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予定納税をしたときの勘定項目や仕訳とは

HUPRO 編集部
予定納税をしたときの勘定項目や仕訳とは

個人事業主で、所得税の予定納税の対象となる方は少なくありません。
予定納税を計上する場合には、どの勘定科目を使用してどのように仕訳をすればよいのでしょうか。また、予定納税は経費に計上できるのでしょうか。
今回は予定納税をしたときの勘定項目や仕訳について解説していきます。

予定納税とは

予定納税とは、前年の所得税額が15万円以上などのとき、その翌年の7月(第1期)と11月(第2期)に、それぞれ3分の1に相当する金額を前払いで納税する制度です。

予定納税はするかしないかを選択することができず、通知が届いたら予定納税するしかありません。ちなみに、所得税額が15万円以上になるのは、年収がおよそ520万円以上くらいがめやすになります。

予定納税について知らなかった場合、予定納税の通知を初めて受け取ったときは驚くでしょう。ただ、予定納税をしないと延滞税の支払いをしなければならなくなるなどの不利益があるため、最低限の知識は備えておく必要があります。

とはいえ、予定納税はあくまでも税金の前払いですので、納税額が増えるわけではありません。減額申請をすれば減額できることもありますし、その年の実際の納税額が予定納税額よりも少なければ還付されることもあります。

予定納税については、国税庁のウェブサイトに詳しい説明がありました。そこから要点と思われる部分を抜粋したものが以下になります。

その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度があります。この制度を予定納税といいます。 予定納税額は、所轄の税務署長からその年の6月15日までに、書面で通知されます。 予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています。(特別農業所得者以外)出典:[国税庁|No.2040 予定納税]

予定納税の減額申請

予定納税の減額申請

予定納税の対象になっても、なんらかの理由で前年度の納税額よりも今年度の納税額が少なくなりそうな場合があります。

そのようなときは、一定の事由にあてはまる場合、減額申請によって予定納税額を減額させることができます。一定の事由とは、事業の廃業や休業や業績不振、災害や病気などです。

手続きとしては「予定納税額の減額申請書」を税務署へ提出して行います。この際、帳簿などの客観的証拠となる書類の提出が必要となります。減額申請が承認されれば、予定納税額が減額されます。

予定納税の還付申告

年度が終わったとき、結果として、実際に納めるべき金額よりも予定納税での納税額が多くなることが考えられます。

そのようなときは、還付申告(つまり確定申告です)によって、払いすぎた分を返金してもらうことができます。

還付の際、「還付加算金」という利息を受け取ることができます。還付加算金の利率は、以下に引用したように年度によって異なります。

利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合

平成26年1月1日から平成26年12月31日 1.9%
平成27年1月1日から平成27年12月31日 1.8%
平成28年1月1日から平成28年12月31日 1.8%
平成29年1月1日から平成29年12月31日 1.7%
平成30年1月1日から平成30年12月31日 1.6%
平成31年1月1日から平成31年12月31日 1.6%
※平成31年・・・2019年出典:[国税庁|延滞税の割合]

予定納税の仕訳で使用する勘定項目

7月や11月に予定納税をした場合で、事業用の預金口座からそれを支払ったときは、「事業主貸」勘定を使って仕訳します。

「事業主貸」勘定とは、経費計上できない税金(所得税や住民税など)や個人事業主の生活費などを、事業用の資金から支払った場合に使用する勘定科目になります。

ここで、事業用でない預金口座やポケットマネーから予定納税額を支払ったときは、仕訳する必要はありません。

予定納税をしたから仕訳をしなければいけないわけではなく、あくまでも事業用の預金口座の残高に変化があったことを記録するために仕訳をする、ということです。

予定納税は経費計上できない

予定納税は、経費に計上できません。所得税が経費として認められていないので、その前払いである予定納税も当然認められないからです。

所得税や予定納税のほかに、住民税や国民健康保険、国民年金、罰則的な意味合いの税金(延滞税や罰金など)も経費として認められません。これらの支出があったときは、「事業主貸」勘定で処理することになります。所得税や住民税が還付されたときは、「事業主借」勘定で仕訳します。

なお、個人事業税や固定資産税などの事業に関わる税金は、「租税公課」勘定で経費として計上できます。

予定納税の仕訳の例

予定納税の仕訳の例を以下でみてみます。

ケース1:第1期分の予定納税額を事業用の普通預金口座から支払った

税務署から届いた予定納税の納付書により、7月31日に第1期の予定納税額60,000円を、事業用の普通預金口座から現金を引き出して、金融機関の窓口で直接納付で支払った。

ケース2:第2期分の予定納税額を事業用の当座預金口座から支払った

振替納付(口座からの自動引落し)により、11月30日に第2期の予定納税額60,000円を事業用の当座預金口座から支払った。

ケース3:予定納税額を手元の現金で支払った

予定納税額を手元の現金で支払った場合は仕訳不要です。

まとめ

予定納税をしたときの勘定項目や仕訳について、解説してきました。

以下がこの記事のまとめです。
・予定納税とは、前年の納税額が15万円以上などの場合に7月と11月に前払いで納税するしくみである
・予定納税は所得税の前払いなので、経費にならない
・事業用の口座から支払った場合は「事業主貸」勘定を用いて仕訳をする

この記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。

また、法人税の仕組みや納付スケジュールなどにつきましては、こちらの記事も参考になります。

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