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日商簿記2級の合格率はどのくらい?難易度が高い理由は?わかりやすく解説します!!

HUPRO 編集部
簿記2級の合格率はどのくらい?合格率の推移から最近の傾向まで解説!

この記事では、転職の場面で有利な材料となる日商簿記2級について説明します。合格率や近年の試験内容の変化などにも触れているので、資格取得を検討されている方はぜひ最後までご参考ください!

日商簿記2級の合格率

第101回(2002年6月)から第159回(2021年11月)に実施された日商簿記2級の合格率の平均は、約29.0%です。2019年から2021年では、約23.4%となっています。

ただし、日商簿記2級の合格率は、実施時期によって大きく異なります。受験者の上位人数によって合格者が決まるのではなく、純粋な得点率で合否が決定されるからです。

合格率の推移

以下の表は、商工会議所が出している2019年から2021年における、第151回~第159回の簿記2級の合格率です。

第159回(2021年11月) 30.8%
第158回(2021年6月) 24.0%
第157回(2021年2月) 8.6%
第156回(2020年11月) 18.2%
第154回(2020年2月) 28.6%
第153回(2019年11月) 27.1%
第152回(2019年6月) 25.4%
第151回(2019年2月) 12.7%

出典:簿記2級受験者データ|日本商工会議所HP

難易度が高いとされる第157回では8%程度、難易度が低いとされる実施回では40%以上の合格率となっており、合格率にバラつきがある試験となっています。

第100回以降で簿記2級試験の合格率が10%以下となったのは、第157回(2021年2月)の8.6%と第107回(2004年6月)の5.7%のみです。

一方、第100回以降で最も合格率が高かったのは、第146回(2017年6月)の47.5%、次いで第133回(2013年2月)の47.6%でした。

ネット試験の合格率

2020年12月から、簿記2級試験がネットで受験できるようになりました。統一試験前後日程以外のほぼ毎日(会場によって実施日が異なるため要確認)実施されています。

簿記2級のネット試験の合格率は、2020年12月~2021年3月で46.6%、2021年4月~9月で38.8%です。

出典:【日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験】受験者データを掲載しました

同時期に実施されたペーパー試験と比較すると、かなり合格率が高くなっています。

簿記2級のネット試験については、下記の記事をご覧ください。

日商簿記検定の合格率

日本の主な簿記検定としては、日商簿記検定と全経簿記能力検定があります。また、高校生向けの検定としては全商簿記検定もあります。

日商簿記検定とは、日本商工会議所が主催する簿記に関する検定で、略称は日商簿記です。日本の簿記の検定試験の中では最も知名度が高く、受験者数も多くなっています。

日商簿記検定は主に社会人に向けた検定試験ですが、受験資格はないので誰でも受験できます。他の全経簿記能力検定や全商簿記検定と比べると一般に難易度は高めです。

日商簿記検定は初級、3級、2級、1級の4種類に分かれており、1級が最も難易度が高くなっています。合格率の目安は初級が55%、3級が40%、2級が30%、1級が10%程度です。

全経簿記能力検定は、公益社団法人の全国経理教育協会が実施する検定試験です。日本の簿記検定としては日商簿記に次ぐ知名度を有し、主に社会人向けで受験資格がない点も同様です。全経簿記能力検定の試験は基礎、3級、2級、1級、上級の5種類に分かれており、難易度は日商簿記に比べると低めになっています。合格率の目安は基礎と3級が65%、2級の商業簿記が35%で工業簿記が80%、1級の商業簿記・会計学が30%で原価計算・工業簿記が55%程度です。

全商簿記検定は全国商業高等学校協会が主催する簿記の検定試験です。

正式名称は少し長いですが、全国商業高等学校協会簿記実務検定試験といいます。他の2つの検定と異なり主に商業高校生向けですが、受験資格に制限はないので受験自体は誰でもできます。

検定試験は3級、2級、1級の3種類があり、1級は会計と原価計算の2つの科目に分かれています。それぞれの合格率の目安は40%〜60%程度です。

実施回によってかなりバラつきが多い

日商簿記2級の合格率は、実施回によってかなりバラつきが見られます。第157回の合格率は8.6%、第151回は12.7%と平均合格率よりかなり低いです。逆に、第146回では47.5%、第133回では47.6%と、平均より合格率が高くなっています。

合格率が低い受験回には一定の特徴があるとされています。大きな法改正があった年や、出題傾向が変わった場合に、合格率が減少する傾向があるのです。

というのも、日商簿記2級では、多くの受験生が過去問ベースの試験対策をしているからです。機械的な演習を繰り返すだけでは、出題傾向や試験内容が変化した途端に正解にたどり着けなくなってしまうのです。日商簿記2級の合格をしたい方は、常に法改正や出題傾向を確認しておくと良いでしょう。

