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USCPA(米国公認会計)の合格に必要な勉強時間は?科目別の勉強時間や勉強法を解説!

HUPRO 編集部
USCPA(米国公認会計)の合格に必要な勉強時間は?科目別の勉強時間や勉強法を解説!

USCPA(米国公認会計士)は国際的に通用する資格として人気を集めていますが、その分難易度も決して低くはありません。今回は、USCPAの試験に合格するために必要だと考えられている勉強時間について、科目や基礎知識別に解説していきます。USCPAの受験を考えている方は是非ご参考になさってください。

そもそもUSCPAとは?

USCPAは日本でいう米国版の公認会計士です。全米州政府会計委員会と各州政府会計委員会の支援のもと、米国公認会計士協会によって開発された資格です。

試験概要

USCPAの試験は科目合格制になっており、FAR(財務会計)、AUD(監査論及び証明業務)、REG(商法・税法)の3科目と、選択科目のBAR(ビジネス分析)、ISC(情報システム)、TCP(税法遵守)の3科目から1科目を選択し、計4科目が必要となります。それぞれの科目で75点以上取れれば合格と定められており、科目合格の有効期間は18か月です。科目合格がある場合は18か月以内に4科目合格しておく必要があり、18か月経過後はその科目の合格は取り消されてしまいます。第1四半期〜第4四半期まで1年に4回の試験日程が定められており、自由に受験することができます。

また、受験資格として、「4年制大学を卒業しているまたは在学中」かつ「会計・ビジネスの単位を一定以上取得している」と定められているため、ある程度の知識を保有している人が受験する資格です。

USCPA試験合格に必要な勉強時間

資格スクールでは、USCPAの合格に必要とされる勉強時間は1,000時間であるといわれています。資格スクールに通い、週に数回ほど授業を受け、毎日自宅などで予習、復習をこなして、週20時間ほどの勉強量が確保できたとしましょう。その場合、約一年で1,000時間という勉強時間を捻出できます。しかし、このような約一年での勉強でUSCPAを取得することは最短時間と言えるでしょう。多くのUSCPA受験生は働きながらの方が多いので、勉強のペースはどうしても落ちてしまいます。そのため社会人の場合は1年半から2年の時間をかけて合格を目指す受験生が一般的なようです。

また、ある程度会計の予備知識がある人と何も知識がない人や、英語が得意な人とそうでない人とでは、やはりUSCPA合格に必要な勉強時間は異なるでしょう。この1,000時間というのは、あくまでも目安だと考え、英語が苦手な人や簿記の知識がない人は、もう少し多くの勉強時間を確保するように考えた方がいいかもしれません。

勉強開始時のスペック別!合格に必要な勉強時間

上述の通り、USCPA試験に合格するために必要な勉強時間は約1,000時間といわれていますが、会計知識や英語力の基盤により異なります。ここからは、資格や英語レベル、実務経験別に必要な勉強時間の目安を見ていきます。

【資格レベル別】USCPA合格に必要な勉強時間

まずは、会計資格の代表である公認会計士と簿記を持っている場合の必要な勉強時間について見ていきましょう。

公認会計士 500~800時間
税理士・簿記1級 800~900時間
簿記2・3級 約1,200時間
会計知識なし 1,200~2,000時間

公認会計士

日本の公認会計士資格を持っている場合、勉強時間は500~800時間程度であるといわれています。週20時間の勉強時間を確保した場合の勉強期間は半年~9か月となります。日本の公認会計士もUSCPAも会計資格のため、試験範囲が重複している部分もあり、勉強時間の短縮が可能です。ただし、当然ながらUSCPAの試験は全て英語で行われるため、後述の英語力によっては英語の文章および単語の理解にも時間が必要となるでしょう。

税理士・簿記1級

税理士及び簿記1級の資格を持っている場合、勉強時間は800~900時間であるといわれています。高いレベルの会計知識を有しているため、特に試験科目の一つであるFARの知識面においては、ほぼ英語を覚えるような学習になるといえます。ただ、監査科目など新たに学習が必要なものもあるため、その点は時間がかかるでしょう。

簿記2・3級

簿記2・3級の資格を持っている場合、勉強時間は約1,200時間であるといわれています。試験科目のうちFARについては、簿記の学習範囲と被る部分が多く、簿記での学習をUSCPAの試験勉強にも活かすことができるでしょう。

会計知識なし

上述のような会計資格を持っていない場合、英語力にもよりますが勉強時間は1,200~2,000時間といわれています。会計資格に共通しますが、最初の会計の仕組みである仕訳の理解でつまずく方が多く関門となります。会計知識を持っていない場合は、資格学校に相談して勉強の方針を決めたり、計画的に独学で勉強を進めることが重要です。

