経理はどの企業でも必要な業務であることなどを理由に、転職しやすいと言われています。
しかし、これは本当なのでしょうか?本記事では、経理職が転職しやすいと考えられる理由から、実際に転職する際の注意点も踏まえながら解説していきます。経理で転職をご検討の方は是非ご覧ください。
結論から申し上げますと、経理職は転職しやすいと言って間違いないでしょう。
経理の経験があって別の企業の経理に転職したいという方はもちろん、業務経験が無い方の転職も比較的しやすい職種です。
経理職への転職がしやすい主な理由として、下記が挙げられます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
経理は企業の業種や規模に関係がなく、基本的な仕事内容はほとんど変わりません。そのため、別の企業の経理に転職したとしてもこれまで培ってきたスキルをすぐに活かすことができます。
企業からしても一から業務を教える必要がない為、教育コストが削減できたり、即戦力としての採用がしやすいというメリットがあります。
どの企業もお金を扱うため、経理という職種はなくてはならないポジションです。もし欠員が出たら、確実にその業務ができる人を配置しなければなりません。企業内にその穴埋めをできる人がいなければ、採用しなくてはならないでしょう。
必ずしも全ての企業が経理職の人材不足に悩んでいるというわけではありませんが、ニーズが高い分、募集している求人数も多いのです。
経理では、日商簿記をはじめとした会計に関する資格が実務に活かしやすい傾向にあります。そのため、他の業界では実務経験が無いだけでかなり転職に成功しづらいケースが多いですが、経理職では資格の保有状況によっては未経験からでも転職できる可能性が十分にあるのです。
また、極端に難易度の高い資格だけが活かせるというわけではなく、初めて学習する人が1年以内に取得可能な資格でも十分に活かせるのも、経理職が転職しやすい職種である理由の一つでしょう。具体的にどのような資格が活かせるのかについては後述します。
経理は、女性が転職しやすい職種でもあります。女性は結婚や出産などのライフイベントでキャリアに悩むことが多く、気軽に転職できないこともあるでしょう。
そんな女性にとっても経理が転職しやすい職種である要因としては、以下が挙げられます。
これらの特徴と女性が働きやすいことの関係性について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
経理で得た経験やスキルは経理以外の職種にも応用することができ、そういった点でも転職しやすいといわれています。ここでは経理から転職がしやすい別の職種をご紹介します。
経理の経験が最も活かせるその他の職種と言えば、会計事務所が当てはまるでしょう。会計事務所は、本来は企業や個人のクライアントが行う経理業務や税務業務を代行し、報酬を受け取るというビジネスモデルです。
つまり、経理経験者が会計事務所に入社した場合は、自分の企業の経理を担当していたのが、他の企業の経理を代行するという形に変わるだけ、ということになります。先述したように、経理はどの企業でも大枠の仕事内容は変わらないため、会計事務所でもこれまでの経験を存分に活かしながら働くことができるでしょう。自社の経理だけを扱うのではなく、多様な業種や規模の経理を担当できるので、また違ったやりがいや面白さが見出せるでしょう。
経理は数字に強いので、店舗経営や販売、営業に向いています。特に経理は意外にも金融機関との関わりが多く、コミュニケーション能力や交渉力が身についているので、転職後もこれらを活かして働いていくことができるでしょう。
経理は、予算管理や資金計画といった経営に関する業務が多いです。常に経営に携わって働いているため、その経験から広い視野で会社を見るといったスキルが自然と身についています。このような力があれば管理職として抜擢されることも多いでしょう。
特に20代、30代の経理職の方ですと将来の経営幹部候補として採用されるケースも多いです。
経理の仕事というのは事務仕事が中心であり、Excelなどの事務ソフトを使いこなせるスキルが身についています。そして、電話対応や文書作成によって、ビジネスマナーも心得ています。そのため、経理から一般事務や総務への転職もスムーズに行えるでしょう。
経理職は、業務が立て込んで忙しくなる繁忙期とそうでない閑散期がしっかりと分かれているという特徴があります。経理の求人もこの時期に連動して増減する傾向にあります。
まず、繁忙期やそれに差し掛かる時期である12月~5月は全体の求人数は減少します(3月決算企業の場合)。なぜなら、入社した方に対してのフォローアップや研修などに経理担当者が担当しきれないからです。
ただし、経理経験者を募集する求人に限って言えば積極的に募集している企業も多いです。経理経験者であればフォローアップは最低限で済みますし、業務に関する研修も必要ないでしょう。また即戦力として、繁忙期の膨大な業務をこなす活躍を期待できるため、この時期は特にニーズが高くなります。
