士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

経理の仕事で税理士資格は役立つ?転職市場の実情を解説!

HUPRO 編集部
経理の仕事で税理士資格は役立つ?転職市場の実情を解説!

現在、経理業務をされている方、中でも税務に携わる方であれば一度は税理士資格を取得することを考えたことがあるかもしれません。税理士資格を取得することにより、経理業務でステップアップできるのでしょうか?本記事で詳しく解説します。

経理への転職で税理士資格は役立つ?

税理士の資格を取得することで、経理への転職は有利になります。

税理士資格は誰もが知る難関資格です。資格を取ってステップアップ!ということを考えるにあたっては、取得する資格によってまるで役に立たない資格というものもありますが、税理士は国家資格でもあり、税務のプロフェッショナルであることを証明する資格です。科目合格者であっても転職要件になるほどです。

税理士になるためには、税理士試験に合格し、税理士事務所や会計事務所で2年以上の実務経験を積む必要があります。また、税理士試験は誰でも受けられるわけではありません。自利子試験を受験するためには、学歴や資格、職歴などによる受験資格を満たしている必要があります。

もし、これから税理士の仕事がしたい方であればもちろん税理士資格は必須ですし、経理業務でも税務に関わる仕事がしたい、ということであれば、税理士資格が役に立ってくれるでしょう。

ただし、税理士試験に合格するには、試験勉強に専念しても2~3年、経理として働きながらであれば5年ほどかかります。

《関連記事》

税理士資格で経理の年収はアップするのか

転職までは考えていないけれど、経理として働きながらで税理士資格を取る事で、出世や年収アップにつなげたい、そう考える方もいるでしょう。

税理士資格が経理の出世や年収アップに役立つかどうか。これは、その企業、もっと言うと経理部門のトップがどういう評価をしているかによります。

多くの会社では、税理士資格に対する資格手当を儲けているところもありますが、人事規定によります。税理士登録を行うのであれば、その資格手当は資格維持の年会費の支払い(10~15万くらい・地域によって異なる)で消えるでしょう。仮に年会費を上回ったとしても、毎月の給料に乗せられるその金額では、社会人の平均受験年数が10年ともいわれる税理士試験を突破した勉強量に見合わないと感じる方も多いのではないでしょうか。

例えば、自分の評価をする上司が、資格取得に対して好意的に評価する人であれば、税理士試験を突破したその努力と実力を評価することで、自身も資格手当だけでなく昇格して年収アップへの道が開けることがあるかもしれません。

しかし、そうではなく社内のコミュニケーションを重視し、専門性の高い部下をあまり好まないという管理職もまだまだ少なくはありません。大企業であればなおさら、大手会計事務所の監査が入りますので、知識は必要であったとしても、全員が資格持ちである必要はないからです。むしろ、税理士の資格があることで、自分の仕事の粗を発見されてしまってはかなわないと、冷遇する管理職もいたりと、なかなか厳しい現状が待ち受けている場合もあります。

組織が大きければ大きいほど、1人の人間が大きく評価されるということは少ないという場合も多いにあります。出世や年収アップにつながる社内評価を得るためには、資格取得よりも社内のネットワークや上司との良好なコニュニケーションが重要となってきます。

税理士資格という大きなスキルを手に入れても、日本の大企業であれば基本的に年功序列であり、上司の評価(=気に入られるかどうか)がほぼ全てという会社も中にはあります。

例えば、周りに特にスキルが高くもなく、資格があるわけでもないのに、昇進が早い同期や後輩はいませんか?
異動や上司の当たり運が良ければ、早い段階で気に入られて高評価をもらい、若くてもどんどん昇進していく一方、入社すぐの上司の当たり運が悪いと、スキルをどんなに積んでも「使いづらい社員」と低い評点を付けられてしまって、その後によほど自分を評価してくれる上司にでも巡り合わないと、挽回が難しいというのが現実です。

経理から企業内税理士を目指す場合

企業内税理士とは、企業に所属する税理士です。資格の性質上、経理部等の会計関連の部署に所属することになります。企業内税理士と税理士ではない経理では、基本的に行う業務に違いはありません。ただし、財務担当か経理担当か決める際は迷わず経理担当として配属されるでしょう。

経理担当として働き続けても、一部の業務のみを担当していただけでは、管理部長や経理担当取締役のように管理全体を任せられるようになるとは限りません。しかし、企業内税理士であれば、管理も含めた一連の流れを知識として持っていると判断されます。最初は一経理担当者としての配属だったとしても、将来的には管理系の部長やCFO等重要なポジションを任される可能性があります。

《関連記事》

外資系企業の経理なら税理士資格を活かせる

今の職場で、税理士資格を持って働いている人が優遇されていないということであれば、頑張って税理士試験を突破しても、自分を活かせる場所ではないかもしれません。

その会社は安定しているかもしれませんが、せっかく難関資格を取得するのであれば、自分を正当に評価してくれる場所で働きたいと思いませんか?

例えば、多くの外資系企業であれば、年功序列ではなくジョブ型の採用を行っているため、資格を持っていることは強みになります。専門資格で良いポジションにつくことができる可能性が高いのです。

また、いずれは独立を考えているとしたら、税理士事務所での実務経験は不可欠です。というのも、会社の経理でも実務経験として税理士登録はできますが、実際の実務は会社の経理では学ばないことも多く、将来のクライアントである中小企業や個人事業主の実務とはまた異なるからです。税理士としての仕事は、たくさんの決算業務をこなすことになりますが、企業にいるままだと、年に1度の自社の決算のみなので、ある意味ルーティンワークです。また、人事部門などでの年末調整や給与計算などの業務も学ぶ必要があります。

税理士資格以外に経理の仕事に役立つ資格

経理としてキャリアアップ・年収アップを狙ったり、経理への転職を有利にしたりする資格は、税理士資格だけではありません。

税理士資格以外に、経理の仕事に役立つ資格は以下の通りです。

・日商簿記検定
・FASS(経理・財務スキル検定)
・ビジネス会計検定
・給与計算実務能力検定
・公認会計士

資格の取得にどのくらい時間をかけられるのか、独学での資格取得を目指すのかなど、自身の状況に合わせて取得する資格を検討しましょう。

税理士以外に経理の仕事に役立つ資格については、下記のコラムで詳しく紹介しています。是非あわせてご覧ください。
《関連記事》

まとめ

転職時には年収や待遇が気になるものだと思います。これからの税理士キャリアを考えてみた時に、もし現在の条件だけで資格を活かせないような職場にいるのであれば、せっかく取った資格も宝の持ち腐れになってしまいます。
ぜひ転職エージェントを活用して、税理士資格を評価してくれる職場を探してみましょう。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:転職・業界動向

おすすめの記事