【英語レベル別】USCPA合格に必要な勉強時間

次に、英語のレベル別に必要な勉強時間について見ていきましょう。

TOEIC800点以上 約1,000時間
TOEIC500~800点 1,000~1,500時間
TOEIC500点以下 約1,500時間

TOEIC800点以上

一般的にUSCPA試験で求められる英語力は、TOEICトータルスコアで700~800点といわれています。USCPAは米国の会計士資格のため、当然ながら問題も回答も全て英語で書かれています。そのため、試験ではある程度の長さの英文を瞬時に理解するリーディング力が主に求められています。

TOEIC800点以上で問題文を難なく読むことができる場合、合格に必要な勉強時間は約1,000時間であるといわれています。なお、会計知識がある場合や実務経験がある場合は、さらに勉強時間を短縮することができます。

TOEIC500~800点

TOEIC500~800点の場合は、一般的に必要とされている勉強時間と同様に1,000~1,500時間といわれています。USCPAの試験に登場する英単語や熟語を覚えるなど、英語の会計用語に慣れていくことが重要です。

TOEIC500点以下

TOEIC500点以下やそもそも英語が得意でないという場合、約1,500時間が合格までに必要であるといわれています。ただこちらについても、会計知識や実務経験によって異なる点に注意が必要です。USCPAの試験自体、全て英語で行われるためリーディングは必須ですが、TOEICの点数を上げる必要はなく、あくまでUSCPAの試験に出てくる英単語や熟語を読む力及び、問題文に頻出の英文法になれることが必要です。

【実務経験別】USCPA合格に必要な勉強時間

ここまで会計知識や英語力ごとに必要な勉強時間を解説してきましたが、さらに財務会計分野での実務経験があればさらに勉強時間を短縮することができます。
USCPAの試験範囲と重なるような業務経験があれば、勉強の内容が理解しやすいため、ここまで紹介した勉強時間よりも100~500時間短縮できる場合もあります。

経理・財務経験

一般企業の経理や財務部での経験がある場合、USCPAの試験の勉強を有利に進めることができます。特にFARやREGの科目においては、財務諸表を作成した経験や知識をそのままUSCPAの試験に活かすことができるでしょう。

会計事務所経験

会計事務所での実務経験がある場合でも、高いレベルの会計や税務の知識を持っているため効率的に勉強を進めることができるといえます。

金融機関経験

金融機関において、特に資産運用アドバイザーなど財務会計に関連した業務経験がある場合、経験と知識を活かしてUSCPA試験の勉強時間を短縮することができるといえます。また銀行においては、1年目の銀行業務検定などを通じて、ファイナンス領域の基礎知識を身につけることができるため、USCPAの試験にも活かすことができるでしょう。

ただ受験者の多くが実務経験無しで受験されているため、こうした実務経験が無くても問題ありませんが、経験していないと理解が難しい問題もあるので、その分の勉強をする必要があります。

USCPAの科目別!合格に必要な勉強時間

ここからは、さらに試験科目別に必要な勉強時間について見ていきます。

FAR 約400時間
AUD 約300時間
REG 約200時間
選択科目 約200時間

学習ボリュームがもっとも大きい【FAR】

FARはFinancial Accounting & Reportingの略で主に財務会計の科目であり、多くの人が最初に受験する科目になります。全て計算の択一問題であるMCの問題数が最も多く、根本的な会計の内容であるため、しっかりと学習時間を割く必要があります。
合格に必要な勉強時間については、約400時間であるといわれています。
FARについては以下の記事でも詳しく紹介していますので併せてご参照ください。

〈参照記事〉

実際の監査をイメージすることが大切【AUD】

AUDはAuditing & Attestation略で監査および諸手続きについての内容について問われます。基本的に計算問題はないため、FASやBECと比較すると学習時間が少なくて済みますが、前述したとおり、会計監査は実際にやってみることで理解できる内容もあり、その分をしっかりと学ぶことが重要です。合格に必要な勉強時間の目安としては、約300時間といわれています。

とにかく暗記が大切【REG】

REGはRegulationの略で諸法規についての科目です。税・ビジネスについての内容ですので、とにかく暗記をすることに時間を費やしましょう。またFARと同じく計算問題が約7割を占めており、ボリュームの多い科目にはなりますが、REGを受験する人の多くはすでに1~2科目以上合格している場合が多いため、最初に受験するFARよりも少ない約200時間が勉強時間の目安といわれています。

24年より新設された【選択科目】

上述の通り、選択科目ではBAR(ビジネス分析)、ISC(情報システム)、TCP(税法遵守)の3科目から1科目を受験します。この選択科目については2024年1月の試験制度の変更により導入された制度であり、情報がまだ出そろっていないため、どれくらいの学習時間を要するのかは試算が難しいですが、それぞれ約200時間程度が必要な勉強時間の目安となるでしょう。

科目別の難易度や対策法についてより詳しくまとめた記事が以下になります。合わせてご一読ください。

USCPA試験の難易度はどれくらい?