実質的な合格率はそこまで低くない

実は、簿記2級の表向きの合格率は低迷していますが、実質的な合格率はそこまで低くないとも言われています。その理由は、1年に3回受験できる試験の性質に起因します。

受験機会が多いということは、「場慣れのため」「とりあえず受験しておく」というような状態で試験に臨む受験生が多いことを意味します。数ヶ月に1度受験できるのであれば、記念受験の割合が増えるのは当然でしょう。

したがって、簿記2級の実質合格率は、上述の表で記された数値よりも高いと考えられるでしょう。本気で勉強すれば、決して合格するのが難しい試験ではありません。

日商簿記2級の難易度が高い理由

日商簿記2級の難易度が高い理由は大きく3つあります。

「工業簿記」追加で覚える範囲が増える

日商簿記3級から追加された科目で、工業簿記があります。

工業簿記は製造業における原価の計算を含む計算になります。
1つの製品を制作するのに、どれだけの費用がかかっているのかを理解するのは、単純ではなく、実務をしていないと想像がしにくい内容になり難易度を向上させていると考えられます。

商業簿記のレベルが格段に上がる

商業簿記のレベルは格段に上がっています。
財務諸表の作成できるレベルの知識はもちろん、財務諸表に書いてある各数字の意味がしっかり理解できるかを問われます。

2015年には簿記1級の範囲であった、税効果会計やリース取引等も試験範囲に追加され対策により苦労するでしょう。

計算問題の量が多い

計算問題の量が簿記3級と比較して多くなっています。工業簿記の追加により、計算のフローも混乱してくるので、より実務的な理解をして望まないと全て完璧に解くの難しいです。

難易度が高い問題が出題された簿記2級第153回試験

2019年11月に行われた第153回の日商簿記2級検定では、過去最高難易度の超難問が出題されました。第3問にて、連結会計の問題が出題され、多くの受験者から「手が出なかった」という声が続出しました。

実際に弊社が試験直後に行なったTwitterアンケートでも、『思ったより難しかったという』意見が8割近くを占めました。

超難問が出題された第153回試験

近年、出題範囲が大幅に改定されたために、出題の予想がつきにくいという状態が続いています。特に2019年11月実施試験で出題された連結会計の処理やリース取引に関する内容は、従前簿記1級の試験範囲とされていたものが日商簿記2級の範囲に追加変更されたものです。多くの受験生が戸惑ったのも仕方のないことかもしれません。

ただし、それでも合格率は27%という水準を維持しました。これは、他の出題内容が平均的な内容にとどまったためです。つまり、試験内容に大幅な変化があったとしても、普段からやるべき勉強方法を実践しさえすれば、確実に合格に到達できるということを意味しています。

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簿記2級合格までの道のり

最後に日商簿記2級の勉強方法や合格までのスケジュールをご紹介したいと思います。

日商簿記2級合格に必要な勉強時間とは?

日商簿記2級合格に必要な勉強時間は、一般的に約250時間と言われています。これは日商簿記3級合格者を念頭に置いた数字ですので、簿記初学者が日商簿記2級を目指す場合には、約350時間を目安に考えて下さい。

勉強のペースは人それぞれでしょう。毎日5時間程度勉強に充てることができるのなら2ヶ月もあれば充分です。他方、社会人の方などが仕事と並行して勉強を進めるのであれば、1日平均2~3時間の学習を4~6ヶ月継続すれば合格水準が見えてくることになります。

効果的な勉強方法

多くの方が、独学での勉強で一発で合格しています。いち早く成果を出すには、市販の問題集やテキストを購入し、繰り返し理解できるまで演習をこなす必要があります。なぜなら簿記の試験は「記述式」であるためマークシートのように勘であたることはありません。そのため正しく本質を理解して、アウトプットできる必要があります。

自分に向いている教材をいち早く見つけ、多くの時間を「問題を解く」というアウトプットに使用してください。

また記憶の定着には、声に出して教材を読む、人に内容を説明をしてみるなどの取り組みをするとより勉強の効率が上がります。

日商簿記2級合格への鍵は工業簿記

日商簿記2級に合格するには、工業簿記の正解率を上げることを意識するのがポイントです。先程も説明したように、工業簿記の出題難易度は高くないからです。基本事項が中心に問われるので、繰り返し過去問を演習しつつ、間違えた問題をしっかりと分析するように心がけましょう。

また、近年は出題範囲の変更の影響から、対策を練りにくい問題が一題は出題されることを覚悟しておきましょう。基本事項の定着が進んだ段階で、高難易度を意識した勉強もカリキュラムに組み込めればパーフェクトです。

日商簿記2級の勉強方法、スケジュールについては下記のコラムでも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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まとめ

日商簿記2級は、転職などの場面で強い味方になる人気資格です。日商簿記2級を持っているかどうかで、キャリアアップの選択肢の数がまったく異なると言っても過言ではありません。これから転職を検討されているのであれば、ぜひ積極的に日商簿記2級取得に挑戦してください!

また日商簿記2級は現在ネット試験が実施されています。
統一試験とは違い、試験実施が通年で行われているためこちらの受験を検討されてみても良いかと思います!

この記事を書いたライター

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