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監査法人の役割とは?業務内容や年収まで基礎から徹底解説!

ヒュープロ編集部 川辺
監査法人の役割とは?業務内容や年収まで基礎から徹底解説!

監査法人という言葉を聞いて、具体的なイメージが浮かぶ方は多くはないかもしれません。そこで今回は、難関国家資格として知名度が高い公認会計士の試験合格者について、具体的な業務内容や社会的な役割、高いと言われている年収事情、就職する方法まで、基礎的な部分からわかりやすく徹底解説していきます。

監査法人とは?

監査法人とはその名の通り、監査業務を主たる業務として行う法人を指し、公認会計士が5人以上在籍していることが設立の条件となります。「監査業務」「公認会計士」について、それぞれ解説していきます。

監査業務

監査業務と言われてもピンと来ない人も多いかもしれません。監査業務とは企業の財務諸表や様々な事象について誤りや違法性がないことをチェックし、証明する業務のことです。
監査にはいくつか種類がありますが、社外の第三者による監査を「外部監査」、監査を実施する企業の社員が行う監査を「内部監査」と呼びます。なお、監査業務は公認会計士の独占業務と定められているため、公認会計士以外が実施することはできません

外部監査

監査の中でも社外の第三者が実施する監査は「外部監査」と呼ばれます。監査は、資本金が5億円以上または負債が合計200億円以上の企業については、受けることが義務付けられています。一方でその他の企業については、任意で行うものとされています。

監査法人に所属する公認会計士が行う会計監査は、企業にとっては第三者によって実施される監査なので外部監査にあたります。

内部監査

内部監査は監査を実施する企業の社員などによって行われる監査のことを指します。
社内の問題を未然に防ぐことで、健全な経営を持続させることを目的に実施されます。よって、内部監査は監査法人の業務には該当しません。
外部監査と同じく、特定の企業には実施する義務があります

公認会計士

公認会計士は公認会計士試験に合格したのち、実務を2年以上経験するなどの所定の条件をクリアすることで得られる国家資格であり、会計のプロフェッショナルとして監査を行います。
公認会計士は非常に難易度が高い資格で、2023年の公認会計士試験の最終合格率は7.6%でした。この試験に合格した非常に優秀な方が有資格者を名乗って業務にあたることができます。

先ほどご紹介したように監査業務は公認会計士の独占業務にあたりますので、監査法人など外部監査を行う監査人も、内部監査を行う企業内の監査人も、公認会計士でなくてはなりません

監査の重要性

監査の意味は分かったところで、監査が一部の企業に義務付けられるほど重要な位置付けである理由を解説します。

それは大企業や上場企業といった利害関係者の多い会社においては、決算書に誤りがあった際の影響力が大きく正確性や信頼性を担保する必要があるからです。事業会社から独立した立場である監査法人が監査を行うことで、その企業の財務諸表の信頼性が上がり、金融機関や投資家などが投資を行うための指標にもなるのです。

どうしても発生してしまう人為的なミスだけでなく、意図的な不正や粉飾を未然に防ぎ、投資家(株主)や取引先が安心して企業とやり取りできるようにするために、信頼性の構築は企業にとって看過できない重要なミッションなのです。
資金調達やIPOなど重要な局面を迎えている企業は円滑に事を運ぶことために、より重視する必要があるポイントです。

監査法人の仕事内容

監査法人は公認会計士法に基づき、会計監査を行う法人のことを言い、
もちろん監査業務が主たる業務ではありますが、
他にもさまざまな業務があり、それらを非監査業務と呼びます。それぞれ具体的にどのような仕事を行っているのか、見ていきましょう。

監査業務の流れ

監査契約前の予備調査(ショートレビュー)

事業会社が監査を行うには、まず監査法人との契約締結のための予備調査を行う必要があります。
予備調査は、簡易的な監査のような形で行われ、意図的な粉飾決算や違法な取引等がある場合などは、監査契約を断られることがあります。

監査の実施

予備調査の末、監査契約を結ぶことができれば監査業務をすることができます。財務諸表など数字的な情報だけでなく、マニュアルや実際の職場を確認して、問題のない業務遂行がなされているのかをチェックする、業務監査も行う必要があります。
企業側の予備調査ももちろん重要ですが、監査法人も監査を行うにあたって、不正不変の態度を保持する「精神的独立性」と、特定の利害関係を有さず、その疑いを招く外観を呈さない「外観的独立性」が強く要求されています。

非監査業務(コンサル業務)

非監査業務とは、会計監査以外の業務で企業に対して会計や財務に関するアドバイスをするコンサルティング業務を言います。財務コンサルティングや、M&Aのアドバイザリー、企業再生アドバイザリー、株式上場を目指す企業に対してのIPO支援などを行います。
クライアントの課題解決を目的として、企業の支援を行います。

監査法人の種類

続いて監査法人の種類についてご説明します。監査法人は、規模によって大手監査法人、準大手監査法人、中小監査法人と分かれます。

大手監査法人(Big4)

有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCあらた監査法人の4法人は「四大監査法人」「Big4」と呼ばれます。
日本のBig4は世界四大監査法人との提携関係にあります。世界四大監査法人には、「KPMG」、「アーンスト&ヤング」、「デロイト トウシュ トーマツ」、「PwC」があり、日本のBig4がそれぞれに連携しています。

これらの法人が上場企業の約8割の監査を受け持っており圧倒的な規模感ではありますが、それだけれはなく業績の良さクライアントの多様さでも群を抜いており、公認会計士になった人の就業先として非常に人気が高いです。

中小監査法人

大手監査法人「以外」のすべての監査法人が中小監査法人にあたります。
クライアントの規模等は小さめになりますが、入社後早い段階から多くの業務を経験できたり一人当たりの裁量も大きくなるなど、Big4では得られないスピードで成長していくことができます
公認会計士としてより早く成長をしたい裁量権を持って実務をこなしたいという方におすすめです。

監査法人と公認会計士事務所の違いは?