USCPA試験は働きながら合格が可能と言われていますが、実際のところどうなっているのでしょうか。日本の公認会計士や簿記とも比較しながら、USCPAの難易度を勉強時間、受験資格手続き、合格率、英語力の4点に注目して解説していきます。

勉強時間

今回の記事のテーマであるUSCPAの勉強時間について、英語力や会計知識、実務経験などの前提条件により異なりますが、一般的にUSCPAの合格には約1,000時間必要であると解説しました。比較対象として、簿記1級の合格に必要な勉強時間は約500時間であり、また公認会計士試験の合格に必要な勉強時間については、約2,500~3,500時間であるといわれています。ただ、会計知識や英語力の有無によって異なるため、一概に勉強時間を比較してUSCPA試験より公認会計士試験の方が難易度が高いとはいえないでしょう。
下記は簿記1級と公認会計士試験の勉強時間を解説した記事です。是非ご参照ください。

〈参照記事〉

受験資格

上述の通り、USCPA試験は「4年制大学を卒業しているまたは在学中」かつ「会計・ビジネスの単位を一定以上取得している」など、一定の受験資格を満たしていなければ受験することができません。誰でも受験することができる日本の公認会計士試験と比較すると、ある程度の知識を有する人しか受験できない点でUSCPA試験は難易度が高いといえます。

合格率

USCPAの科目ごとの合格率は40~60%程度といわれています。受験者のレベルにより難易度が異なりますが、合格率約10%前後の公認会計士試験や簿記1級試験と比較して高い合格率であるといえます。しかし、日本人受験者だけの合格率はこれよりも低く、さらに上述の通り、ある程度知識を持った人のみが受験できるため、受験者のレベルがそもそも高い点が高い合格率につながっているといえるため、試験の難易度自体は高いといえるでしょう。

〈参照記事〉

英語力

上述の通り、USCPA試験を受験するにあたり、前提として英語力が必要となります。その点、公認会計士や簿記試験と比較すると、会計知識だけでなく英語力が問われる点で難易度は上がるといえます。

USCPAの難易度については以下の記事でも詳しく紹介していますので併せてご参照ください。
〈参照記事〉

合格に向けたUSCPAの勉強法

USCPAの勉強法は、実は至ってシンプルで、4段階に分けられます。

①テキストを使って知識を詰め込む(2週間)
②章ごとに問題集を1度解いてみて、知識の定着を確かめる(2週間)
③問題集のすべての問題を2回続けて正解できるまで解き続ける(1週間)
④洋書の問題集を使って、9割程度正解できるようになるまで解き続ける(3週間)

この理想のペースで勉強を進め、これを4科目分繰り返すことができれば効率的に合格を目指すことができるでしょう。

また、予備校に通うか独学で勉強するかについても、合格を左右するといえます。合格までの学習プランを一人で決めることが難しい場合や、分からない点をすぐに解決したい場合は予備校に通うことで効率的に学習を進めることができるでしょう。また英語力や会計知識がすでにある場合や、会社で働いており予備校に通う時間がなく朝や会社帰りに勉強する場合には、独学でも合格を目指すことができます。しかし、USCPAの教材は基本的に市販されておらず、独学での勉強は難しいといえます。USCPAの受験にあたり効率よく勉強・準備を進めることを重視するのであれば、やはり予備校に通うのをおすすめします。
もし仕事をしながら合格を目指すのであれば勉強時間の確保は大きな課題となりますが、自分の仕事や生活スタイルと相談しながら勉強計画を立てていくことが重要です。しかし、もし連続して不合格になった場合には、科目合格の失効リスクも伴いますので、注意するようにしましょう。
下記はUSCPAの勉強法を解説した記事になりますので是非ご参照ください。

〈参照記事〉

まとめ

USCPAの合格に必要な勉強時間は1,000時間といわれています。しかし、英語が苦手な人や簿記の知識がないという人は、さらに多くの勉強時間を確保しておいた方がいいでしょう。また仕事をしながらの勉強だと毎日時間をとって継続して勉強するのが難しく、勉強時間も増えてしまうことが多いです。USCPAの合格を目指すのであれば、勉強時間を確保しやすい職場に転職することも一つの方法です。USCPAは勉強さえしておけば合格ができるとされている資格です。毎日コツコツと勉強を続けていくことが、1番の近道だといえるでしょう。

また、これからUSCPA試験に挑戦される方にとっては少し遠い話かもしれませんが、USCPA合格後には海外の会計事務所や監査法人、FAS系コンサルティングファームなど、資格を活かして働ける職場に転職することで、さらなるキャリアアップを実現することができるでしょう。このような職場に挑戦してみたいという方は、ぜひ業界特化の転職エージェント「ヒュープロ」を活用し、転職活動をしてみてください。

〈参照記事〉

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