公認会計士は弁護士、医師と並ぶ三大国家資格の一つで、最難関の公認会計士試験に合格しなければ監査という専門性の高い職責を全うすることができません。それだけに、合格したらそれなりの高収入は期待できそうですよね。
そこで、この記事では、公認会計士はどれくらい稼げるのか、その年収について解説したいと思います。実際に大手監査法人においてマネージャーとしての勤務経験がある公認会計士の経験談をもとに年齢別、役職別の年収実態にも触れるので、公認会計士の生活レベルを知るのに役立つでしょう!
公認会計士は、三大国家資格の一つともいわれる非常に取得難易度の高い資格です。
それだけ難易度の高い資格への挑戦をするにあたって、果たして年収は高いのか?というのは気になるポイントの一つかと思います。
結論から申し上げますと、公認会計士の年収は一般的な平均年収と比べても高いと言えるでしょう。
それでは、実際にどれほど高いのか、また年齢や役職によってどのように変わっていくのかを次の項目で見ていきましょう。
公認会計士の年収が高いのかということを判断するために、まずは日本の一般的な平均年収と比べて見てみましょう。厚生労働省のHPによると公認会計士の平均年収は約746万円で、日本の平均年収である461万円に比べると、約300万円ほど高くなっております。
また、これはあくまで平均年収ですので、高年収の基準ともいえる1,000万円も狙うことができます。
また、1年目の平均年収で比較してみても、公認会計士の場合平均500万円、一般的なサラリーマンの平均年収は422万円となり、1年目から約80万円の差があります。
参照:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況
参照:日本公認会計士協会 公認会計士よくある質問Q&A
公認会計士は男女で年収の差がありません。公認会計士は資格があって成り立つ専門的な職業ですので、男女の仕事内容の差も待遇の差もありません。
男女関係なく、仕事の実績でキャリアアップを目指すことができるので、女性も働きやすい環境と言えるでしょう。
実際に上記のような公認会計士の年代別の年収データはあるものの、それを鵜呑みにして自身に当てはめるのはあまり意味がないといえます。
なぜなら公認会計士の年収は年齢よりもスキルや経験によって変わるからです。
もちろん一般的には年代が上がるに連れて経験年数も増える傾向にあるので、年収も上がります。しかし実務未経験の方はその年代別の年収データほどの年収をもらえるわけではないのです。
一般事業会社に就職する場合と同じように、公認会計士の年収も、キャリアのどの段階かによって大きく異なるものです。まずは、多くの公認会計士が働く監査法人の役職について解説します。
一般的に、監査法人に所属する公認会計士は以下のような職階に分類されます。この職階に応じて年収や与えられる仕事内容も異なります。
この監査法人の職階を一般企業に当てはめると以下のようなイメージです。
20代前半で公認会計士試験に合格した場合、それぞれの職階と年代を合わせると以下のようなイメージが合うと思います(20代後半で合格された方は、その分ずれると思ってください)。
役職別の年収は、所属する監査法人や公認会計士としての経験年数、任される仕事の責任に応じて変動はありますが、おおよそ以下のような年収イメージで差支えありません。
スタッフの公認会計士の年収は大体550万円~600万円(残業代込み)程度です。入所してすぐに500万円以上の年収を手にすることができるので、同年代のサラリーマンよりもかなり稼げると言えるでしょう。
スタッフは、主に現場で決められた監査手続を黙々とこなしていきます。決められた監査手続とは言っても、クライアント企業の監査に関わる重要なものなので手は抜けないですが、諸先輩に教えていただきながら、業務を進めます。
シニアスタッフの公認会計士の年収は大体600万円~800万円(残業込み)くらいです。
シニアスタッフになるとインチャージ(現場責任者)と呼ばれる業務に就くのが一般的です。担当企業の会計処理の検討の他、スタッフの進捗管理やクライアントとの折衷、マネージャーへの報告など、毎日やることが多く、監査法人の職階の中で一番大変な時期だと思います。
多忙に仕事をこなすと同時に、当然ながら、会計の勉強も必要になってきます。会計のプロフェッショナルと呼ばれるためには何としてもこの時期を乗り越えなければなりません。
マネージャーで大体800万円~1000万円、シニアマネージャーで大体1000万円~1200万円です。
シニアスタッフやスタッフは残業代がつきますが、マネージャー以上は管理職という位置づけになるので残業代はつきません。複数のクライアントを担当し、仕事量もかなり多いです。精神的にしんどい時期になりますが、その分高年収が期待できます。
