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有価証券の評価損について

HUPRO 編集部
有価証券の評価損について

有価証券の評価については、会計と税務で扱いが異なる箇所が様々あります。そのため、税務上調整が必要になったり、税効果会計の対象になったりします。今回は会計上で有価証券の評価損の計上が必要な場合及びその評価損に関する会計と税務での取り扱いの違いについて解説していきます。

有価証券の会計上及び税務上の区分

会計上は、有価証券を保有目的に応じて

(1)売買目的有価証券
(2)満期保有目的の債券
(3)子会社及び関連会社株式
(4)その他有価証券

の4区分に分類することになります。

税務上は、有価証券を(1)売買目的有価証券ならびに、(2)売買目的外有価証券の2区分に分類します。

有価証券の会計上及び税務上の期末評価

会計上は、原則

(1)売買目的有価証券:時価
(2)満期保有目的の債券:期末簿価
(3)子会社及び関連会社株式:期末簿価
(4)その他有価証券:時価

にて評価します。

税務上は、原則、(1)売買目的有価証券:時価 (2)売買目的外有価証券:期末簿価にて評価します。

その他有価証券の評価損の扱い

売買目的有価証券については、会計上と税務上共に、時価評価を行うため、税務上での調整は基本的に不要です。

しかし、税務上の売買目的外有価証券(すなわち、会計上の満期保有目的の債券、子会社及び関連会社株式、その他有価証券)の内、その他有価証券については会計と税務で評価方法が異なります。原則として、会計上は時価評価すべきと考えていますが、税務上は期末簿価にて評価すべきと考えています。

そのため、税務上の調整が必要になります。また、税効果会計の対象になります。

会計上、基本的には、その他有価証券の勘定科目は投資有価証券を利用しています。その評価損すなわち投資有価証券評価損に関しては、原則として、損金算入が認められず税務上加算が必要になります。

有価証券の減損について

①時価がある場合

有価証券の時価が期末簿価の50%以上70%未満である場合は、各企業が自主的に設けた基準により著しい下落と判定される場合で、かつ、回復可能性がなければ減損処理を行います。

有価証券の時価が期末簿価の50%未満である場合は、回復可能性がなければ減損処理を行います。

②満期保有目的の債券に時価がない場合

満期保有目的の債券の貸借対照表価額は、債権の貸借対照表価額に準じて評価されます。すなわち、償却原価法を適用した上で、債権の貸倒見積高の算定方法に準じて信用リスクに応じた償還不能見積高を算定します。償還不能見積高が著しく高い場合には減損処理を行うことになります。

③株式に時価がない場合

発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは相当の減額をなす必要があります。なお、実質価額は発行会社の貸借対照表をベースにし、基本的に、1株当たりの純資産額に持株数を掛けることで計算します。実質価格が簿価の50%未満の場合は、回復可能性がなければ減損を行います。

有価証券の減損について

売買目的外有価証券の評価損が税務上認められる場合

売買目的外有価証券であっても、以下の場合には、評価損の損金算入が認められます。

1 法人の所有する有価証券について次の事実が生じた場合で、その法人がその有価証券の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したとき

(1) 取引所売買有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券及びその他価格公表有価証券(いずれも企業支配株式に該当するものを除きます。)について、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。

(2) 上記(1)以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。

(3) 上記(2)に準ずる特別の事実

2 法人の所有する有価証券について、更生計画認可の決定があったことにより、会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従って評価換えをしてその帳簿価額を減額したとき

3 有価証券を所有する法人について次の事実が生じた場合で、その法人が売買目的有価証券及び償還有価証券以外の一定の有価証券の価額について再生計画認可の決定があった時の価額により行う評定などの評定を行っているとき(確定申告書に評価損明細の記載があり、かつ、評価損関係書類の添付がある場合に限ります。)

(1) 再生計画認可の決定があったこと。
(2) 上記(1)に準ずる事実

出典:有価証券の評価損が認められる場合|国税庁HP

1の(1)について
時価がおおよそ簿価の50%以上下落している場合には有価証券の評価損は損金に算入されます。それ以外については損金に算入されません。

1の(2)について
関係会社株式以外の有価証券及び時価のない関係会社株式では、会計と税務で大きな違いはないため、有価証券の評価損は損金に算入されます。

注意点として、時価のある関係会社株式で、時価が簿価のおおよそ50%以上下落しており、会計上、関係会社株式評価損を計上しても、税務上、関係会社の資産状態が著しく悪化しているとは認められない場合、関係会社株式評価損は損金に算入されません。

1の(3)・2・3について
実務上、状況に合わせて会計処理を行う必要があります。会計上有価証券の評価損を計上した場合は税務上その評価損は損金算入されます。

まとめ

以上、会計上有価証券の評価損の計上が必要な場合及びその税務上の扱いについて見て来ました。色々な状況が考えられるため、丁寧に対応してください。

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