その一方で経理として働く方は、繁忙期には仕事に忙殺されて転職活動どころではない、というケースも多いでしょう。その結果この時期は、ニーズの高さに対して、経理経験のある求職者は少ない状態になります。
そのため、この時期に入社可能できる貴重な経理経験者を採用するために、求人の年収を引き上げたり、リモートワークなどの柔軟な働き方を可能にする企業が増えます。
つまり繁忙期は、求人の数自体は少ないものの、この時期に転職できる経理経験者にとっては絶好のタイミングと言えるのです。
閑散期は繁忙期以外の期間、つまり3月決算の企業であれば6月~11月が該当します。この時期は入社する方への受け入れ態勢を万全にできる企業が多いため、全体の求人数は増加します。
この時期は、特に未経験者が転職活動をするのにオススメの時期といえます。全ての企業が経理職の求人で未経験者を募集しているわけではないものの、この時期は業務量が落ち着いていて研修などに時間がかけられるため、未経験者向けの求人が多く掲載されます。
ただし、繁忙期に近づくに連れて徐々にその数が減っていくのが通例なので、繫忙期が明けてすぐの6,7月に活動を始めるのがオススメです。
また、ここでは日本の多くの企業が採用している3月決算の場合について見ていきましたが、応募を検討している企業が他の月を決算月としている場合はその分時期がズレることになりますので、注意しましょう。
以下の記事では、経理職に未経験から転職する難易度などもし解説していますので、併せてご覧ください。
経理の転職で実務経験とともに重要視されているのが、資格の保有状況です。ご紹介したように、決して取得に時間がかかる資格でなければ活かせないわけではないので、特に未経験からの転職の場合は、以下の資格を取得した上で転職するのがオススメです。
履歴書や面接でこの資格をアピールすれば、どれだけのスキルがあるのかすぐに理解してもらうことができ、転職に有利になります。また、企業の求人で求められている資格やスキル(例えば連結決済経験者)などが明確なため、募集企業の求めるスキルが分かりやすく、応募もしやすいことも利点の一つです。
経理職への転職に活かせる資格について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
経理のスキルを活かすことができる仕事について、転職エージェントに相談をすることもおすすめです。近年の転職市場の動向や、候補に上がった仕事の年収などを教えてもらうこともできます。
また、転職エージェントに相談することにより転職市場においての自分の価値を客観的に知ることができ、今は転職をせずに資格取得に専念すべきだとか、今は実務経験を積んでおいた方が後々有利だ、といったこともわかります。
経理が転職をする際に気をつけておきたいことを解説します。転職を考える際には、このような転職の注意点といえる部分についても、よく考えておく必要があるでしょう。
経理のスキルがあると、多くの転職先が見つかります。会計事務所などであれば、1年中求人募集をしているところもあります。しかし、安易に転職をしてしまうと、思っていた職場じゃなかったとなり、再び転職を繰り返すジョブホッパーになってしまいます。
転職するたびに転職先の会社のグレードが下がることもありますので、慎重に転職先を選んでください。
また<何度も転職を繰り返していると、採用する企業する側も採用してもまた転職してしまうのではないかと感じ、採用を見送ってしまうケースもあるので注意が必要です。
転職に失敗しないために重要なことは自分の目指す方向性と転職活動の軸をしっかりと自分の中で持つことです。
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先ほどから、経理のスキルをもっており、さらに資格を取得していれば転職に有利だとお話してきました。ただ、なんでもかんでも資格を取得すればいいというものではありません。やはり1つの分野を決めて、その分野に関する資格を取得した方が良いです。そうでないと、たとえ難易度の高い資格を取得していても、この人は何を目指しているのだろうかと一貫性のなさがマイナス評価になり、選考で落ちてしまうケースがあります。
経理職は実務経験も重要視されます。資格勉強に専念するのもいいですが、未経験であれば未経験でも採用してくれる企業を見つけ、経験を積んだ上で本格的に転職活動をするのも選択肢の一つです。
経理職は転職が他の職種に比べてしやすいです。今回の記事では経理で働いていると転職がしやすい理由、他職種にでも転職が可能な理由、そして転職の際に気をつけるべきことなどを解説していきました。
転職の際には経理や財務で得た知識をさらに積みたいのか、それとも違う道で活かしていきたいのか、自分の目指すキャリアプランをよく考えて転職活動をするようにしましょう。