経理関係の資格は実に豊富です。現在経理職についている人の中には、更なるキャリアアップを目指している人も少なくないでしょう。その場合に、ぜひ積極的に資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
そこで、今回は、経理に関する資格を一覧でご紹介します。「未経験から経理を目指す」「キャリアアップに役立つ」「グローバル企業の転職に役立つ」などの目的別に資格15選をおすすめしますので、ぜひお役立てください!
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まずは、未経験から経理関係の資格を目指したいという人のために役に立つ資格を紹介します。資格取得を勉強する中で経理の実務内容を理解できるので、未経験の方には特にぴったりのものと言えるでしょう。以下の資格一覧をご参考ください。
日商簿記2級は、会計や簿記に関する基礎的な知識を問われる資格です。具体的には、仕訳や決算整理、財務諸表の基本的な知識、税務に関する知識などが試験の内容となります。
簿記2級の試験情報や勉強の仕方については以下の記事をご覧ください。
FASS(Finance & Accounting Skill Standard:経理・財務スキル検定)とは、経済産業省の主導により2005年からスタートした新しい公的資格です。経理・財務分野の実務スキルを測りたいという企業の需要から開発されました。現在、伊藤忠商事や日産自動車などの日本を代表する企業が導入をしていることから、多くの企業が注目をしており、採用時に有利になる資格です。
以下は、FASS検定についてまとめた記事です。あわせてご参考ください。
ビジネス会計検定とは、大阪商工会議所が運営する公的資格です。ビジネスの会計分野で必要な財務諸表を読み解く能力・作成する能力が評価される資格試験です。ビジネス会計検定の資格取得のための勉強を継続すれば、財務諸表に関する数字から企業の課題や成長性などを理解しやすくなるので、経営戦略を立てたり会社の現状を分析するのに役立ちます。
ビジネス会計検定について詳しくまとめた記事が以下になります。ご参照下さい。
給与計算実務能力検定は、職業機能振興会が運営する公的資格です。給与計算についての基本的な知識、給与計算に関連する社会保険、労働法規に関連する法務の知識、所得税や住民税を中心とする税務上の知識が問われます。
それぞれの詳しい勉強方法のついてはこちらの記事をご覧ください。
法人税法能力検定は、全国経理教育協会が運営する民間資格です。法人税に関する税務処理や書類作成など基本的な知識を問う試験内容になります。
経理事務パスポート検定(Passport for Accounting Skill Standard)は、日本CFO協会とパソナが共同開発した民間資格です。経済産業省により発案された「経理・財務サービススキルスタンダード」に準拠したものです。
PASSの特徴は次の2点です。
まずは、FASSが幅広い経理・財務スキルを対象であるのに対して、PASSは派遣社員などの事務スタッフに必要な経理知識に範囲を限定しているという点です。現在、雇用形態が多様化していることもあって、正社員ではない雇用形態でも企業において活躍することが可能となっています。
上場会社は、金融商品取引法、会社法、証券取引所が定めた制度に基づき財務報告書の作成・開示が義務付けられています。財務報告実務検定とは、この作成・開示義務の責任を果たすための必要な人材としてふさわしいかを判断するための資格です。
日本でもコーポレートガバナンス(企業統治)の概念が浸透しつつあり、また株主や投資家と向き合った経営が求められる時代になっていることから、今後重要性の増す資格といえます。
建設業は、特殊な経理処理を必要とする場面が多いので、経理担当者には専門的な知識が要求されます。建設業経理検定は、その建設業経理に関する知識の向上を図ることで、建設業界の健全な発展を遂げることを目的とする資格です。
受験資格はなく1級から3級までに区分されていますが、中でも特に2級、1級合格者は経営審査事項の評価対象の一つとなるため、公共工事に参加する建設業者から注視されている資格です。
続いて、経理の転職や大手企業へのキャリアアップに役立つ資格を一覧で紹介します。もちろん経理未経験の人もチャレンジできるものですが、基本的にはすでに経理職を経験しているなど、ある程度の素養がある人が対象の資格です。
一般的に、経理の転職に最も役立つと言われている資格は、日商簿記検定1級です。例えば、先述したFASSのような新設の資格は、企業や面接官によってはまだまだ有効性が通じない可能性もあります。取得すれば一定の知識を身につけることはできるのに、資格の知名度が原因で転職などのキャリアアップの際に力を発揮してくれないのでは意味がありません。
