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日次決算とは?経営の見える化に取り組もう!

HUPRO 編集部
日次決算とは?経営の見える化に取り組もう!

年に一度行う「決算」、今この決算を毎日行う「日次決算」を取り入れる企業が増えています。毎日決算を行うことでお金の動きを可視化できるからです。損益に対する意識を高めることができる日次決算は、何も小規模な企業だけの話ではなく、ユニクロやソフトバンクなど世界進出している企業こそ取り入れているのです。本記事では日次決算におけるメリットデメリットなどについて解説します。

日次決算とは

ふつう決算とは年に一度行うものです。企業の規模によっては半期や四半期決算など年に数回に行う場合もありますが、さらに業績を細かく把握したい経営者は月次決算を導入しています。

しかし、決算というのはそもそも外部に向けての開示というだけでなく、収益を確認して経営判断を行うという目的があります。
つまり、決算に出てくる数字をリアルタイムに把握するという事は、それだけ経営における課題を迅速に把握することにつながるのです。

そのため、意識の高い企業では、月次決算どころか毎日決算業務を行う「日次決算」を取り入れるようになっています。

実は日次決算の日次決算の起源は古く、鎌倉・南北朝時代の近江商人が採り入れていたという説があります。商売上手として知られる近江の商人は、毎日の売上を確認することによって商売への取り組みを研鑽していたのではないでしょうか。

ここでいう「決算」は、年次・月次で行うような納税目的のものではなく、経営者が判断に使う数字を拾って集計するというのが特徴です。

年次決算・月次決算ではスピード化に対応できない

決算資料については、経営者は過去の業績を数字で把握し、将来の改善・成長につなげるための情報としてとらえるべきです。

しかし、年次決算や月次決算については、税務署に申告をするための資料として作成しているため、パッと見ただけでは、その粗利や、費用における変動費と固定費などの区分がわからないようになっています。つまり、経営の意思決定に役立たない決算書になってしまっているのです。

また、税務署に申告するのであれば、正確性が大事なため、全ての売上と費用を集計してから作成されるため、スピード判断をしたい場合には役立ちません。例えば、仕入れ先からの請求書は大体翌月などに送付されてきますので、それを待ってから決算を行っていると、月次であってもすでに数週間が経過しています。

毎日集計するなんて、規模の小さい会社ならともかく、大企業では難しいと思ってしまいますが、実は大企業ほど経営判断を速く行わないと、収益となる分が損失となってしまい、その額が膨大にふくれあがってしまうようなケースもあるため、その必要性は高いのです。

トップダウンで有名なソフトバンクでは、かなり以前から孫社長はカスタマイズした日次決算ソフトを自分のPCに入れて、リアルタイムにそのお金の動きを把握していると言われています。
最近ではユニクロでも日次決算を取り入れています。ユニクロのように全世界で店舗展開しているような会社では、売上に応じてアルバイト・パートの勤務形態を変更し、、仕入れを調節して在庫を減らすなどで利益が生み出されます。意思決定を迅速に行うため、リアルタイムの決算情報が役立っているのです。

日次決算のメリット

日次決算のメリットは多く上げられます。

経営者や管理者が毎日会社の状況を把握できるため、打つべき手がすぐわかり、社員への指示も出しやすいです。利益が上がっていれば、より上がるようにその士気を高めることも、下がっていれば、売上アップのための施策を打つことや、閑散期の店員の勤務体系を見直したりなどきめ細かなフォローも可能になります。

同じ店舗でも、月次ではなく日次、例えば平日と休日、給料日前後では売上が大きく異なります。日次決算にすることで、こうした傾向もわかってくるので、より正確な売上予測に応じた予算編成と目標設定を行うことができるようになるのです。

売上は毎日見ていても、利益まで計算した日次決算まで導入している企業はまだそんなにありません。逆に日次決算をいち早く導入し、意思決定のスピードアップを行うことで、同業他社より抜きんでることも可能です。

日次決算のデメリット

日次決算のメリットは十分わかっていながらも、導入できないのは、その手間を考えてしまうからです。生産や販売、在庫、購買、物流、会計、人事/給与などをそれぞれのシステム運用しているような大企業ほど、これらを一元管理して日次決算の数字を出すためには、大掛かりなシステム変更が必要になるからです。

例に挙げたソフトバンクやユニクロなどは、世界的な大企業ですが、創業者社長のトップダウン体制で「これをやる」と決めたら意思決定後の実行スピードは目を見張るものがあります。しかし昔からの大企業は、必要は感じていても、大きな予算が動くほどの大きな意思決定には、それぞれの部門長の決裁、そして役員や社長への稟議などが必要になるため、システム変更に多大な時間がかかってしまい、導入に至ることが難しいです。

また、仮に導入したとしても、決算の数字を出すためには、あらゆる部門が経理処理などの入力を遅滞なく速やかに行う必要があります。例えば伝票入力が後回しになってしまって滞りがちというのは良くある話だったりします正確な日次決算数値の把握のためには、システム変更だけでなく、業府フローの見直しも必要となるのです。

企業を取り巻く環境が日々大きく変化するときは、日次決算などによるスピード経営(即断、即決、即行)なくして経営の安定と成長はあり得ない。日次決算スピード経営を実行するためには生産や販売、在庫、購買、物流、会計、人事/給与など企業内のあらゆる経営情報が統合的に一元的に管理され、リアルタイムで経営トップが経営データを見ることのできる体制が確立されていなければならない。そのため、今日の大企業での日次決算は、ERPなどの高度な情報システムの存在が前提条件となる。

日次決算は中小企業こそまず導入

大企業では意思決定に時間がかかり、大掛かりなシステム変更が伴うため、日次決算を行いたくてもなかなか取り掛かれない現状がありますが、逆に日次決算については中小企業こそまず導入すべきでしょう。

管理項目がそれほど多くない規模の会社であれば、日々の売り上げなどを入力して、エクセル利用でも充分なレベルの日次決算書を作成することができます。また、市販の会計ソフトにもこうした分析機能が付いていますので、そちらを利用することもできます。

面倒なイメージがある日次決算ですが、面倒に思うからこそ導入していない企業が多いわけで、資金繰りが重要な中小企業こそ、現在の粗利や利益率などを常時把握できるようにして置き、予算や目標を柔軟に見直す体制が求められています。

そうはいっても、見る項目が多いと、毎日確認するのも手間なので、売上・原価・経費・人件費など、自社にとって利益を出すために必要な項目を選定し、それのみを集計するようにすることで月次決算のような手間は省くことができます。

まずどうしたら、利益を日次で求めることができるかどうかを検討してみましょう。会計システムを導入していない場合は、これを機に経理をシステム化してみてはいかがでしょうか。慣れれば相当の業務量を削減することができますよ。

まとめ

現代の経営にはスピードが求められるといわれます。そのスピードとは、的確な意思決定にかかるまでのプロセスをどれだけ短縮できるかにかかっているのです。
毎日「自社の利益」という重要な意思決定の材料をリアルタイムで確認できる日次決算を導入する事で、会社の利益率を大幅に上げることができるでしょう。

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