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税理士は売り手市場なのか?2019年税理士・科目合格者の転職・求人動向

HUPRO 編集部
税理士は売り手市場なのか?2019年税理士・科目合格者の転職・求人動向

未曾有の売り手市場と言われている、税理士の転職市場。2019年の税理士・科目合格者の求人動向についてまとめてみました。

税理士の転職市場における求人動向

転職市場動向

税理士の転職について触れる前に、転職市場全体について簡単に解説します。
リーマンショック以降の景気回復により日本の有効求人倍率は毎年上がってきています。

厚生労働省のデータでは、2018年10月には1.62倍となっており、求職者数に対して約1.62倍の求人数が存在しているということになります。

有効求人倍率はここ10年で1.0ポイント以上あがっており、転職市場の「転職したい転職者」と「求人を出す企業」との関係が真逆になったと言えるでしょう。10年前は、転職したいと思ってもなかなか求人自体が見つからず転職の難易度も高かったですが、現在は転職したいと思えば引く手数多になることも珍しくはありません。

日本全体として、転職・求人市場の状況は転職者に有利な状況になってきています。

税理士の転職・求人市場動向

日本全体として、転職市場全体が売り手市場になっている中、税理士・会計従事者については日本全体の平均値以上に売り手市場になっています。その要因として次のようなことが挙げられます。

・税理士の労働人口の減少
・税理士法人の増加
・日本全体の景気が向上

税理士の労働人口の減少

税理士の平均年齢は60歳を超えており、年々志望者も減少しています。税理士試験受験者はここ10年で1万人以上減少しています。
それにより、そもそも若手・中堅の税理士が市場自体におらず、採用企業・法人側が血眼になって採用に動いています。

税理士有資格者のみならず、科目合格者や会計事務所従事者の転職市場にも影響を与えており、代表の税理士の方が高齢で、事務所を閉じるケースも増えてきています。その場合、従業員である会計事務所従事者はすぐに転職をせざるを得ない状況になります。

そうした不安と隣り合わせで働いている税理士や会計事務所従事者は常に税理士・会計業界の転職市場についてキャッチアップしておく必要があるでしょう。

また、税理士の労働人口減少の影響を特に大きく受けているのが地方です。
地方では東京以上に若手の税理士・会計事務所従事者が不足しており、誰もが名を知る大手税理士法人でさえ、採用に苦戦しています。

税理士法人の増加

設立が正式に認められてから20年を迎えようとしている税理士法人ですが、年々その数は増加しています。2,019年5月現在3,995の税理士法人が登録されており、ここ10年で1,500件近く増加しています。税理士法人が増えるということは、それに応じて必要とされる税理士・税理士科目合格者の数も増えており、税理士・会計事務所従事者の転職市場にも少なからず影響を与えています。

日本全体の景気が向上

日本全体の景気も、税理士業界の転職市場に大きく影響を与えています。
昨今のように景気が良くなると、一般企業の売上・利益が向上し、企業が支払う法人税の額があがるため、税理士の申告業務の負担が増えることになります。また、きちんと利益があがると、税務や会計人材に投資しようという傾向にもなります。企業内税理士や公認会計士が増えているのは、こうしたためといえるでしょう。

税理士の規模・業務別の転職・求人市場動向

税理士の転職市場全体について知っていただいた後は、税理士の規模・業務別の転職・求人市場動向について確認していただきます。

Big4・大手税理士法人の転職・求人動向

Big4・大手税理士法人は採用数自体は前年と同じぐらいとなる見込みです。
ここ数年は経験の浅い若手層の採用を積極的に行なっておりましたが、昨年ごろから経験者を中心に採用しています。
関東での選考難易度は相変わらず高いですが、地方は法人の規模の拡大にスタッフ数が追いついていない現状なので、 U ターンや地方でのキャリアアップを希望する方にはおすすめです。

中小税理士法人・会計事務所の転職・求人動向

中小税理士法人・会計事務所については、今後も積極的な採用が見込まれます。
大手税理士法人との違いとしては次のようなことがあげられます。

  • 急成長している法人が多い(常に顧客数が増加しており、スタッフを純増させている)
  • 一人が組織全体に与える影響が大きいので、お人柄面の相性も気にされる

急成長している法人は、スタッフを採用するために、きちんと一般企業なみの福利厚生を整えており残業時間も少ない(月10~20時間)のところが多いです。税理士はもちろん、勉強しながら働きたい科目合格者・税理士受験生にも非常にオススメの環境です。

特化型税理士法人の転職・求人動向

特化型税理士法人には、大きく二つあります。
相続・法人税等の業務特化の場合と、スタートアップや医療業界などの顧客特化の場合との二つになります。どちらも総合型の税理士法人に比べて、よりその領域に特化してサービスを提供でき、顧客満足度・収益性が高くなるため増加・拡大傾向にあります。

したがって、求人数・求人ニーズも急激に増えています。
相続を専門にしたい、将来独立したい、など、明確にキャリアプランが描けている税理士にとっては、特化型税理士法人に転職することで、キャリアアップや実現したいキャリアのための最短ルートを実現できるため、20代後半~40代の税理士法人・会計事務所経験者に人気です。

一般企業・コンサルティング企業の転職・求人動向

ここ数年、社内でスピード感を持って意思決定できるように、大手企業が続々と税務業務を内製化しており、一般企業で働く税理士も増えてきました。また、そうしたニーズにあわせて会計の中でも税務に専門性を持ったコンサルティング企業が増えてきています。

税理士・税務人材のキャリアとしては、少しアウトローな選択肢となりますが、一般企業の方が離職率が低く、より事業に近い立場で専門性を活かすことができるため、希望者自体も増えてきています。

求人ニーズは年々増えてきているものの、求人数自体は税理士法人での求人数に比べて少なく、選考難易度は高いため、明確なキャリアプラン・志望動機を持った上で選考に臨む必要があるでしょう。また、資格自体が査定に評価されにくいため、年収が一時的に下がる転職も多いですが、評価体制はしっかりしているため、毎年きちんと年収が上がりやすいです。

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税理士の転職に求められるスキル

業務内容別に見ても、転職市場で売り手の税理士・科目合格者・事務所経験者ですが、転職で求められるスキルは変わってきています。

税理士・科目合格者が転職で求められるスキルとは?

10年前までは、業界経験と資格(科目合格数)が評価に直結していました。
今はそれを含めて、次のような項目で評価されるようになってきています。

①税理士法人・会計事務所経験年数
②資格(科目合格数)
③組織カルチャーとの相性
④他業界での経験
⑤顧客との摂政・コミュニケーション能力

③については、法人数が増えてきている中、転職者・採用法人側の両方がお互いの雰囲気や働く人をわかった上でミスマッチを防ぎ、気持ちよく長期的に働ける環境を選択して頂こうという流れによるものです。
④と⑤については、税理士業界全体の影響を受けています。
単純な記帳代行・税務申告等の作業から、より経営に近い、財務分析・コンサルティングが求められるように税理士の役割が変わってきており、その中で顧客に還元しやすい、インターネットの知識や金融の知識などの他業界での経験・顧客ときちんとコミュニケーションが取れる能力自体も評価されやすくなってきました。

税理士・科目合格者が転職する際は?

税理士・科目合格者の転職・求人動向についてまとめてきましたが、実際に転職する際には、ご自身の今までの経験と今後のキャリアをきちんと整理する必要があります。
特に売り手市場だからこそ、自分にあった転職先をきちんと見定め、素早く意思決定することが求められてきています。

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この記事を書いたライター

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