初めにお伝えした通り、監査法人は公認会計士が5人以上在籍していることが設立の条件です。一方で公認会計士事務所は公認会計士が1人いれば開業可能です。公認会計士が1人で従業員を持たずに事務所を運営しているケースもあります。
また、公認会計士は税理士資格も免除になるのですが、公認会計士事務所はそれを活かして、税理士としての税務コンサルなどの業務がメインであることが多いです。

監査法人の年収

監査法人の年収は、年齢よりも公認会計士の資格や、監査法人での勤務経験の有無によっても大きく変わってきます。監査法人の年収は日本の全国的な水準よりも比較的高い傾向です。会社の規模によっても変わりますが、監査法人の役職ごとの平均的な年収は以下の通りです。

スタッフ(1~4年目)…約400~600万円
シニアスタッフ(5~8年目)…約700~800万円
マネージャー(9~14年目)…約800~1,000万円
パートナー(15年目~)…約1,500~2,500万円

それぞれの役職における年次は参考程度ですが、
1年目から約400〜600万円も年収があるというのは、日本の平均年収から比べてもかなり高いだということがわかります。

監査法人で働くメリット・デメリット

監査法人の業務内容やその種類についてはある程度分かってきたと思いますが、特に監査法人での就職を希望している方にとっては監査法人で働くメリットやデメリットは気になるところでしょう。それぞれ見ていきます。

監査法人で働くメリット

監査法人は公認会計士の就職先として最も大きな割合を占めています。その理由は会計士試験勉強の際に身に着けた知識を最大限に活かしてキャリアを積めることにあります。

それだけでなく、公認会計士資格に対する資格手当が最も手厚い就職先と言われているため、先述の通り、年収が同年代の平均より高めになることが多いです。

監査法人で働くデメリット

一方で、場合によっては懸念点になるような要素もあります。
監査法人は基本的に業務量が多く、ハードワークであることが多いです。経験を積んで高い成長速度を維持できる反面、常識の範囲内ではありますが残業も覚悟しなければなりません。

また、会計監査の役割の大きさは広く認知されている一方で、監査される側は間違いや不正を正される立場にあたるため、当人からの謝意を伝えられることは少ないです。もちろんその企業からの感謝は大きいものですが、それを認識できず監査対応の担当者からの苦言を受けると、「何のために仕事をしているのか…」と思ってしまうこともあるようです。

監査法人に就職するには

監査法人に就職するには公認会計士試験に合格している必要があります
公認会計士試験のスケジュールに合わせて、監査法人の定期採用も行われるので、スケジュールはしっかりとチェックしておきましょう。
具体的には、公認会計士試験の合格発表後の11月中旬ごろに、説明会や面接などの就職活動が始まります。

<監査法人の就活スケジュールイメージ>
11月中旬      公認会計士試験 合格発表
11月中旬      説明会の予約開始
11月末       面接等の予約開始
11月末~12月初旬  1次面接
11月末~12月初旬  2次面接
12月初旬      内定

上記を見ていただければわかるように、監査法人の就活は2週間〜3週間程度の短期戦です。
公認会計士試験の合格後、短い期間内で面接対策などをしっかり行うことが、監査法人への就職を成功させるカギとなってきます!

面接に向けて志望動機を固めよう

前述のように、監査法人への就職はいかに短い期間できちんと書類の作成や面接対策を行えるかということに懸かっています。監査法人への就職を考えているのであれば、試験の合格発表よりも前から、事前にエントリーシートの作成や志望動機を固めておくことをおすすめします。
特に、志望動機を固める上で大切なのが、数ある監査法人の中からなぜその監査法人を選んだのかということです。
前述のように、監査法人にはBIG4系や独立系などさまざまな形態があります。
それぞれの特徴をきちんと把握した上で、自分がなぜその監査法人に入りたいのかということを考えておきましょう。

自己PRの方法を考える

応募先の求人や監査法人の特徴を分析することで、その監査法人がどのような人材を求めているか把握できるようになります。その人材に必要な能力を更に分析し、自分に何ができるか考えてアピールするのが良いでしょう。
また、志望動機や自己PR以前に社会人としてのマナーもきちんとチェックしておきましょう。服装や、話し方、言葉遣い、表情など、基本的な事項も徹底しておく必要があります。

人材エージェントを活用する

本来、公認会計士はとても価値の高い資格なので、持っているだけでかなり就職や転職においては有利です。その一方で、監査法人を目指す方の多くが公認会計士を持っているため、上記のようなポイントも含め、しっかりと選考への対策をしておく必要があります。

ですので、人材エージェントを活用して綿密な選考対策を行い、ミスマッチの無い法人に応募していくのがオススメです。当社ヒュープロは士業・管理部門に特化しているため、詳しい業界情報や、この業界での選考通過率アップの秘訣もお伝えすることができます。

まとめ

今回は、一般的にはあまり馴染みがないと思われがちな監査法人の仕事内容について解説してきました。実は、私たちの生活に深くかかわる仕事だということがお分かりいただけましたでしょうか。また、監査法人での仕事は「単調でつまらないように感じる」といったことを言われることもありますが、とても複雑で大変な仕事の分、やりがいのある職業であることは間違いありません。
これから監査法人への就職を目指す人にとっても、この記事が参考になれば幸いです。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!ご相談はヒュープロ公式Xまでどうぞ!
カテゴリ:転職・業界動向

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