これまでの努力が評価され、晴れてパートナーまで昇進することができれば、パートナーになりたての頃でも1,200万円~1,500万円くらいです。大手の有名企業を担当するようになれば2,000万円を超えることもあり得ます。
責任は大きいですが、作業自体はシニアマネージャー以下が責任をもってやるので、その報告内容を聞いて、監査報告書にサインするという流れで業務を行います。また、パートナークラスになってくると、監査法人における業務以外にも、外部の講演会や大学の非常勤講師、執筆活動なども行う人もいます。それらの仕事も収入に反映されると、2,000万円以上は確実に得ているでしょう。
それでは、上記で説明したような職階の流れでどれくらいの年数で昇格し、給料が上がっていくのか見ていきましょう。
会社や職種によって変わる部分もありますが、平均的に7年目ではもうすでに約1,000万円の年収となることがわかります。
また、監査法人に就職した場合、明確なポジション制度に則って昇格のステップを踏むため、年収の昇給も非常にわかりやすい構造となります。
これまで、監査法人に正社員として就職した場合の公認会計士の年収を見てきましたが、仮に監査法人の正社員以外で働いた場合、年収はどのように変わるのか就職先ごとに解説していきます。
公認会計士の資格がある場合、一般事業会社でインハウスの会計士として働くこともできます。近年、一般事業会社のコストカットの意識と企業の内部監査システム構築の要請の強まりから、自社内に公認会計士資格保有者を雇用するケースが増えています。
一般事業会社に勤務する場合、その人の経験年数と該当する会社の規模やポジションによって大きく異なるというのが実情です。
例えば、誰もが知るような大企業に公認会計士資格保有者として就職する場合は、同じくらいの年齢の職員にプラスして資格手当が与えられる程度と考えてください。とはいえ大手企業の年収水準は高いので、30代で1,000万円程度の年収は確保できるでしょう。
また、IPO準備中の会社に就職する場合には、経理部長や経理担当取締役として迎えられることが多いです。
これから上場を目指すため、他の従業員の平均年収はそれほど高くはありませんが、経理部長以上の待遇での採用となるため、700万円~1000万円あたりでの募集が多くなります。また、上場に成功した際に株式を保有していた場合はキャピタルゲイン等のメリットを享受できる可能性はあります。
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公認会計士の資格は税理士の資格も兼ねているため、税理士法人や会計事務所で働くということもできます。事務所の規模感にもよりますが、会計事務所での勤務となると、監査法人に比べて年収が下がってしまうことがほとんどでしょう。
公認会計士の就職先として、FAS事業を行っているコンサルティングファームも挙げられます。他の就職先に比べ比較的給与水準も高く、キャリアを積んでいけば年収数千万も期待できるでしょう。しかしながら、コンサルティングファームでの勤務はかなりハードワークなこともあるので、ワークライフバランスを重視する方にはあまりお勧めはできない職種です。
投資銀行や保険会社など、会計士を募集している金融系企業がたくさんあるため、金融機関での勤務も会計士の転職の一つの選択肢となります。
金融系企業の会計士の年収は約600万~1200万円ですが、企業や役職によって、まちまちです。一般企業の企業内会計士として勤めるよりも比較的高い水準ではあるものの、投資銀行などは激務である可能性が高いので、働き方を重視する方は年収だけにとらわれず、転職先を探してみたほうがいいかもしれません。
公認会計士は必ずしも監査法人にフルタイムで勤めなければならないわけではありません。
ライフワークバランスを大事にしながら働きたい方には、「非常勤」という働き方があります。会計士の非常勤は、監査法人もしくは本人の希望に基づいて勤務日数が決まります。
非常勤の場合の報酬は、スキルによっても変わりますが、だいたい時給4,000〜10,000円ほどと言われています。時給換算して、これほどもらえるのであればかなり良い水準であると言えるでしょう。
公認会計士のキャリアとして独立開業があります。独立している公認会計士の年収は1,000万円~3,000万円と大きな幅があるのが特徴です。これはあくまで平均値に近い数字であり、実際は100万円程度の人もいれば、5,000万円以上の人もいるのが現実です。
この差をつける要因となるのは、公認会計士としてのスキル以上にクライアントを獲得する営業力やプロモーション能力、一企業を運営する経営力などの有無です。収入の安定性は無いものの、資質や努力次第では超高年収を実現できるのがメリットといえるでしょう。
