として大変な業務は少なくはありませんが、やりがいもあり、達成感のある業務も多くあります。忙しい時期もありますが、順調に業務をこなしていくため最適な入社時期を見極めていきましょう!