これに対して、日商簿記検定は経理に関する資格としては知名度が抜群です。さらに、日商簿記検定の中における最高位である1級を取得しておけば、転職市場での自らの商品価値をかなり高めることができます。
簿記2級と1級ではどれほど内容や難易度が異なるのか、こちらの記事でご紹介しています。
税理士は、税務や会計業務の専門家になるための国家資格です。税金のスペシャリストとして税金の申告・納付、税務相談などを独占業務として専門に行うことができる資格です。
税理士資格と聞くと、ほとんどの方が税理士事務所などへの勤務が当然と思われるかもしれません。しかし、実は税理士資格の活かし方はそれだけに限られず、一般企業での活躍も期待できるものなのです。
というのも、先程も簡単に触れたように、現在は多くの一般事業企業で、企業内の経理・財務のレベルを上げる方向にシフトチェンジしています。自社内で経理・財務を高水準でこなせた方が、コスト削減にも役立ちますし、自社の経営施策方針と密接にリンクさせることができるからです。
そのため、税理士資格を取得したうえで一般企業に転職すれば、社内で一目置かれるような存在となり、責任の大きい仕事を任されるようになるでしょう。さらに、税務・会計を通じて会社全般の経営状況を把握できるので、経営者的な視点を養うことができるというメリットもあります。
税理士試験の概要については以下の記事をご参考ください。
経理関係の資格の中で、就職、転職、その他キャリアアップを目指す中で最も威力を発揮するのが公認会計士資格です。公認会計士試験という最難関国家試験に合格しなければ獲得できないもので、企業の監査業務を独占的に扱うものです。
試験科目は短答式試験で4科目、論文式試験は6科目。独学では難しいため、専門学校などを活用する方が多いです。
公認会計士試験の難易度については以下の記事もあわせてご確認ください。
最後に、経理としてグローバル企業への転職を狙う人のために、キャリアアップ時に役立つ資格を紹介します。ここまで紹介した日商簿記検定1級や税理士資格、公認会計士資格が役立つのはもちろんのこと、以下のような資格取得もあなたの転職の味方になってくれるものです。
米国公認会計士(USCPA)は、米国において各州が運営・認定する公認会計士の国家資格です。日本にいながら受験可能です。近年ビジネスのグローバル化が進み、企業の海外進出がもはや当然の状況なので、経理・会計は国際標準に準拠することが求められています。そのため、米国公認会計士資格の取得はグローバル企業で特に重要視される資格の一つと言えるでしょう。
また試験の科目としてはFAR(財務会計)BEC(ビジネス)REG(諸法規) AUD(監査 照明)の4科があります。
IFRS検定とは、英国の公認会計士協会であるICAEWが運営・認定する資格であり、世界的に導入されつつある国際会計基準(IFRS)に対する知識を問う試験です。USCPAやBATICとは異なり、日本語で受験することができるので、英語力に自信がなくてもチャレンジできるのが特徴です。
経理としてグローバル企業に転職したい場合には、TOEICのスコアでも英語力を証明することができます。特に、日商簿記検定1級にプラスしてTOEICで800点レベルのスコアを取得しておけば、経理スキルと英語力を同時にアピール可能です。
経理の資格の難易度がどのくらいなのかを、取得までにかかる期間、独学でも取得できるかに分類して解説します。
取得までに数年かかる経理の資格は以下の通りです。
・公認会計士
・税理士
・日商簿記1級
・BATIC880点以上
・米国公認会計士
合格率が10%前後の資格なので、働きながら資格の取得を目指す場合や、独学で資格の取得を目指す場合には、合格までに数年かかることも考えられます。転職活動中に取得する資格というより、将来の転職やキャリアアップのために取得する資格と言えるでしょう。
1年前後で取得できる経理の資格は以下の通りです。
・日商簿記2級
・ビジネス会計検定1級
・BATIC700点〜
合格率20~40%程度の難易度です。1年前後の勉強時間で合格できるでしょう。ただし、独学で勉強時間が不足していると、不合格になってしまう可能性もあります。通信スクールや資格予備校のカリキュラムを受講することをおすすめします。
独学でも取得できる経理の資格は以下の通りです。
・日商簿記3級
・ビジネス会計検定2・3級
・PASS(経理事務パスポート検定)
・法人税法能力検定
・給与計算実務能力検定
合格率60~90%の難易度です。独学でも短期間の勉強で十分に合格できる難易度となっています。転職活動中でも合格できる可能性があるので、資格をもっていなくて採用されるか不安な方におすすめの資格と言えるでしょう。
ただし、難易度の低さから、採用ではそれほど重視されていない点には注意が必要です。資格を取得していることによる評価より、勉強する姿勢に対する評価を期待しましょう。
それでは、以上のような経理関係の資格に挑戦するときに、どのようなポイントに注意して受験する資格を選べば良いのでしょうか?