これまで、公認会計士の年収についてや職場ごとの比較を見てきましたが、公認会計士が年収アップを目指したい場合はどのようなプランがあるのか、解説していきましょう。
まずは、オーソドックスに監査法人で昇格していくという方法です。
先ほどご紹介したように、監査法人の職階はかなり明確でキャリアステップの計画を描きやすいのが特徴となります。業績の評価を得て、勤務年数と共にキャリアステップを踏んでいけば確実に年収をアップさせることができるので、安定的に年収をアップさせるにはとても良いでしょう。
先ほどもご紹介しましたが、公認会計士の資格は税理士資格も兼ねているので、税理士事務所を開業することができます。大手監査法人と年収が変わらないこともありますが、個人で業務を遂行することができるため、業務量の調節もでき、ワークライフバランスを保つことができます。
公認会計士の年収は、就業先によって大きく異なってくることも事実です。例えば、BIG4系の監査法人に勤めた場合と、小規模監査法人に勤めた場合とでは年収も昇給スピードも変わります。今いる職場でこれ以上の年収アップが見込めないと思う場合には、他の監査法人に転職をすることもおすすめです。
年収の水準が高い職場に転職するだけで、年収が大幅にアップすることも考えられます。
ご自身で、転職先を探すのには不安があるという方はぜひ転職エージェントを活用してみましょう。
ヒュープロでは、会計士をはじめとした士業部門でのご転職をお考えの皆さまをサポートさせていただいております。まだ転職を考えていないが、情報収集をしたいという方もお気軽に会員登録をしてみてください。
上記のような年収アップのコツはあるものの、年収3000万円はかなり高い目標に感じるでしょう。しかし、実現できるとしたらモチベーションが上がる数字ですよね。果たして、公認会計士の資格を活かして年収3000万円は目指せるのでしょうか?
結論、目指せるがハードルは高いです。ただし、公認会計士であれば誰でも目指せるわけではありません。先述した監査法人のパートナーとして経験を一定数積んだ会計士や、会計事務所やコンサルティング会社を独立開業させた上で、法人化をするなど事業拡大を実現した会計士が年収3000万円を叶えられます。
ここでは実際に転職で年収UPに成功された公認会計士の事例を紹介させて頂きます。
24年の経理業務経験があるSさんは、監査対応や税理士対応に加え、業務フロー構築の経験もされていました。
業務フロー構築は難易度がかなり高い経験ではあるものの、なかなか個人で探すのは難しいポジションでした。
ですがSさんは、転職活動の早い段階からヒュープロをご利用いただいていたため、求人の選定に時間をかけず、マッチした求人を専任エージェントから提案してもらうことができました。
結果的に、業務フロー構築の経験を評価され、年収も上げることができ、さらなるスキルアップができる企業への転職を成功されました。
中小監査法人で残業時間がかさんでしまっていたFさんは、働き方を改善すべく転職を検討していました。
資格や経験は十分なものの、面接選考への不安があったFさんですが、弊社の専任エージェントから、各選考フェーズに応じた面接対策を実施させていただくことにより、見事BIG4の1つからの内定を勝ち取ることができました。
公認会計士の年収については以上です。大手監査法人に所属してその中でキャリアを積んでいけば、ある程度の段階で年収1,000万円以上は当たり前、さらに高い年収を狙うのも不可能ではありません。難易度の高い国家試験に合格した価値があると言えるでしょう。
一般的には、大手監査法人と比べると、中小監査法人では、10%~15%程度年収が落ちると言われています。ただ、それでも初年度から年収500万円は超えてくるでしょうし、パートナークラスになれば当然1,000万円以上の給与は獲得できるはずです。より高年収を目指すなら大手監査法人に入所するのがベターですが、監査法人の規模にはそこまでこだわる必要はないと考えることもできるでしょう。
また、先ほども紹介したように公認会計士は監査法人で経験を積んだ後も、独立や事業会社への転職など幅広いキャリアが選択可能です。大切なのは、公認会計士になってからどのような専門性を高め、どのようなキャリアを歩むかということです。ぜひ自分なりのキャリアプランを設計して実現してください!
公認会計士試験に合格すれば、必ずしも高年収が保証されるわけではありません。それでも、挑戦する価値はあると思います。資格さえ手にすれば、監査法人勤務後、独立して年収数千万円を手にする可能性もあります。
簡単な試験ではありませんが、勉強すれば結果が出る試験でもあります。公認会計士となって社会で活躍する姿をイメージすれば、やり切れるのではないでしょうか。ぜひ、これから公認会計士試験に挑まれる方は頑張ってください!
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