まず大切なことは、どのような目的から資格に挑戦するのかを明確にすることです。具体的に言うと、「キャリアアップのためなのか」「自己啓発目的なのか」をはっきりさせておく必要があります。
前者のキャリアアップ目的の場合をより掘り下げると、昇進・昇級、社内の異動、転職の三つの目的に分けられるでしょう。ステップアップのためにどの資格を取得すれば効果的かを見極めたうえで、適切な資格を選択してください。
後者の自己啓発目的の場合は、自分が興味のある資格を選択するのがよいでしょう。興味があれば継続的な学習も実現できるはずです。
資格の中には、公認会計士試験のように受験資格を問わないものもあれば、税理士試験のように受験資格に制限がある場合もあります。受験勉強をはじめる前に、自分が受験資格要件を充たしているかを確認しましょう。
例えば、税理士試験を受験する場合、大卒資格がなければ、まずは日商簿記1級などを取得する必要があります。このプロセスを経る場合、有力な資格である日商簿記1級も取得できるというメリットがあります。また、USCPA(米国公認会計士)の場合、出願する州によって違いはありますが、大学で一定の会計単位、ビジネス単位を取得しておかなければなりません。
挑戦する資格の難易度は必ずチェックしましょう。どの程度の合格率なのか、合格水準に達するまでにどれぐらいの時間がかかるかを明確にしなければ、中長期的な資格挑戦は不可能です。
目標を明確にしたうえで、合格までのプロセスをしっかりとスケジュール管理しましょう。
挑戦する資格を取得するのにどれぐらいの費用がかかるのかも確認しておきましょう。独学で挑戦するのなら、教材費がポイントです。独学ではなく、資格予備校などを利用する場合には、授業料などを押さえましょう。
働きながら資格試験に合格するには、中長期的に意思を強くもって勉強に取り組む必要があります。毎日欠かさず勉強時間を確保しなければいけないので、独学だけではどうしても挫折してしまうリスクがあるでしょう。そこで、自己管理や時間調整が苦手な人は、通信スクールや資格予備校のカリキュラムを受講するのも有効な手段の一つです。
有名な大手資格予備校としては、大原やTACなど資格取得のための学校や、通信スクールのユーキャンなどが挙げられます。簿記2級といった初歩的な資格から上級者コースの資格まで多様なサービスが展開されているので、興味のある方はぜひご確認ください!
経理の採用では、簿記資格と実務経験が重視されています。経理の求人では、簿記2級の資格取得や2年以上の実務経験が設定されているケースがほとんどです。経理は専門性があり、ある程度の知識がないと仕事に取り組むことは難しく、採用されるのは厳しいと言われています。
特に簿記の資格は重視されており、簿記2級の取得は必須と言える資格です。経理への転職を有利にするために取得する資格を迷っているのであれば、簿記2級の取得をおすすめします。
経理への転職を目指す人の中には、「今すぐ転職したい!」「実務で働きながら専門知識を身につけていきたい!」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、経理業務には専門性が高いイメージがあるので、諦めてしまっている人もいるはずです。
しかし、資格取得者ばかりを募っている企業ばかりではありません。中には、未経験でも経理業務枠で採用募集をかけている会社はたくさんあります。
大切なのは学ぼうという意思と正確な仕事です。以下の記事は、そのような未経験の方に向けた「資格なしでも転職できるのか」を取扱ったものです。ぜひあわせてご確認ください。
以上が経理に関係する資格一覧です。どの資格を取得しても、経理業務のキャリアアップを実現することができるはずです。
この中で特におすすめしたいのが、経理の資格として代表的な日商簿記検定です。1級まで取得しておけば転職でも困ることはありませし、2級を取得するだけでも幅広い企業で求められる人材になれるはずです。
今後目指すキャリア志向が定まっている方は、自分のプランに適した資格にチャレンジしてください。まだ方向性が明確に定まっていない人は、まずは経理部門の専門性に触れるという意味でも日商簿記検定を糸口にしてみると良いでしょう。
いずれにしても、自分のやる気と継続する力が重要です。ぜひ今後のキャリア設計のために、役立つ資格を取得してください!
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